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◎゜湯のかおり ◎゜桐生の街は、昔のまま「上の湯」

8年前まで、桐生に通っていた時期がありました。
赤ちゃん~未就学児くらいまでの子供が遊べる場所があったのです。
当時、専業主婦たったので、昼間親子二人きりが日常。
そんな私たちにとっては、絶好の息抜きスポットでした。

行く、行かないも自由
時間も自由
何をするかも自由

子供が急に具合が悪くなって行かなくても
出かけるのが遅くなっても
子供がみんなと一緒に遊ばなくても
そういう時あるよねって、全部わかってくれる場所でした。

春の訪れとともに新天地に引っ越して以来、パタリと足が遠のき、それきりに。

それが去年あたりから、この街を訪れるきっかけが増えてきたのです。

¨**¨゜¨**¨゜

久しぶりの友人とランチしたあと、私は意気揚々と銭湯を目指しました。
今にも雨が降りだしそうな曇天、でもお風呂に入れると思ったら、さほど気になりません(笑)。
銭湯は通りから少し入った場所にありました。
Google Mapのナビがなければ、完全に通り過ぎていたでしょう。
入り口まで行くと、年季の入った建物にきれいな藤色の暖簾がかかっていました
「上の湯」と書かれています。

祖父母が経営されていた銭湯をお孫さんご夫婦が後を継いだと、入口に張り紙がありました。藤色の暖簾に、世代がつながる温かさを感じます。


暖簾をくぐり、中に入った瞬間、なんか境界線が低い…と上を見上げました。
銭湯特有の仕切り壁の低さが、天井空間の広さを強調して解放感が半端ないのです。

その空間は脱衣場にも続いていて、お隣(男湯の脱衣場)の気配を感じながらの着替えに、慣れない私はどこか落ち着きません(笑)。

お風呂の戸を開けると、幼い頃テレビで流れていた歌謡曲が流れ、条件反射で口ずさみそうになりました。
幼少時代の記憶って、やたら鮮明なんですよね(笑)。

タイル張りの浴場からお湯の流れる音、洗面桶を置く音、シャワーの音、そしてエコーの効いた昭和のメロディ、すべてが混ざりあって私の中に響いてきます。

「サチコ」「矢切の渡し」「もしかしてパート2」を聴きながら、春色ピンクの湯に肩まで浸かり、いい気分。

人によって作られた銭湯の解放感、楽しさを思い、ずっと続けて欲しいなぁと、上を見上げました。

私がおばあちゃんになったら、どんな曲がかかるんだろう。
タイル絵の熱帯魚を見つめながら、winkの寂しい熱帯魚を脳内再生し始めたところで、ギブ、ざばーっと上がりました。

¨**¨゜¨**¨゜

銭湯を出ると、パラパラと雨が降り出しました。
裏手にとめた駐車場から、煙突が良く見えます。

8年前は、遊び疲れた子供をチャイルドシートから下ろしてまで、ランチや本屋に寄る余裕はなかったなぁ。

来た道をまっすぐ帰っていたあの頃と、通りから少し入った銭湯に立ち寄れるようになった今。

無条件に子供最優先する時期を過ぎたうすら寂しさと
自分時間を模索し始めた楽しさが入り交じった気持ちをワイパーで押しのけ、家路に着きました。


□□備忘録□□
ボディシャンプーを忘れずに。
ドライヤー持ち込み不可。
番台で借りる。 3分20円
(ショートカットでギリギリの時間!)

ピンク色の湯のもと。自宅で銭湯気分を満喫。

#桐生市銭湯「上の湯」

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