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無料コンテンツが提供者を疲弊させ、文化を衰退させる

やんやんは、新潟県というところで、主に、講座やワークショップなど、学びのイベントを軸として、いろいろなイベントを企画・遂行しています。

主なものが、いわゆる"歴史モノ"ですが、その他にも地域の人たちが学ぶことによって、有益だと思うものは、ジャンルに拘らず、ときには他団体とタイアップして、ローンチしています。

そして、やんやんの企画するイベントは、基本的に無料のものはありません。それは意識的に、そういった無料のものを作らないようにしているからです。

少し考えればわかることですが、どんなイベントにもそこには企画から遂行までの人件費はもちろん、集客のための宣伝広告費や、運営のための雑費、会場を借りれば会場費が、かかってしまう。それらを全て、‟持ち込み”でやろうとするとどうなるか。1、2回は続けられたとしても、とてもじゃないけど継続していくことなどできなくなるでしょう。

日本でよく誤解されているのが「非営利」=「お金を取ってはならない」という図式。これって、実は間違いです。

厳密には、「非営利」は、利益分を分配しないということ。この場合、分配とは、配当金のように、株主などに配分しないということです。
ですので、場合によっては、利益を出すことも当然認められますし、かかった人件費などは給料や謝礼として支払われるべきです。

このように、イベントをするために必要最低限の経費を確保し、持続した取り組みができるようになるためにも、非営利の団体でも、しっかりと利益を出して、それを事業に回していくことが大切なのです。

このようにいうと、大体聞かれるのが「けど地域の行政や博物館などがやっている(やんやんの会がやっている講座と同等の)講座は無料のものが多いじゃん。」です。この意見、ため息がつくほど多く聞きます。

市町村や各種公民館や博物館などが行っている講座は、そこに地方税などの税金や、公的な補助金、助成金、博物館などで有れば入館料などの収益が、補填されています。補助金や助成金はともかく、我々は税金の支払いを通して、あるいは博物館などの入館料などを通して、そういった講座の経費を支払っていることになるのです。なので、100%完全な無料のものというのは、存在しません。少なくとも、講座やワークショップなどといわれる学びのイベントに関しては、誰かが、何らかの形で支払っている、お金の流れがすでにできているから、成り立っているのです。

やんやんは、お金の流れ=エネルギーの流れと考えていますので、お金の流れが発生するイベントは、それだけエネルギーに満ちたイベントであると考えています。逆に、お金の流れが発生しないイベントは、それだけエネルギーが枯渇したイベントだと考えています。

それともう一点。あえて無料イベントを作らないことで、「参加者を選別できる」というのがあります。
やはり、無料にして、誰でもが参加という形をとってしまうと、参加する方もいい加減な気持ちで参加する人が多い傾向にありますし(もちろん、全部がそうだとは言いませんが)、運営側も「どうせ無料でやっているんだから」という甘えがどこかで生じてしまい、どこかでいい加減な、ガバガバなイベントになってしまう傾向があります。実は、これが「無料化で行う」一番の弊害だとおもっていて、主催者側として、このような事態は何としても避けたいのです。

最後に、「やんやん自身が儲けたいのでは?」という声もよく聞きます。
率直にいいます。「はい、儲けたいです」

だって、きちんと儲けを出さないと、次の事業につなげられない。あるいは、更なる質の高い事業につなげられない、という想いがあります。

質の高い教育講座を企画したければ、それだけ質の高い先生を講師にお招きしなければなりません。そのためには、当然、謝金として先生にお渡しするものも多くなりますし、出費が増えるのは当たり前です。

それに、実際、企画者側にまわればわかることですが、現実的なところ、学びのイベントはそんなに儲かりません。仮に、単発のイベントがウケて、参加者がたくさん集まって、経費以外の利益が出たとしても、次のイベントで同じように成功するとは限りません。事実、前のイベントで利益を出しても、次のイベントで、客足が振るわず、結果的に赤字になる、なんていうことはざらにあるのです。

市町村などの行政が運営するイベントなら、それでもいいでしょう。彼らはあくまで、行政事業の一環として、限られた予算内で、企画から、広報、集客迄行っているわけですから、仮に客足が伸びなかったとしても、実績として、カウントされるだけです。

ですが、やんやんが行っている活動のように、100%民間でやる場合、それで許されるわけはありません。必ず、フィードバックし、改めるところは改めて、次はより良い企画にしていく。これは、民間では当たり前の考え方なのです。

しっかりと参加費や入場料として、お金をいただいている。だからこそ、企画する側も運営する側も、より良いイベントやコンテンツを創り出していく。

‟お金を取らないということが「当たり前」“の文化にならないために。
そのために、少なくとも、やんやんの企画するイベントでは、無料要素は極力排除する。

それが、やんやんが、無料イベントをほとんど企画しない理由です。

そもそも、「儲けること」を、良くないことと考える。一部の地方に、いまだ見られるような、この考え方事態を、根本的に変えていかない限り、地方はいつまでも搾取され続けたままです。そこに光は生まれません。

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