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アニメ「平家物語」

元来、歴史は好きですが、古典は苦手だったので、高校時代は勉強をサボっていました。馴染みがないままにアニメ「平家物語」録画して見る事にしました。そんな気持ちになったのは、キャラクターデザイン原案が高野文子さんだったからです。北村薫の「覆面作家シリーズ」の挿絵をされていて、そのキャラクターの可愛さに惚れ込んでいました。しかも元看護師さんということで、シンパシーもあり、憧れの人でした。

「平家物語」は一瞬に引き込まれました。美しい世界観、生き生きとした人物たち、オープニングの羊文学の「光るとき」の歌声・歌詞に心が鷲掴みされたような気持ちになりました。画面に広がる花鳥風月、800年前に生きた人たちが、確かにその時代に生きていたということが伝わってきました。

私たちは「平家が滅亡することを知っているのです。」ここに生きる人たちが悲劇的な死を迎えることを知りつつ、この物語を見続けているのです。時に未来(さき)をみる力のある、びわの瞳を通し、琵琶の弦の響きに悲しみを重ねるのです。時折、壇ノ浦の合戦のシーンや海の波にのまれるシーンが挿入されるたびに、この先の「死」の現実に引き戻されるのです。

以前、壇ノ浦を訪れたときに、関門海峡の波に荒さに、身を投げた平家の女性たちを思いました。この作品を最後まで見た後に、再び壇之浦を訪れる勇気があるか自信がありません。私はこの作品の「生命」の力強さと「儚さ」に心を掴まれているようです。これこそが「諸行無常」の世界観なのでしょうか。

それにしてもアニメーションという手法を駆使し、古典を新しい物語として制作した技術、スタッフ、演者の素晴らしさ、いや日本の国の文化の奥深さを思い知りリスペクトすると同時に、この国で歴史・文学を身近に感じられることに感謝の気持ちが湧いてきました。

学生時代に抜け落ちてきた文学・古典をもう1度読み返してみるつもりです。そしていつか穏やかな気持ちで「平家の悲劇」に向き合えた時に、壇之浦、平家ゆかりの地を訪ねてみたいと思います。

https://heike-anime.asmik-ace.co.jp


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