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日本語は最後に大切なことを言う

「人の話は最後まで聞きなさい!!」
子どものころ、話し半分でつい動き出してしまう私に
母はよく怒ったものです。
そうなんです、日本語は最後の最後が重要なんです。
それをちょっと工夫してみませんか?


降る、降らない、ほめてるのか、悪口か

明日は 雨が 降ります。
明日は 雨が 降りません。
明日は 雨が 降るでしょう。
明日は 雨が 降ってほしいな。
明日は 雨が 降ると困るんですよね~。
ね、違うのは最後だけです。

彼女は美人だが、性格が悪い。(←これは悪口)
彼女は性格が悪いが、美人だ。(←これはほめている)
どちらも本当に言いたいことは最後にあります。

英語の聞き取りをするとき、文頭は覚えていないけれど
文の最後の方は聞き取れる、ということはないでしょうか。
・・・・・・in the morning. 
・・・・・・on Wednesday. 

あくまで個人的な見解ですが
主語と動詞が聞き取れないことが多く
意識して文頭を聞き取ろうと癖をつけないと
後半しか記憶に残らない。
これはきっと日本語の構造に慣れているせいではないかと。

一番言いたいことは何?

一文だけでなく、新聞のコラムなどでも
筆者の言いたいことが最後に書いてある構成は多いですよね。

たとえば、下のお知らせ。
一番言いたいことは何でしょうか。

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自治会からのお知らせ文例

まあ、たいていの皆さんは
「時下ますます・・・御礼申し上げます」は読み飛ばし
「さて、・・・」から読み始めますよね。
この文では、「総会をするので来てください」というのが
一番伝えたい内容です。

このお知らせ文を日本語初級者の外国人が
辞書を引き引き読んだ場合、最後まで行く着くのは至難の業かと・・・。

行間を読む? 空気を読む? 日本語の難しさ

言いたいことが文面に表れていないこともあります。
行間を読む、空気を読む、というか、読まされるというか・・・。

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ごみ出しのクレームのお知らせ文例

このお知らせ文が自宅ポストに入っていたらどうします?
ヤバい! 怒ってる人がいる! 
私なら、とりあえず菓子折り持って町内会長さんに謝りに・・・

実は、このお知らせ文、外国人住民がいる自治会で
実際に回覧されたものです。
日本ではクレームは書くほうも難しく
個人が個人に注意するのも難しいので
誰が、誰に、というのもわからない遠回しな表現になってしまいます。
こちらも、外国人が辞書を引きながら読んだとしても
真意をくみ取ることは難しいかと。
それでも、何か怒っている、というのだけは伝わったりします。

もしかしたら、単にゴミ出しのルールを知らないだけかもしれない
教えてあげれば、問題は解決するのかもしれない
多言語資料が市役所にあるかもしれない
気軽に相談できる人がいれば、簡単に解決する問題かもしれません。
クレーム文に頭を悩ますくらいなら
ぜひ、「やさしい日本語」でどうすればいいのかを伝え
コミュニケーションを取ってみてください。

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わからないときは、誰に聞けばいいかがあると、よりいいですよね

最初に伝えたいことを書く 「やさしい日本語」のルール

「やさしい日本語」の掲示物集には
災害時に避難所ですぐ使えるポスターが147枚あり、
全て「やさしい日本語」(カテゴリーⅠ)で書かれています。

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「やさしい日本語」掲示物

そのまま拡大コピーして必要事項を書き込んで使ったり
その写メを取ってSNSで拡散したりもできます。

この掲示物の作成ルールの一つに
一番最初に「伝えたいこと」から書く です。
愛知県の『「やさしい日本語」のてびき』でも
「やさしい日本語」作成の手順
3番目が 伝えたいことを前に持ってくる があります。

愛知県『「やさしい日本語」のてびき』「やさしい日本語」手順


日本語はとても難しい。
日本人が感じている以上に、いろいろ難しい。
多くの外国人住民はそれを一生懸命勉強しているんです。
だからこそ、日本人も「やさしい日本語」を使うことで
一歩近づくことが大切。 そう思うのです。

(やっぱり、一番言いたいことが最後になってますね。)

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