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第九章 オトナはクソガキを燃やしたカスでパックする

当たり前のように夜勤をして、酒臭さを毒ガスの如く吐き出して登校。
学校のシャワーを浴び、学校のソファーで睡眠をとり、授業を受けた後に部活動

この狂ったサイクルの繰り返し。
私の生活のベアリング腐食し、異音を発していました。

私は大量のカフェインを体内にぶち込み、心の中で嗚咽しながら阪急電車に乗り出勤しました。
阪急は天六で堺筋線へと変わります。

高級住宅街と西成を結ぶ、関西の貧富の差を路線で表した電車。
やけにレトロな雰囲気の車内が、私の心を札束でどつき回してくるみたいで大嫌いでした。

私は堺筋線方面ではなく、梅田で下車。
サラリーマンと同じような服装をした女(※通称:ザク系女子)を横目に北新地に向けて歩きます。

平日だというのに、騒ぐ大学生らしき団体。
「このクソバカボンボン共を頭から灯油かけて燃やしたエネルギーで米炊いて食って寝たい」
と少し睨みつけながら心の中で呟き歩きます。
(※実際は、筋金入りの根暗なのでだれとも目も合わさず下を向きながら彼らの活気に飲まれないようにヒーヒー言いながら歩いている)


この曽根崎通りを渡れば、我が戦場北新地
膀胱が体の震えに連動し、少し緩むのを感じながら信号を待ちます。

信号を渡りそのまま直進。
堂島川の辺りで少し休憩してから進むのがルーティン
高級貴族が好んで吸っていたとされるハイライトに火をつけます。
(※ハイライトを愛したのは貴族ではなく、火野正平)

タバコから灰も出なくなり、焼けたフィルターから焦げ臭さが出てきてからそっと空き缶に吸い殻を捨てます。
そして、私は戦場へと赴きました。

自分の生き方は成功模範的。それ以外は下衆。と叫んでいるかのようにルブタンの靴を履き街を歩く金持ち。(基本的にこういう人種は刈り上げです)
その男の生き血を車海老の脳味噌のようにチュルチュルと吸おうとするホステス。(基本的にこういう人種は髪の毛をくさいパスタみたいに巻いてます)

そのような人種にまるで汚物を身体中に纏ったものを見るかの如く軽蔑の眼差しを送りながら店に向かいます。
(※実際は、こんな金持ちになりたいと指を咥えながら、メソメソとほぼ脱糞しながら羨望の眼差しを送っている)

相変わらず暗い店構え。
大阪中の闇を一気に集めたかのように。

店前でふぅーと心のマイナスオーラをため息と共に吐き出すも、97%以上は体内に残留してしまい、吐き気を催しながら店の階段を降りました。

壁にあいた人の拳と同じくらいの大きさの穴を視線の端側に感じながら、やけに重たい扉を開けました。

「おはようございます!!」
私は清潔健やか花王のような人間なので、大きな声で挨拶。
(※実際は体内から溢れる負のオーラが2キロ先まで届くかのような負け犬)

カチカチに硬いタイムカードを押し、鬼畜ボーナスラッシュタイムスタート。

相変わらず前半の暇な時間が続きました。
私はツムツム卒業し(雑魚すぎて中退)パズドラを始めていました。
次々とパズルドロップが消えていきます。
「おれのストレスもこんくらい消えてクレメンス」
と思いながら取り組んでいます。

ポツポツと入ったお客さんがいなくなり始めた頃、実質店長のHさんの彼女が来店。
アフターで連れてきた客は刈り上げの自称建設会社社長
部下と思われる青年は20代前半。
社会全体に不信感を持ち、腐ったみかんのように死んだ目をしたクソガキです。

おしぼりを渡すとすぐに人数分のチューハイをオーダー。

社長にチューハイを渡したら、「ありがと」の一言。
刈り上げの金持ちで初めていい人に出会った瞬間です。
クソガキは何も言わず、首だけ下げました。
目はギラギラ。「おれこいつの親殺したんかな」と思うくらいの目つきをこちらに向けたまま。

どつきたい。
という気持ちで一杯でした。
(※実際は指を咥えることしかできない腰抜け)


私は怒りを抑えつつ、Hさんの眼差しが確実にクソガキロックオンしていることを目で確認し、洗い場に戻りました。

さるかに合戦カチカチ山、数ある勧善懲悪の昔話
そのどれにも負けない物語が乾杯と共に始まりました。

続--

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