頭上の侏儒アゲイン
あなたは、朝、目を覚まして、そして、自分がどうすればいいかわからなくなったことはないでしょう。
昨日までしていたように、ベッドを出て、身づくろいをし、朝食を食べ、家を出る、そんなありふれた事柄を、今はどうしたらいいかわからなくなって、全身の血液が逆流するような冷たい恐ろしさを感じたことはないでしょう。
誓って申し上げますが、ぼくはなんにも悪いことはしていない。ただ、ふつうに日々を過ごしていただけなんです。
みんながしている程度に勤勉に、みんながしている程度にはめをはずし、侏儒がついてから今日まで、生きてきただけなんです。
それが、今朝突然、どうしていいかわからなくなった。スリッパを履くことはおろか、ベッドを出る方法すら思いつかない。試してみるのも恐ろしい。実際やってみたら、掛け布団の中で両足と腰がもぞもぞと動くばかり。
そして、なにより侏儒の声が聞こえない。
思わず頭に手をやりました。
【続く】
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