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窓の外は、ぐららがーぐららがー

童話「オッペルの像」の像の鳴き声です。子どものころ親によく読んでもらった「えばなしのほん」母と子の本シリーズの中の1編です。けっこう分厚い本の1編でした。

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私の一番小さい頃のお気に入りのお話がこのシリーズの中にあった「たろうぐま、じろうぐま」でした。あまりに毎晩、読んで欲しいとせがむので、親はもうたまらないとカセットテープに吹き込んだら、ピタリとせがまなくなったと聞いています。

私のお気に入りは「きたないちゃん」でした。顔も洗わない、爪も伸び放題のペーターとグレータのお話でした。なかなかインパクトのあるお話でした。

のちに岩波の子どもシリーズの「ものぐさトミー」も大好きでした。親の言うことを聞かないと、こうなるけど、なってみたいというせめぎ合いが子ども心にありました。

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さて大人になって本を開いてみると「オッペルと象は」宮沢賢治の作品でした。なるほど宮沢賢治表現は際立っているなと思いました。

一緒に見ていた夫が「こんな暗い内容、挿絵を子どもに読ませて怖くなかったのか?」と言いました。

言われてみれば、子どもの絵本だけど、とても暗い内容でした。実のところ物語の細部は記憶にありませんが、たしか最後は像の大群がオッペルを踏み潰すされるのです。

当然、昔の本の記憶とともに、像の鳴き声「ぐららがーぐららがー」を思い出したのです。しかも父親が読んでくれた野太い「ぐららがー」なのです。

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夜から雪の予報です。外は風が吹いています。時々、家が揺れそうになるほど強い風が窓を叩きます。まるで像の大群が哀しい叫び声を上げながら押し寄せてきそうな音です。

「ぐららがー ぐららがー」

あまりの強い風なので、風の又三郎はぶっ飛ばされてしまうし、銀河鉄道も運休です。さすがの注文の多い料理店も臨時休業でしょう。雨には負けないけど、むやみに豪雪に立ち向かうのはやめた方がいいよ。賢治さん。

というわけで、日本の上から早く雪雲が去るように祈っています。



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