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【ゼミ生お薦め本】『ランドセルが教えてくれたこと~世界一やさしい社会貢献の教科書~』

著者プロフィール

中谷昌文(なかたに よしふみ)
1967年生まれ。広島県出身の社会貢献活動家、実業家。貧困家庭や児童養護施設の子供たちへランドセルを配る活動で知られている。さらに、営利目的ではない「社会に貢献できるビジネスモデル」の国内外への発信や、若手起業家の育成などにも注力している。

本の目次

1「マイヒストリー【社会貢献活動家・中谷昌文が生まれるまで】」
2「社会貢献活動家の私が考える【子どもを取り巻く問題と改善法】」
3「子どもたちの未来を作る【タイガーマスク運動・ランドセル基金】」
4「勇気と夢を詰め込んだランドセルと【子どもとの忘れられないエピソード】」
5「社会貢献活動家を取り巻く環境と【日本における社会貢献の在り方】」

本の概要

本書は社会貢献活動家として成功を収め、今もなお活動を続けている中谷さんから、少しでも社会貢献に興味のある人たち(特に若者)に向けて社会貢献に対する向き合い方やその実情などを伝えるためのものである。中谷さんは本書の中でたびたび「私に続いて社会貢献活動をする人が増えてくると嬉しい」というように語っており、そうした社会貢献活動への入り口を広げる役割がこの本には期待されている。

お薦めの理由

現在私たちは様々な社会問題に直面しており、それらの問題の解決に向けて動かなければならない時が来るだろう。そして、社会貢献活動というものがあまりメジャーでない状況において、自らが主体的にそうした活動を推し進める必要もあるだろう。そのような際の動き方や考え方などのヒントを本書を読むことで得ることができる。この本を読まないと気付けなかったことがいくつかあった。

中谷さんは、「ニーズが何なのか見つけ、それに応えることだけに力を注ぐ」ことが社会貢献において重要であると述べている。
まず、ニーズを見つける際に、実際に問題となっている環境や場所まで足を運んで自分の身をもって経験することが大切であるとは今までも聞いたことがなかった。例えば、小学生の間ではランドセルを持っていなかったり、ぼろぼろのランドセルを使っていたりすると、それだけでいじめられたり差別されたりすることがある。つまり、六年間自分の相棒として共に過ごしていくランドセルが立派なものだと子どもたちの心理的な部分にも良い影響があるため、ランドセルを寄付することは重要であるらしい。中谷さん自身、小学生の頃に自分のランドセルをぼろぼろにされたことがあり、それがショックだったことがこの活動に影響していると分析している。今まで経験したことを振り返ってニーズを発見することも社会貢献を始める上でとても重要なことであるという発見があった。これから興味のある分野に足を踏み入れて、その中からニーズを見つけることだけに注目していたため、昔の経験からニーズを発見することも可能であるということに気が付けたのは良かった。
また、必要以上の支援をせず、ニーズに応えたらすぐに退散することも重要であると述べられている。社会貢献活動は基本的に無償で行うものであり、活動資金なども自ら手配する必要がある。そのため、そのような活動をしていると「売名行為」や「偽善者」という風に見られることもある。ニーズに応えるだけに留まらず、余計な支援をしたり、現地に長居しすぎたりすると、実際に支援を受けた人からも悪いレッテルを貼られる可能性がある。また、そのような形で活動をしている人は、無意識に見返りを求めていたり、良く見られたいと思っていたりするらしい。

よって、社会貢献を長く続け、被支援者との良好な関係を築くためには、ニーズに応えるだけの活動をすることが重要なのである。社会貢献をしたいと思う人は誰かのためになりたいと思っている人が多いはず。そのため、余計な支援までしてしまいがちなのではないだろうか。私自身も支援をするのであれば、できるだけの多くの支援をしたいと思っていたが、支援をしすぎるのも良くないという発見ができたことはとても大きかった。
他にも読まないと気付けないことや新たな発見があると思われるため、社会貢献などに少しでも興味があるのならば本書を読んでみることを強くお薦めする。
(T. Y)

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