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[1月6日]雇用統計は重要ではない!違和感

1月6日は雇用統計とISM非製造業指数の発表と大きな指標が二つ出ました。結果的には、平均時給の鈍化とISM非製造業の悪化を受けて、金融引締め期待が後退。金利が下がり、3指数とも大きく上昇という結果になりました。ただ、いくつか違和感もありますので、これを文字通りとって良いかは疑問が残ります。

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雇用統計

雇用統計の結果は下記の通り、新規雇用・失業率が予想よりもよく、平均時給が鈍化したと"解釈された"ことにより相場は大きく反応しました。

今回、マーケットが反応したのは時給が予想より低かっただけではありません。実はこっそりと11月の平均時給の伸びが+0.6%から+0.4%に改竄改定され、トータルで言うと今回の雇用統計で予想より-0.3%も乖離がある結果となりました。

米国アカウントで有名なzerohedgeさんのブログには非常に面白い指摘があります。”強い”とされてた雇用は実はパートタイムジョブによってカサ増しされてるとの指摘です。 フルタイムの雇用は過去10ヶ月で28.8万人減っているのですが、一方はパートタイム88.6万人増えており相殺されてると説明されてます。しかも、この10ヶ月で今のインフレに賃金が追いつかずフルタイムの仕事とは別にパートタイムを始める人も68.4万人増えたとのことなので、雇用統計がだしている"順調な新規雇用"の増加はフルタイムが減った上で、副業のパートタイムでカサ増されている情報とのことです。実はこれはFRBも認めており、今までの会見の中で複数の職についてる人がいることを認めてます。 

ISM非製造業指数

実は今日は同時に、ISM非製造業指数という重要な指標も発表されてました。従来の認識では製造業は景気縮小が続いてるが、サービス業は引き続き堅調というのが過去3、4ヶ月くらいのトレンドでした。しかし、今回は予想を大きく下回りなんと50も下回るという結果になりました。サプライズ感はこちらの方がはるかに大きいです。50を下回ると景気縮小しているという指標になります。今回の金利安、株価高はこのISM非製造業指数の減速も大いに影響してると思います。

企業業績悪化続々

あまり話題になってませんが、Samsungが決算発表し、8年ぶりの低水準の利益。昨年から66%も利益が減少したと報じられてます。半導体の需要がかなり落ち込んでいるとのことです。

Teslaが中国における競争激化により価格の引き下げを発表しました。このことからTeslaの利益予想も引き下げられています。このニュースにも関わらず今日はテスラは+2%で引けてるので変わり目を感じますね。最初は大きなマイナスだったのですが、ショートが思いっきり焼かれてます。

所感・今後の見通し

今日の相場だけを見れば、賃金の鈍化やISM非製造業の減速を好感し、金利低下の株価上昇という教科書通りの反応になったかと思います。正直、反応自体は私が予想したよりも大きな結果になったかなと思います。ただ、株価のトレンドとして今回の雇用統計は重要ではなく、引き続き企業業績悪化によるずるずる下げるトレンドであるという見方は変えてません。

債券に関しては昨日指摘した通り、強い雇用にも関わらず積極的な買いが入ってる状況ですので、今日の雇用統計ではリスクイベント通過でさらに買われていったという解釈をしてます。

10年金利は11月10日のCPIの大きなピークアウトから50bps以上も下落し、下落率は-13%となっています。その間、株価の上昇率はわずかに+4%です。確かに今日だけを見れば2%を超える上昇となりましたが、全体のトレンドとしては金利低下に対する株価の正の相関は弱まっていると言えるでしょう。大方、ショートカバーが中心で来週以降この流れが続くかどうかに注目です(決算が良い場合を除いて続かないと考えてます)

というか雇用強くない?

正直、最初に雇用を見たときはちょっと強いなという感想を持ちました。特に失業率が3.5%なんて歴史的にみても相当に低い水準です。平均時給の鈍化がプラスに反応したと色々なところで書かれてますが、+0.3%は確かに過去2ヶ月に比べれば低いですが過去12ヶ月(下画像)をみても特段低い伸び率でもありません。5月から10月の時に+0.3%という数字を見て「賃金鈍化!」と騒いでいましたっけ?今までは似たような指標でも「強くて金利高」と反応したのに、今日は「鈍化で金利安」という解説は不思議ですよね。あくまでも中期的なトレンド(インフレ低下、金利ピーク)中での通過点に過ぎないイベントになっておりインフレ加速・金利上昇中の去年までならこれくらいの数字でも売り浴びせられたかもしれません。雇用統計の重要性は去年より低下していると考えてます。「雇用が強いから金利があげられる」から「インフレは改善してるので雇用に関係なく金利は現在の織込み以上あげる必要はない」が正しい読み方だと思います。引き続きCPIが本丸かと思います。

来週は消費者物価指数

来週はいよいよ消費者物価指数を控えます。こちらは現時点ではやや楽観的な予想が出ているため少し警戒してます。消費者物価指数の話はまた後日まとめようと思います。

天然ガスが大きく下落

小ネタになりますが、朝から天然ガスがかなり下落していると話題になってました。こちらは金融引き締めの影響だけではなく、暖冬も影響しているみたいです。北米もだいぶ暖かい冬を迎えてますが、ヨーロッパも暖かい冬みたいで今年はガスの需要が低いようです。もはやこの状況下で誰もインフレが継続するなんて信じてないように思えます(笑)

引き続き債券中心に

引き続き業績反転のサインが見えるまでは債券中心に積みてたていくという方針でいいのかなと思ってます。私自身は今日の寄りでEDVを追加しました。確かに今日は指数は上昇しましたが、このトレンドが続くかどうかは決算次第です。今現時点では良い決算シーズンを迎えられるイメージはあまりないので、決算が悪ければずるずる落ちていくトレンドには変わりないと思います。ただ、予想に反して決算が良ければ底打ちの可能性もありますが、それは決算次第でしょう。


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