マスクと恥部

 マスクをつけたままの生活が当たり前になった。現代の状況を鑑みれば当然のことであろう。

 最近になって行動機会が増え、新しい人間関係も形成されつつある。素晴らしいことだが、私は彼らの目元しか知らない。言ってしまえば顔を構成している部分の半数以上を知らない。性別が何であろうとマスクを外して口元が見えた瞬間になんらかの感覚を抱くようになったのは私だけではないだろう。

マスクをしている生活はまるで中世の仮面舞踏会のようなものである。

 私はマスクをしていない生活を長らくしていたので、別に現状を揶揄するわけではないが子供にとっては危惧すべき環境であることは間違いない。このままでは自分の口元を常に隠しているため、恥部を隠すことと同義であると認識してしまうだろう。人間が自身の身体のどこに羞恥心を感じるのかは「自身の身体のどこを常に隠しているか」に依存すると考えます。やはり口や鼻も恥部となってしまう人、いや既になっている人がいるだろう。

私もマスクを外すのが少し恥ずかしい。

 




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