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#3「生物と無生物のあいだ」

最近、コメダ珈琲に来るとクーラーが直接当たる席に案内されるから、少し肌寒い。でも、席を移りたいって言えない。。。

今日、紹介するのは「生物と無生物のあいだ」(講談社現代新書)。中学校から理科が苦手で、高校2年で何の迷いもなく文系を選択した僕からすると、対極に位置する本でもある。

この本を読んだきっかけは、文系を歩んできながらも、最近になって理系分野に非常に興味が出るようになってきたことと、よく見るyoutuberの「あきおブログ」でこの本を紹介していたからである。

この本は、「生命とは何か?」という問いに対して、生物学?生物科学?の歴史を紐解きながら解説してくれる本である。難しい話の合間で、アメリカの街並みを描写するエピソードがあったり、難しい内容を噛み砕いて表現したりと、理科が苦手な僕でもなんとか読了することができた。

以下、感じたことをメモ。

 • 日本では英雄視されている野口英世のアメリカでの意外な評価。昔、親戚一同で福島県にある野口英世記念館に行った記憶があるが、日本では紙幣にまで描かれている人物の意外な評価を知って、歴史上の人物について所詮自分が知っていることは教科書に書いてあることだけだと感じた。

 • 相関関係と因果関係は別物であるが、勘違いしやすい。これは自分の仕事でも言える。相関関係だけを見て、さも因果関係があると考えてしまいがちだが、テストによる検証を行なったうえで、初めて因果関係があると言える。

 • 見えないからといって、そこに何もないとは言えない。

 • 人間を含めた生物は、目視で確認できるレベルでは固定されたもののようだが、分子?原子?レベルでは、高速で入れ替わる分子の淀みでしかない。面白い。10年前の自分と今日の自分は、見た目でわかる変化だけでなく、分子レベルでもまるっきり入れ替わっている。

 • 新たな発見をし、論文を発表するということにおいて、1位と2位には雲泥の差がある。というより2位に意味はない。厳しい世界である。

例えば僕の仕事で言えば、実績データを使って何かを説明するときに、100%全ての結果が思い通りにいってなくても、説得しやすいようにデータを意図的に選別することもあるが(もちろん、セーフな範囲内で•••)、科学の世界ではそんなことは許されないし、確固たるエビデンスがあって初めて認められるものである。血の滲むような膨大な量の実験をし、仮説構築、検証を繰り返して一つの論文を作り上げてきた歴史があったからこそ、現在の様々な事象につながっていると思うと、偉大な分野であると感じた。

この本を読んで実践していくことは、相関関係と因果関係の理解、仮説構築の訓練。

子供ができたら、理系に進む道もオススメしたい(文系理系という概念はいつまで続く?)、そんな一冊。

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