エントランス

「自分ならどう書くか」がスタートライン。CCN賞公開審査で嫉妬する広告に会ってきた。

CCN賞とは、CCN(コピーライターズクラブ名古屋)が開催している完全公開審査の広告賞。

広告賞にはクローズドなイメージがあった分、完全公開審査というのはすごく面白いと感じた。

「嫉妬」と「透明性」で応募者の成長や、交流といった普段得られにくい体験の場を提供します。

たしかに。透明性の他にも、全部見れるからこその嫉妬もあると思う。つくる人にとっては、圧倒的なものを見せられるのが一番凹む。


審査会場は、まさかの女子大。少し緊張しながらも入ると、作品募集の際のポスターが。

「朝の時点では無名でした。」というのは、CCN賞が【当日開票、当日発表】だからこそのコピー。

毎年、打ち上げ会場で賞の発表があるらしい。打ち上げ会場が一瞬にして祝賀会に変わる。一度参加してみたい・・・。


広告の展示は、

①グラフィック・自由部門

②電波・WEB部門

で審査会場が分かれており、電波・WEB部門は3Fの部屋でラジオCMとテレビCMが淡々と流れていた。(一番前の席に憧れの箭内さんが・・・!)

そして、グラフィック・自由部門は体育館にずらーっと広告が並んでいた。

これがまた圧巻。ニヤニヤしながら、3周ぐらいしてしまった。あとカメラロールが広告の写真ばかりになってしまった。

以下、個人的に嫉妬したコピーを5本紹介。


センスの合う友達は、明日から敵。 イオンモール新小松

イオンモール新小松のセールのコピー。「地元の人たちが買いにくる場所と言ったらここ」というローカルの良さと、「あ〜あるある」という共感。新聞広告のバナーサイズ(?)での展開だったが、すごく印象に残った。シリーズものでしたが、他のコピーも全部面白かった。


スキルはスキから始まる。 名鉄自動車専門学校

専門学校の生徒募集のコピー。「好きを仕事にしよう」という表現はたくさん見てきたが、このコピーは素直に上手いなぁと思うのと同時に納得感があった。好きこそものの上手なれの、端的で読後感のある言い換え。「文字を観察すること」も良いコピーを生む種になるのかもしれない。


みんなの思い出話を集めると、ひとりの人生が出来上がる。 八光殿

葬儀社のコピー。感動系のコピーには大げさすぎて嘘が混じったり、「本当にそうか?」と思うものが多くなりがちだが、このコピーはスッと入ってくる感覚があった。当たり前のように思えるけれど、実はすごいこと。そこに焦点を当てて、シンプルな言葉で表現できるのがとても良い。


記憶に残るか。記憶がなくなるか。 & SAKE FUKUOKA

酒蔵のコラボイベントのコピー。思わず少し笑ってしまった。「美味しすぎて思わず呑みすぎてしまうこと」をどう表現するのか。考え抜いたその先が、この軽やかでウィットに富んだコピー。右上に小さく書かれたコピーだったが、記憶に残るものだと思う。


ネコは、孤独に強い動物でした。人間に育てられるまでは。 Doodle-Doo

ペットお世話代行サービスのコピー。ハッとさせられるのと同時に、何とも言えない読後感に襲われるこのトンマナがすごい。倒置法にすることによって生まれたこの読後感が、伝えたいメッセージを伝えたい温度感で伝えているのだと思う。


嫉妬するコピーを見たとき、嫉妬した気持ちで終わるんじゃなくて、

「自分はなぜこのコピーが書けなかったのか」

「どうやったら自分も誰かに嫉妬されるようなコピーを書けるのか」

を考えることがスタートラインになると思う。


見る人ではなく、書く人へ。

いつまでも広告を楽しんでいる場合じゃないな。

そう思いながらCCNのホームページを見ていると、会員募集のページを見つけた。なんと、会費を払えば、会員になれるらしい。(1年ごとの会員募集)

来年は会員として、票を持って会場を回りたいなぁと思う。

そうすればより、コピーに対して当事者意識を持てるような気がする。

いや、違うな。作品を出品して、受賞する気でやらないと。

ますますコピーに取り憑かれるほど、素敵な”嫉妬”に満ち溢れた空間を楽しむことができました。

来年も行きます。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。サポートしていただいた分は、もっとたくさんの文章を書くための糧にいたします。