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中国における不正の典型的なパターン:資産横領&循環取引

資産の横領
特に製造型現地法人では、従業員が、仕入業者又は販売先と癒着すること、在庫を不正に持ち出すこと、及び廃材を不正に販売すること等を通じて、会社の資産を横領する事例が存在します。この点については、日本でも同様です。
上記に加えて、中国では、発票 の偽造を通じて、会社の資産を横領することも典型的な不正手法として挙げられます。実務上、実際に利用した金額以上の発票を不正なルートから取得し、現地法人で費用清算を行うことがよく見受けられます。また、発票の発行時に、水増しして発行させるケースもあります。

循環取引
中国法上、循環取引の定義に関する規定はありません。一般論として、関与する複数の当事者が互いに商品の売買やサービスの提供等の相互発注を繰り返すことで売上高を計上し、最初の売主が最終の買主と同一になる取引を指します。その主な目的は、企業全体又は担当者等の業績や事業を粉飾することによって、銀行からの融資を取得することや入札の条件をクリアすることにあります。なお、中国では、上場会社や大手国有企業のグループ内において循環取引を行うケースがよく見受けられます。
中国現地法人は、「郷に入れば郷に従え」との理由で、積極的に循環取引を行うことや、中国企業の循環取引に協力を提供することがあります。なお、地方では、政府当局の担当官が、自らの企業に対する監督管理の業績を良く見せるために、企業間の循環取引を示唆することもあります。

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