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中国現地法人不正の発端

中国現地法人の不正は、その主体によって、駐在員による不正と現地従業員による不正の二種類に分けられます。その発端は様々ですが、多くの場合、内部通報等の申立や内部監査等を通して把握される不正の疑惑です。

中国現地法人における駐在員のほとんどは管理職であり、本社の信頼を得ています。そのため、現地事情に詳しくない日本本社による内部監査において、問題点が発見されない可能性が高いです。また、内部監査が形式的なものにとどまり、現地法人から提出された書類しかをチェックしない場合も、問題点が見過ごされる可能性が高いです。他方、外部の専門家の力を借りながら、書類の開示を要求して調査を行う場合は、問題点が明らかになるケースが比較的に多いです。なお、外部の専門家による資料請求等の調査協力要請に対して、過剰に警戒し、業務が忙しい等を理由に調査に協力しない管理職がたまにいますが、そのような管理職は、特に不正が疑われるため、注意深く調査することが肝要です。

また、当局による調査において不正が発見された事例もあります。近年、中国政府は、法令順守(商業賄賂、不正競争、環境汚染、無免許経営等)に関する無作為抽出調査を頻繁に行っています。政府当局には、毎年自らの管轄内の三分の一以上の企業に対して無作為抽出調査を行わなければならないという内部ルールが存在すると言われています。

上記に対して、現地従業員による不正の場合は、他の従業員による内部通報、日本本社の内部監査及び当局による調査のほかに、現地法人の管理職による調査で発覚するケースがありますし、現地法人が積極的に外部の専門家を起用し、監査を行い、不正が発覚するケースもあります。

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