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プロがウォーゲームで学ぶ時代

むしろ流れが逆だろう、という話はさておき。

プロ向けのウォーゲーム・デザイナーのTwitterアカウントをフォローしておりますと、専用に開発されたゲームはもちろん、民間のウォーゲームを利用した学習も盛んに行われている様子をうかがえます。

我らが自衛隊も最近この方面での活動をされるようになっており、今年4月にはGeorgetown University Wargaming Societyで「Research of wargaming utilization」と題されたウェビナーで現状報告をされていました。私も視聴して、航空自衛隊の面々がゲームマーケットを訪れたり、『尖閣ショウダウン』をプレイするという、おもしろ画像を拝見できました。ウォーゲームの効用としては「デシジョン・メイクの訓練」が強調されていたように記憶しています。

自衛隊の活動報告はwebサイトでも公開されており、例えばこちら、「防衛ホーム」第1040号の記事にこう書かれていました。

ウォーゲームとは、歴史や将来の可能性をシミュレートする、駒や地図を使ったボードゲーム。市販のものが活用でき、工夫次第で戦略的な高度化も可能なため、簡便性と柔軟性に優れた「簡易な図上演習」ともいわれる。欧米諸国軍隊では教育訓練で活用されており、航空自衛隊幹部学校においても今後の図上演習や各種研究への活用のため、今年から研究が進められているところだ。CSC課程で英語教育を担当する交換将校のドバフル中佐が、ウォーゲーミングを英語教育に取り入れたいと発案し、今回初施行された。

会社(国際通信社)にご連絡をいただくようになったのはこの記事が出た後なので、2021年からこうした取り組みが本格化したということでしょうか。

さて、BANZAIマガジン(細かなことですが第11号から表記変更しました)第10号にて、衝撃のポーランド酔いどれウォーゲーマー事情をレポートしてくれたピョートルさんですが、彼はポーランド陸軍でウォーゲームをレクチャーされています。有志を募っての勉強会だと思いますが(詳しくは第12号で紹介予定)、民間のウォーゲームを用いて「情報の分析と評価、決断とそのプロセス」を学習しているのだそう。

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こちらはタイムリーにも『A Distant Plain』(GMT, 2013)勉強会の様子。2017年のことです。偶然にも1929年、同じ建物でアフガニスタンの国王ザヒール・シャーが食事を取ったとのこと。当時の写真がこれ。

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先日は拙作『ライズ・オブ・ブリッツクリーク』で電撃戦の勉強会が開いたよとメールをいただきました。そう、これを自慢したくて本稿を書いているのです。

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ズベズダのキットでしょうか。立派な立体駒をご用意してくれました。

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今回の参加者はウォーゲーム初プレイの方ばかりだったので、ドイツ軍兵力配分の隠匿ルールはオミットしたとのこと。確かにウォーゲームのルールは把握に手間取ることもあるので、「プロ」に対してもインストラクターの存在は重要ですし、適宜ルールを簡略化する必要もあるのでしょう。

ポーランド陸軍の方々には是非、ピウスツキ贔屓の日本人がつくった『ワルシャワ1920』を試していただきたいものです。


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