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2年生の集合住宅課題のTAを担当した

2022年1月13日(木)の発表会をもって2年生のTAを終了したので、TAを担当して感じたことを書きたいと思う。しかし、まとまった時間が取れないので、断片的なメモの集まりとして(太宰治の「葉」みたいなものと考えてください)ここに提出する。

実名を出す許可を得てないので、頭文字のアルファベットを使用する。この記事を見て私の事を書いてるな、名前だしても良いですよ、という方がいればぜひ教えてほしいです。

 


■住宅は住むための機械である

Yさん「Kさんの案は集合住宅をつくっているわけではなくて建築をつくっている感じがするんだよね。考えてるスケールが大きい。"場"をつくってる感じが伝わってくる、ちゃんと人間のための"場"をつくってる。伝わるかな。住宅住宅してない、と言えばいいかな。僕がこの課題を与えられてもここまでできる自信ないな。」

最終発表の時にこのような発言があったので、Yさんの発言の意味をそのあと僕なりに考えてみた。まず思ったことは、これはコルビュジエの「住宅は住むための機械である」に対する発言ではないか、ということ。Kさんの案は集合住宅を住むための機械と捉えるのではなくて、あくまで”居場所”をつくっていて、それが今回はたまたま集合住宅だった。Yさんはそう感じて、そこが他の人とは異なる点だと評価した。そういう意味でKさんは反コルビュジエ的なんだと思う。

でもこれには続きがあるように感じて、コルビュジエの建築を雑誌などで見ていると、全然機械をつくっているようには思えない。コルビュジエは、自分の作品が空虚に感じたんだと思うけど、コルビュジエもKさんと同じように”場”をつくることに優れている。そういう意味でKさんはコルビュジエ的だと、そう感じたのである。



■問題作とも言われたTさんの案。

Yさん「共用廊下と住戸内の庭(外廊下)を分ける壁は無くてもいいのでは?建具をつけようとかは思わなかった?もっと自由に発想しても良いと思う(言い回しを覚えてない)。」

Tさん「その発想には至らなかったです。」

Yさん「ガラスでも良いから屋根をつけたほうが住みやすいのではないか」

Tさん「屋根をつけたらそれは外部と言えないと思いました。屋根をつけなかった事に後悔はしてない。」

コンセプトと間取りの絵を見て、既視感は多少感じたが最後の模型写真を見て驚いた。外廊下に屋根がなかったから。それと、屋根をつけなかったおかげで今まで見たことない建築になっていたから。

この成果物を提出したことがもう自由だと思う。共用廊下と住戸内の廊下がシームレスに繋がっているかどうかはTさんにとってあまり関係ないのかもしれない。「自由な発想」は、凝り固まった「自由な発想」なのかもしれないです。生意気なことを言ってしまった気はしています。申し訳ないです。このTさんの案と、コロナについて考えたY君の案は本当に考えさせられた。



■コロナに負けない集合住宅 Y君
・コロナウィルスの影響で、現在の日本人は感染症に敏感になっている。この案は感染症に対する3つのアイディアを用いて設計されている。社会の流れを考えるとこの集合住宅にはニーズがあるのではないかと思う。この案に限らず、建築は社会の変化に対応して移り変ってきたはず。



■健康を作る集合住宅 N君
・課題文にある「未来」を考えつくした案で、未来は自宅で健康状態を知り、診察も自宅で行われると予想している。住戸について細かく考えられているところに魅力を感じた。「開口部をなくす」という大胆な提案だが、未来はそうなるのかな。



■段々畑がある集合住宅 I君
・エスキスの段階で少しずつ変化していって、驚いた。「畑」からスタートして、段々畑の形状が生まれ、畑になじませるため石垣をつくり、石垣をつくった事によって全面ガラス張りにする事が出来た。北面と南面の表情の違いがとても良い。



■新・開放的集合住宅 Tさん
・四角形の住戸を斜めに振る事でバルコニーが4方向に生まれる、点でつながっているので騒音が気にならない。など、Tさんの発見がプレゼンボードに書かれていて、なぜこのような形態になったのか、説得力がある。図面の密度もあり、開放的なだけでなく視線を遮る花ブロックでプライバシーにも配慮している。



■おきなわの未来をつなぐ集合住宅 セッション! Kさん
・平面図を見ると、2階に駐車場があったり、メゾネットになっている部屋があったりして工夫がされている事がわかる。クリエイターたちの生活空間を設計者が提案することは意義のあるものだと思う。レイアウト、図面、模型のクオリティが高い。模型にガラスの大屋根がかかっていないので見る側が混乱するかもしれない。



■交わる集合住宅 S君
・ダイアグラムを使って建築全体を設計するという方法をとっていて、ボリューム操作がうまくいっているように感じた。交差させただけでは終わらずに、風の通り道や、光の取り込み方など、住空間を設計しようとする姿勢が読み取れて良かった。



■“外廊下”がある集合住宅 Tさん
・この案も毎週のエスキスで大きく発展してきたように感じる。正直なところ、コンセプトや「住戸の間取り」を見ている時点では良さに気付かなかった。しかし、最後の模型写真を見ると、オリジナリティに溢れていて「外廊下が生活の一部となり、そこに住民の個性が出てくるのではないか」というTさんの考えに共感できる。北側道路に対して閉じた理由を聞いてみたい。


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