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【ゼミ生お薦め本】『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』

著者プロフィール

若林正恭
1987年、東京生まれ。ケイ・ダッシュステージ所属。春日俊彰とお笑いコンビ・ナイスミドルを結成。その後、オードリーと改名する。バラエティ番組を中心にテレビ・ラジオなど活躍の場を広げる。他の著書に『社会人大学人見知り学部卒業見込み』『ナナメの夕暮れ』。

目次

Ruta1 ニューヨーク 
Ruta2キューバ大使館
 El primer dia 1日目
 El segundo dia 2日目
 El tercer dia 3日目
 El cuarto dia 4日目
Regreso 東京
あとがき コロナ後の東京

本の概要

2017年7月に発行されたお笑い芸人オードリー若林正恭によるキューバ紀行文。旅行先としてキューバを選んだ理由、キューバの情景の細かい描写や、キューバで体験したことから著者が感じたことが主に記されている。第3回齋藤茂大賞受賞作品。

この本の主旨は、新自由主義や資本主義とはまったく別のシステムで生きるキューバという国を訪れ、そこの人たちはどのような暮らしや価値観持って生きているかということを知り、そこから東京やニューヨークと比べて違う部分や、反対に共通している部分を捉えることで、人の根源的な部分について考えることである。

お薦めの理由

まず、私が本書を手に取った理由は、もともとお笑い芸人としての著者のファンであり、著者が行っているラジオのリスナーであったからだ。著者が過去に出した本、『社会人大学人見知り学部卒業見込み』(2015年)、『ナナメの夕暮れ』(2018)もとても面白いのでお薦めしたい。私がなぜ彼にそこまで惹かれたかと聞かれれば、彼がとても多くの疑問を持つ人間だからだと答えるだろう。そして彼の疑問に対して、私はいつも多くの共感を得ていた。

彼は小さい頃から自分の生きづらさの理由が分からなかったという。なぜ自分はこんなに生きづらいのだろうか。本書も彼のそんな疑問からスタートしている。「日本と同じシステムで生きている国の人たちはみんな同じ顔をしていた。このシステム以外の国の人はどんな顔をしているのだろう。」そんな疑問から彼はキューバへと旅立った。そこで著者は、本当に自分が求めていたものを見つける。そしてなぜ生きづらいと思う日本で暮らし続ける理由を理解する。

新自由主義や資本主義のシステムを当たり前の前提とする世界で暮らす私たちは、あらゆる状況の中で競争を求められている。「誰々はあそこの大学に入った。」「あの子はこの間インスタで楽しそうな写真をあげていた。」このようなことを考えてしまうのはなぜなのか。誰のために、何のために私たちは競争を求められているのだろうか。疑問に思う人には、是非本書を手に取ってほしい。その理由がこの書の中に記されている。そしてこの国でどのように生きていくのか、考える手がかりがそこにある。
(K. A)


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