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ザ・眼鏡職人

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那覇のビッグメガネから、眼鏡のマニアックな世界をご紹介します。一番目立つブランドアイコンというファッションアイテムであると同時に、ライフスタイルを左右する大切な医療ツールでもある…
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2021年7月の記事一覧

紫外線が子どもの目に及ぼす影響は?

最近、サングラスをかける子供たちを垣間見るようになりました。人数的には圧倒的に少数派。でも、子供は、大人以上にサングラスが必要かもしれないのです。その理由を、紫外線研究の第一人者、金沢医科大学眼科学講座の主任教授、佐々木洋先生の研究結果からご紹介します。 佐々木先生は、紫外線が眼に与える影響を検証するために、赤道に近く、また住民の野外活動時間が長いとされるタンザニアで調査を行いました。 紫外線で進む眼の老化私たちのイメージとして「アフリカ人は目が良い、日本人は目が悪い」と

見え方の加齢変化(2) なんだか最近、眩しさを強く感じるんだけど、なぜ?

20~25歳の心身機能を100とすると、55~59歳では視覚と聴覚の機能がかなり衰えてきます。なかでも、明・暗の環境変化に順応する機能は35程度に低下すると言われています。 急に、暗い所に入った時、眼は見えませんけど、徐々に感度が上がり見えるようになりますよね。これが暗順応です。反対に、明るさに対して眼が慣れてくることは明順応と言います。 問題なのは、明順応ではなくて暗順応です。瞳孔の開きが弱くなっているためで、これを老人性縮瞳と呼びます。 私たちは瞳孔径を拡大縮小させ

見え方の加齢変化(1) 青と黒が区別できないのはなぜ?

多くの人は、歳をとると、近くのものが見えにくい老眼になります。水晶体の弾力性が低下し焦点合わせ機能が低下するためですが、老眼は40歳を過ぎた頃から始まり、60歳になると顕著になってきます。このあたりで気を付けたいのが、色を見る能力の変化。 「紺と黒の靴下を左右色違いではいてしまったわ~」 原因は水晶体の黄変です。加齢により水晶体から透明度が失われていくためです。黄変したり混濁すると波長光の透過率が低下します。その結果、網膜像の質低下や光の散乱が発生し、なかでも「青色」が暗