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7月3週目:株価は長期回復に入ってる可能性

こんにちはやす( @YasLovesTech ) です。

株価は長期的な成長期に入る可能性

米国株は23年に入りS&P+17.82%, ナスダックが+43.29%と何十年ぶりかの急上昇を遂げています。この事実から、「もうすぐ暴落が来る」とか「流石に上がりすぎだ」等を煽るインフルエンサーで始めていますが、実体経済の観点からは米国株は長期成長に入る可能性を示しています

結論から言うと、僕は米国株は長期的な回復期に入ってる可能性があり、今後数年は"緩やか"に伸び続けるのではないかと考えています。ただし、最大10%弱の調整は常に存在します。一方的に上がり続けることはあり得ないです。

今年前半の、株価上昇を主導したのはバリュエーションの拡大(PERの上昇)です。株価は一般的に

株価 = EPS(1株利益) * PER(株価収益率)

で計算されるため、EPSはもちろんですが、バリュエーションの上下(PERの上下)によって株価が大きく動きます

PERを決定する要素はいくつかありますが、一番大きいのはFRBによる金融政策です。22年はFRBが一気に金融引締めに傾いたためPERが大きく下落し、一方的な下落相場になりました。23年に入ると、金融引締が一定のピークを迎えたことと、長期的な成長が見込める等の理由から、昨年の11月くらいからPERが15から19まで急上昇(+26%)。これが今年の株価上昇を主導しました。

この19という数字は、チャートから見ても分かる通り、過去5年平均のPERをすでに超えてしまっています。今は金融緩和ではないので、ある程度の上昇はあれど、このままPERが上がるとは考えづらいです。ですが、コロナ前よりマーケットには資金が供給されていることや、長期的な成長が見込めるなどの理由によりそれほど大きく下がらないと考えてます。18まで下がれば-5%、17まで下がれば-9%。これが最大10%弱の調整がありうると考える理由です。別の言い方をすれば、17は10年平均を下回ってるので、流石にここより下にはもはやいかないと考えてます。調整は最大10%程と考えてますが、現実的にはよっぽどのことがない限り5%程でしょう

話は長くなりましたが、PERの方がマクロ的な影響を受けやすいため、実況解説がしやすく、相場全体の流れを示しているため、雇用統計、消費者物価指数、FOMCなどに話がいきがちです。それはそれで重要なのですが、ここから先の局面は株価のもう一つの上昇ドライバであるEPSにも目を向けないといけません。ここに目を向けてるインフルエンサーは驚くほどに少ないです。

こちらが現在のEPSのアナリストの予測です(出典 : 2023年7月7日Factset)。すでに23年のQ2の決算の一部は始まってますが、アナリストは前年同期比で-7.1%のEPS成長を見込んでます。-7.1%というのは20年Q2のコロナ最悪期以来の最悪のマイナス成長率です。ここ数回の決算でも最も悪いです。先ほど、22年はPERの下落によって株価が下落したと書きましたが、PERだけでなく、EPSの成長率と成長予測が1年間ズルズルと下落し続けました。昨年は金融引締めで下落したと解説されがちですが、実態のEPSの方も相当に下落してました。少なくともQ2の決算は-7.1%も下落する予想でしたので、実体経済の観点から-7.1%株価が下落しても説明がいく数字です。

しかし、EPSのマイナス成長は23年のQ2までです。アナリストの予想ですがQ3は+0.3%, Q4は+7.8%, 24年のQ1は+8.2%, 1年後のQ2は+13%と、この決算を超えればEPSは成長期に入ります。24年全体のEPS成長率は+11%と予想されてますが、株価は1年後を織り込んで動きますので、今後1年間の株価はPERが一定でも+11%は緩やかに成長するということになります(一部はすでに織り込まれてます)さらに、EPSが成長している時はPERが上昇しやすいという傾向にありますので、EPSマイナス傾向だった昨年に比べればPERはかなり下落しにくくなります

なので、アナリストの予想に基けば、EPSは今後拡大期に入っていく時期であり、一定の調整はあれど暴落の兆しは実体経済の観点からは全く読み取れません

さて、問題はそのアナリストの予想です。予想はあくまでも予想なので、この予想が上方修正されるか、下方修正されるかが、EPSの観点からは最も重要だったりします。よく、決算でアナリストの予想を上回った、下回ったという話がありますが、一般的に、予想を上回れば今後の予想も超えると考えられ、予想自体も上方修正されます。予想を下回れば逆の動きになります。短期的に予想を上回ったかどうかはマジどうでもいいと思いますが、この予想が上方修正なのか下方修正なのかは非常に重要です。

23年Q2の決算ではS&P500社のうち6%の会社が決算を終えました(出典 : 2023年7月14日Factset)

その結果は、80%の会社がEPSの予想を超えており、63%の会社が売上予想も超えてます。特にEPSに関しては+8.8%も予想を上振れしてします。これは、21年Q3以来の良決算です。

Q2のEPS成長率が-7.1%とはいえ、ここで底打ちし、Q3以降回復するという予測を裏付けるのはもちろん、その回復率も予想以上のものになることを示唆してます。

会社数6%程度の決算とはいえ非常に順調な決算を消化してます。この傾向が続けば、少なくともQ3以降のアナリストの予想がキープされる可能性は高まっていると考えられます。すなわち、アナリストの予想通りQ2をボトムにEPSの成長がプラスに転換するポイントに入ってきてます。こういった時の株価は本当に強いです。

仮に、EPSの成長率が上方修正されれば、PERも上がりやすくなるので、暴落を願うインフルエンサーに反して、株価はぐんぐん上昇していき「上がりすぎだ」「怖い」などの感情論で相場が支配されてしまいます。しかし、一定の調整はあれ、その上昇はアナリストの予想以上の実体経済の上昇の可能性があります

今週から決算が本格化します。今週の決算を終えれば、25%ほどの会社が決算を終えるのんで、Q2決算のトレンドはほぼ決定されるでしょう。雇用統計や消費者物価指数、FOMCなどに注目が行きがちですが、それらの影響度は相対的には低く、EPSが今後どう成長するかが株価のトレンドを決定づけそうです。EPSの成長率を注意深く見守っていきます

*今回の見解は7月7日、7月14日の米国市場の状況やデータ(Factset)に基づいたものであり、状況が変われば見解も変わります。

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