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「Is this your King?」——故チャドウィック・ボーズマンに捧げる、マイケル・B・ジョーダンの追悼文

 本文は、2020年8月28日に亡くなった俳優「チャドウィック・ボーズマン」にむけて、映画『ブラックパンサー』などで共演した俳優「マイケル・B・ジョーダン」からの追悼文、その私家翻訳版です。
 原典は、マイケル・B・ジョーダン氏のインスタグラムの記事です(ページ下記の「原文」参照)。
 もし、誤記、誤訳など発見されましたら、コメント欄にてお知らせくだされば対応いたします。

——うさぎ小天狗


 がんばってみたんだけど、なんて言ったら、いまの気持ちをちゃんと言い表せるのか、わからなかった。それくらい、あなたとの会話、あなたの笑い声、ぶつかり合ったことも、ハグしたことも……あなたとの一瞬一瞬が思い出されてしまうんだ。

 もっと時間があったらなら。

 最後に話をした時、おれたちは永遠につながっている、と言ってくれたよね。いま、そのことが、これまで以上に真に迫って感じられるんだ。おれは、この仕事をはじめた、ほとんど最初の頃から——16歳で 『オール・マイ・チルドレン』に出演したときから——あなたが切り開いてくれた道を歩いていたんだから。自分を磨き続け、向上させるにはどうしたらいいか、人から評価されるというのがどういうことか、そして人々の心に残る「伝説」となるにはなにをしたらいいのかも、あなたが教えてくれた。だから、あなたは知らなかったかもしれないけど、おれは、ずっと、あなたの偉大な背中を見て、いろんなことを学んで、勇気づけられて、ここまでやってこれたんだ。

 もっと時間があれば。

 あなたが世界に与えたもの——あなたじしんの成し遂げたこと、そしてあなたが演じたヒーローたちは、これからもけして失われることはない。だからこそ、あなたがどれだけことを成し遂げたか、そしてあなたじしんがヒーローであったことを、あらためて考えると、胸を切り裂かれるような気持ちになるんだ。いつだって、愛するものを見放さなかったね。家族を、友達を、この仕事を、じぶんじしんのこころを、大切にしていたよね。子供達を、つながりを、おれたちの文化と、そこで育まれるひとのこころを、大切にしていた。そして、このおれまでも。まだこっちにいるうちに、花束を捧げて、あなたこそおれのアニキだと、伝えたかったんだけど、それはもう、できなくなってしまったんだね。

 間に合わなかったんだ。

 いままで、愛する人、尊敬する人と過ごせる時間が、こんなにも短いだなんて、気がつかなかった。いま、あなたが愛おしくてたまらない。まっすぐで、おおらかで、センスがあって、そしてものすげえ贈り物をくれた。おれは、あなたと共演したんだ。だから、おれは、残りの人生を、あなたのように生きると決めた。かっこよくて、勇気があって、振り返ることなく前を向いて生きていくことを。

「これがお前らの王か?」

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 ああ! そうさ、彼こそおれたちの王だ!

 ……見守っていてくれ、アニキ(Rest In Power Brother)。



I just cry for no reason,
I just pray for no reason
I just thank for the life, for the day, for the hours and another life breathin'
I did it all 'cause it feel good
You could live it all if you feel bad
Better live your life
We are running out of time

理由なんていらないんだ
 理由なんてないほうがいいんだ
 日々の一瞬一瞬に、生きていることに、ただ感謝するだけ
 正しいって思うことをしてきただけ
 だから、もしいやなことがあっても、きみなら大丈夫だ
 もっといい人生にしようぜ
 おれたちには時間がないんだからさ


——Kendrick Lamar,SZA「All The Stars」より。
翻訳は引用者)




原文



参考・引用文献


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