生きづらさを感じる貴方へ。映画『異端の鳥』
こんにちは。久々に徹夜した所、ガタが来ていますイポンスキです。
今日紹介する映画は
The Painted Bird / Václav Marhoul(2020)
基本情報
それでは簡単に映画の基本情報を
日本では去年公開されたモノクロ169分の戦争映画。
チェコ&ウクライナ合作映画。2019年のヴェネツィア国際映画祭でユニセフ賞を受賞
原作はJerzy Kosiński(イェージー コジンスキー)の小説。
タイトルは同じくThe Painted Bird(1965)
こちらは描写が残虐なので発禁書になったとかならなかったとか...
この衝撃の(いい意味で)問題作を映画化した監督、Václav Marhoul(ヴァーツラフ マルホウル)。
彼は小説を映画化する傾向が見られ、処女作もRaymond Chandler(レイモンドチャンドラー)の本に基づいた「MazanýFilip」を発表している。
こちらはどうやらコメディらしい。こちらも気になる。
さて、基本情報を踏まえた上で、さっそくあらすじへ移ります。
あらすじ
第二次大戦中にナチスのホロコーストから逃れる為、両親に疎開させられている少年が主人公。
彼がフェレットを抱え、走っているシーンから映画はスタートします。
彼はどうやら地元の子供たちからいじめを受け、逃げているらしく、少年は逃げきれず捕まってしまいます。
そして、大切にしているフェレットを奪われ、生きたまま目の前で焼かれる所から物語が始まります。(この時点でなかなかの衝撃)
そして、少年は焼かれたフェレットを抱き抱え、疎開先であるマルタ(老女)の家へ帰るのでした。
疎開先"マルタの家"に到着し、庭にフェレットを埋めてやり、お墓を作った少年ですが、マルタからは「自業自得だ」と冷たい言葉をかけられます。
少年はマルタに何も言えず、いつものようにマルタの作ったご飯を食べ、眠りにつくのでした。
そんな毎日を送る中、ある事件が起きます
少年は毎朝マルタに起こしてもらうのですが、その日はいつまで経ってもマルタに起こされることはなく、注意もされませんでした。
少年はマルタが起こしに来るのを待っていたものの、結局来ないのでベッドの上でゴロゴロして半日を過ごします。
日が暮れだし、暗くなってきた頃、流石におかしいと感じた少年は(昔ながらの油に火をつけるタイプの) ランプを手にマルタの様子を伺いにいくことにしました。
様子を見に行くと、マルタは椅子に座ってじっとしています。
少年が顔を覗き込んだところ
マルタは椅子の上で亡くなっていました。
驚いた少年はそのままランプを落としてしまい、ランプの火が床に移り、轟々と大きくなっていきます。
少年は慌てて逃げたので無事だったものの、火が鎮火する頃には木造建の一軒家は何も残っていませんでした。
そして、少年は生き延びる為に当てもなくフラフラと歩き、様々な村、家を転々としていきます。
ある村では彼が異質であるが故に地面に埋められたり、
ある家では男女間のアレコレによる揉め事に巻き込まれたり......
彼がそこにいるということが異質であることが痛いほど描写されています。
また、彼の身分については多く明かされないのですが、途中"オリーブ色の肌で黒い髪"といった表現が出てくる事から恐らくユダヤ人だということが推測できます。
時代的背景の要素もありますが、その土地にとっては彼がただただ異質な存在であることが伺えます。
感想
第一の感想は、うわぁ...うわぁ...でした。(言語化できない)
私は人間の欲求が(一般的に言う) 悪い方向へ出ている映画がとても好きなので堪らなかったのですが、人間の汚い部分を見たくない方には絶対おすすめできない映画です。
また、年齢でも何でも権力があったとして、
権力を無秩序の中で使うとどうなるのか。
自由と無秩序が重なった時、本当にこうなってしまうのかもしれない。
というある種、実験心理学のような印象を受けました。
戦争映画とはいえ、あくまでそれは背景的であり、彼がその場で異質であることがメインで語られていたように感じました。
その描写を踏まえると、シンプルに人間が得体の知れないものに対して恐怖を感じる現象が根本にあるような気がします。
これは割と現代でも(特に日本は)その性質がまだ強いのではないかな、と...。
私が大好きな人間の欲求が(いい意味で)汚く表れていていたので簡単に人間の欲求についても触れておきます。
マズローの提唱した人間の欲求
アメリカの心理学者、Abraham Harold Maslow(アブラハム・ハロルド・マズロー)が『A Theory of Human Motivation(1943)』にて提唱した人間の五大欲求について、軽く触れます。
〈人間の五大欲求〉
自己実現欲求
承認欲求
所属と愛の欲求
安全欲求
生理的欲求
(日本人特有の表現である三代欲求は生理的欲求に分類される)
これのどれが優先されるのかは、ゲームのランクやレベルで例えると分かりやすいのですが、ランクが上がれば次のミッションが用意されたり、レベルが上がれば新しい技を覚えたりしますよね。
その感覚で、この五大欲求は、生理的な欲求(下)から順に達成されていけばいくほど、次の段階の欲求を求める仕組みになっています。
あくまで自論ですが、この欲求は理性が働いている場合に適用されるのでは?と思っています。
心理学はまだまだ勉強中なのでもう少し考えを深めたらまた書き込みます。
そんなこんなで今日はここまで。
長々とお付き合いありがとうございました。
それでは皆さん良い1日を〜。
オマケ
筆者はこの回が一番好きです
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