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ワッフルとニキビとホテルのレストラン

小学5年か6年の時、友達が初めて食べたという『ワッフル』という食べ物を教えてくれた。

少しだけ自慢げに教えてくれたおおよその特徴は、

こんがり焼いてあって
ふんわりしてて
ケーキでもなくて
クッキーでもなくて
ほんのり甘くて
ホテル西武オリオンのレストランで
ナイフとフォークで食べた
すごく美味しかった

ということだった。

『ワッフル』という食べ物を初めて知った。
憧れは日に日につのり、友達に何度かその『ワッフル』というものを食べた話をせがんだ。

それから近いある日。
高校生だったいとこのお姉ちゃんが、はじめたばかりのバイト代で私と弟に美味しいものをご馳走してくれるという。

たぶん、お姉ちゃんは、何が食べたいか聞いてくれたと思う。
もちろん迷わず「ホテル西武オリオン」をリクエスト。
頭の中は『ワッフル』という未知の食べ物でいっぱいだった。

弟と2人、ホテルのレストランでの食事というので、母親は綺麗めな服を着せてくれた。

私は、その時期に出始めたおでこのニキビが気になって、前髪で隠すのに必死だった。
「ニキビができてるから前髪を上げておでこを出した方がいいよ」とお姉ちゃんが言った。

ホテル前の信号で、青になるのをぎこちなく3人で待っていた時のあの気持ち。

レストランに入ってメニューを見ると、本当に
ワッフル
とあった。
もちろんお姉ちゃんに「ワッフル」と注文。

でも、お姉ちゃんは
「せっかくのレストランだから、もっとご飯みたいなお腹いっぱいなるの頼んでいいから!」
って言う。

もう一度「ワッフル」とお願いしてみたけれど、お姉ちゃんはやっぱり食事を頼んで欲しそう。

ワッフルの文字を目の前に見ながら、「じゃあ……カレー」と頼んだ。

後のことはよく覚えていない。

けど、お姉ちゃんがなんだか嬉しそうだったこと、ホテルのレストランで食事したこと、ワッフルを注文する寸前までいってとってもワクワクした、あの気持ちは今もよーく覚えてる。

#思い出 #ワッフル

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