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2年連続CSR賞ノミネートの意味と無意味

ボード・ウォーゲームの世界で唯一の賞と言えばチャールズ・S・ロバーツ賞で、2013年から2018年までお休みしていましたが、2019年から再開されました。ありがたいことに昨年は『300』、今年は『レッドサン・ブルークロス』がノミネートされました。

これはもう、本当に皆様のおかげです。荒々しい、あるいは猛々しい元のデザインをソフィスティケートしてくれたディベロッパーズ&テストプレイヤーズの貢献大であり、海外市場で遊んでもらえるきっかけをつくってくれた、ルールの英訳をしてくれた方に感謝です。

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タイトルの「意味」ですが、日本のウォーゲーム出版社が(厳密には「社」ではなく「者」ですが)日本語ベースでつくった商品がCSR賞の俎上に上がるということは、なかなか意味のあることではないかと思っています。既に日本人デザイナーがCSR賞を受賞した過去はありますが、いずれも海外のメーカーから出版されたゲームです(詳しくはWikipedia(英)を参照)。日本人野球選手がメジャーに行ってタイトルを取った感じ。今回のは日本の球団にいながらタイトル候補にあげられたわけです。しかもその球団はプロではなくアマチュア、社会人野球ですよ。

それだけこの世界はシュリンクしているわけです。悪い意味ではマーケットがそのくらいの規模に収縮している。良い意味では気軽に世界中のウォーゲームのことを知り、また入手できるということ。ありがとうインターネット。『レッドサン・ブルークロス』の25%以上は日本以外で売れました。だから市場を国内外で区切って考えること、海外で評価されたと喜ぶことは「無意味」なのだと思われるのです。

でもまあその裏返しになるのが、最初から海外市場も視野に入れた展開が求められるということで、それはそれでなかなかたいへん。英語ルールは用意できなくても、言語依存しないコンポーネント、サマリーだけは英語でつくっておく、といった工夫が必要になります。スペインやイタリアのメーカーも、母国語版と英語版を同時に出す、あるいは英語ルールだけはPDFで用意しているので、この点は見倣わなければなりません。

と書きつつも日清戦争をテーマにした戦略級ゲーム『ライジング・サン』、既に海外から発注いただきながら英語化が進んでいません。ああ、若い頃にちゃんと英語を勉強しておけば……。

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