コーチが「待つ」ということ
特に育成年代、学生チームのコーチにとって必要な特性の一つがは「待てる」ことではないかと考えている。
短い待ち
これは特に選手の「感情」を待てるかどうか。
例えば味方のミスに対してイライラしてきつい言葉をかけた選手がいたとして(、そのような声掛けをしてほしくないとコーチが考えていたとして)、その場でフィードバックすることは効果的だろうか。
あるいは、ゲームのラストプレイをミスしてしまった選手に、その場でフィードバックを行うことは効果的だろうか。
私はこういった場合は効果的とは思わない。
なぜなら人には感情があり、その感情が大きく動いているときに他人からのフィードバックを受け入れることは難しいからだ。
指導にせよフィードバックにせよ、受け手が「受け取る準備」ができていなければ、それらは素通りしてしまうし、最悪の場合はその関係性が崩れてしまう。
この場合は選手の感情面での準備が整うのを待ってから(数分か、数日か)前向きな振り返りをすることが必要だろう。
結局のところ、フィードバックを受け取るのは選手で、ミスから立ち直るのも、前を向いて進んでいくのも選手自身なのだ。
私達コーチができるのは、選手の準備が整ったときに、役に立つ情報を伝えることだけだ。
長い待ち
「短い待ち」だけでなく、数ヶ月〜1年以上のスパンでの「長い待ち」も求められる
例えばスキル面で、今すぐできることを求めるのではなく、練習を積み重ねて、できるようになることを「待てる」かどうか。
あるいはリーダーシップや周囲との関わり方などの「影響力」という面での成長を「待てる」かどうか。
こういった長期スパンで待つことができないと、選手を本当の意味で成長させることは難しい。なぜなら、「じゃあ今できるプレーだけで戦おう」という方向に引っ張られるからだ。
良いコーチはきっと「待てる」
人間の成長には時間がかかる。
人の成長を支援するコーチは「待てる」という能力を求められる。
相手の「受け取る準備」を待てるかどうか。
相手の「成長」を待てるかどうか
そしてその前提として、相手を「信じる」ことができるかどうか。
これが良いコーチかどうかを分ける観点の1つだと思う。
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