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名付けようもない様々な感情は 居場所のみつからぬままどこかに 消える。

アパレルブランドのだうなぁちゃんから
去年クリスマス前に、受注販売の御洋服のモデルの依頼があった。

でも私はその時、医大のICUにいた。

過去に死亡例もある、セロトニン症候群。
過剰な幸せは時に人を殺そうとする。


ずっと死にたかった。

意識不明、全身硬直、瞳孔不同、昏睡状態。
3日目でやっと意識が戻った。
鼻、喉、口に繋がれたチューブ。
口に貼られたテープ。
両腕に繋がれた絡まりあう大量のシリコン、
その全ての先には私を生かす為の機械と点滴。

「死ぬ瞬間まで一分の隙すきを見せずに身構えていなければならないような境遇にいながら、なぜ生きようとしなければならないのだろう。」

全部自分が悪い。大事な人を沢山裏切った。

街を歩けば全人類に指を差されてしまう。

そんな過度な被害妄想に囚われ、
底無し沼に自ら入った。
そして底の無い底を探して潜っていた。

1番辛かった、そんな数ヶ月間。

その記憶は、
一時的な記憶障害で消えていたのに。
どうしても「死」への執着心だけは、
消えていなかった。
何故。そのまま死ねなかったのか。

ICUのベッドで泣き叫び、取り乱した。

意識朦朧の中で最後に見たのは、たくさんの看護師。注射器を持った医者。
冷たい何かが腕から体内に入る感覚に、
ひどく、勃然と憤怒が湧き上がった。




意識が遠のく。



長い長い幻覚と夢を見ていた。




目を覚ました時には、
ベッドの上で手足を縛られていた。
また他人に迷惑をかけて生きてしまった。 

やりきれない負い目が頭をもたげる。

両腕の大量の線。身体の大量のタトゥー。
鎧の様に彫ったタトゥー、自分を抑制するために線を沢山引いた腕は、意味を成さなかった。
本当は意味なんかなかった。
認めたくない。だけど、
全て、牽強付会。

退院。

セロトニンを制限された。
記憶も徐々に戻り、死にたい、
あの毎日がより地獄になって戻ってきた。
毎日意味もなく泣いてまた線が増える。 


嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌!

また、黒い犬を連れてやってくる被害妄想。

そんな時、ある特別な人に「色んなもの背負って、無理して、自分は普通じゃないって思って傷ついて見た目で人を避けようとする、だけど自分はそんなものに騙されない。君のもっと中の方を見てる。」と言われた。

胸を突き上げてくる何かで闇雲に涙が溢れた。何かが一つ一つ解決していって、

暗闇に風穴が開いた気がした。


私を追い込んで、殺そうとしていたのは、

自分自身だった。

単に命が助かっただけじゃない。
長い間枯渇していた「生」への希望が、


戻ってきた。


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