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ロシアンキャンペーン指数

ビッグマック指数っぽく、ウォーゲームの価格を考えてみようじゃないの、という話です(意味合いは少し違いますが)。というのも間もなく『ウォー・イン・ザ・パシフィック日本語版』が発売されるのですが(10月9日です)、果たしてこの価格(6,200円+税)が適切なものなのか、自分なりに検証してみたいと思ったから。なおこの価格、原価3倍の条件を満たせていません……。

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1976年の『The Russian Campaign』(以下、ロシアンキャンペーン。ヘッダ画像はBGGより)の価格は9ドルだったようです。円相場は293円だったので2,637円となります。何か言いたいことがあるベテランの方もいると思いますが、ステイッ、ステイッ!

この年の日本のサラリーマンの平均年収が2,209,100円だそうなので、平均月収にすると184,092円。ロシアンキャンペーンの価格は平均月収の1.4%でした。この値を「ロシアンキャンペーン指数」と呼ぶことにます。

同じ年、アメリカの平均年収は9226.46ドルで、月額にすると768.9ドル。ロシアンキャンペーン指数は1.2なので、アメリカのほうが割安感があります(今だいけっ! ゴーゴーゴー)。

しかしホビージャパンがロシアンキャンペーンにつけた価格は5,800円でした。すると日本国内のロシアンキャンペーン指数は3.2に跳ね上がります。アメリカの2倍以上。この後、円高が進むことになるので、割高感は拭えません。

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時は流れて2021年。Compass Gamesでロシアンキャンペーンのプレオーダーが始まっています。MSRPは52ドル。1976年の5倍以上の価格になっています。

こちらによると2020年の平均年収はアメリカ=51,960ドル、日本=409万円でした。平均月収4,330ドルなのでロシアンキャンペーン指数は1.2です。「コンパス高えなあ」と思うのは間違いで、ロシアンキャンペーン指数は44年前と変わっていないのです(!!)。ロシアンキャンペーンは価格の優等生だった。

翻って日本ではどうか。平均月収は34万円。今の為替レートで52ドルは5,785円。ロシアンキャンペーン指数は1.7になります。1976年の指数が1.4なのでわずかに上がっていますが、HJ関数を使った指数3.2に慣れた我々からすると、ずっと安く感じられます。ありがとう、HJ。

と、ここで注釈。中央値を使うとまた別の結果になると思われますが、手っ取り早く平均値を使いました。またネタ的にHJ関数などと書いてはいるものの、ルールの翻訳・ルールブックの製作・サポートの手間などもあるので、単価が上がるのはやむを得ないことだと理解しております。

ちなみにロシアンキャンペーン(2)は2010年に日本語版が出ています。この時の本体価格は4,800円。この年の平均年収は今より高く(!!)、ロシアンキャンペーン指数は何と1.28。アメリカとほぼ同じ水準を達成しています。

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さて『ウォー・イン・ザ・パシフィック日本語版』ですが、ロシアンキャンペーン指数と同じ計算をすると1.8になります。メーカーから輸入した時につけた価格が6,900円(ジップロック)。箱入りにすると8,000円。これだと指数は2.4になるから、ずいぶん頑張った数字ではないかと思われます。ということで、発売の暁にはよろしくお願いいたします。

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