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vol.44 コンピューティングの未来

はじめに

2024年6月28日、Appleは日本でApple Vision Proを発売しました。Appleにとって2015年のApple Watch以来、実に約9年ぶりの新製品となります。

このデバイスは空間コンピューティングという新しい体験を提供し、現実世界とデジタル世界をシームレスに融合させることを特徴としています。

Appleはこの新製品のデモ体験を提供しており、私も先日事前予約を経て、Apple Vision Proのデモ体験を行ってきました。

そこで今回は「コンピューティングの未来」ということで、Apple Vision Proのデモを通じて感じたことを記事にまとめてみました。


デモの予約

Apple Vision Proのデモ予約は非常に簡単に行うことができます。まず、Appleの公式Webページにアクセスし、デモ体験の予約ページに進みます。そこから、希望する日時を選択し、必要な情報を入力するだけで予約が完了します。

出典: Appleの公式Webページ

今回私はWebを使いましたが、Apple Storeアプリからも同様の手続きが可能です。予約が確定すると、確認メールが送信されます。

デモ当日

(1) Apple Storeに行く

デモ当日にApple Storeを訪れると、スタッフに話しかけると、少し待つように言われました。スタッフの方々は皆よく教育されており、待っている間も別のスタッフに声をかけられ、この新しいデバイスで何がしたいか、今後どのような体験の可能性があるのか等、雑談をしてくれました。

その後、担当の方が見え、デモの準備へと入ります。

(2) デモの準備

デモ開始前に、まず自分自身の顔のデータを読み込みます。読み込みが終わるとデモ機が来るのを待つ形となりました。ただ、このデモがよくできていると感じるのは、待っている間もそのまま客を放置するわけではなく、新しいデバイスを円滑に体験すべく、基本的なジェスチャー操作について説明を受ける段取りとなっています。指のタップ、スクロール、拡大・縮小など、基本的な操作を教えてもらいます。

その他、担当のスタッフの方の説明で印象的だったのは、VRやAR、あるいはXR等の言葉を一切使わず、「空間コンピューティング」であることを強調していた点です。このあたりも事前の教育・研修が徹底されていると感じました。以下のリンク先の説明が比較的分かりやすいと思いますが、要はVR等より上位概念となる総称と理解しました。

その後、実際にデバイスが来たので、いよいよこれを装着して体験が始まることとなります。

(3) デバイス装着

デバイスは思ったほど重くなく、快適に装着できます。

出典: 筆者撮影

装着後、いくつか出てくるアイコンに視線を合わせ、指でタップを繰り返します。スタッフからの事前の説明もあり、これらの操作はすぐに慣れることができました。

(4) デモ体験

その後デモの内容は以下の通り多岐にわたります。

  • 写真アプリで通常の写真に加え、空間写真、空間ビデオを鑑賞

  • アプリのウィンドウを360度自由に配置し、他のアプリも立ち上げて空間をフルに活用

  • デバイスのデジタルクラウンを回すことで周り全てを異なる空間へと瞬時に変え、没入感を体験

  • 上記のような状況下でも、スタッフが近づくと現実へとシームレスに戻る感覚

  • 大きなカンファレンス会場でのプレゼンテーション

  • イマーシブビデオを通じ、綱渡りやスポーツ、動物から恐竜まで、様々なシチュエーションにおいて、まるでその場にいるかのような臨場感

(5) 質疑応答

デモ体験後、自分の様々な質問 (例: Macとの連携) に対してにこやかに対応してもらいました。

そのような質問をしてもとてもスムーズな回答で、客からよくある質問等をグローバルで共有しているのかなと思います。

コンピューターの未来

今回のデモ体験を通じて、Apple Vision Proが提案する未来のコンピューティング (空間コンピューティング) の可能性を強く感じました。以下、ノマド会計士の視点から、ポジティブ、ネガティブ、それぞれの項目についてまとめてみます。

(1) ポジティブ

  • 空間を自由に使えるので (ウィンドウの大きさは自由自在)、財務会計系の仕事でよくある、たてよこスクロールの巨大なスプレッドシートでも見やすい。

  • 空間に多くのウィンドウを配置できるので、色々な情報を参照しながら議論や作業ができる。

  • 360度全て別のロケーションに変え、ワーケーションの擬似体験が可能。

今後、音声のインターフェースが発展したら、会計基準の質問のやりとりなども出来るようになるかもしれません。実際にApple Vision ProへのAI搭載の動きも報道され出しています。

Apple Intelligence is coming to the Vision Pro.
When Apple Intelligence was unveiled earlier this month, it was only promised for the Mac, iPhone and iPad. But there’s another device primed to get it: the Vision Pro headset. I’m told that Apple is actively working on bringing the features to the device, but it won’t happen this year. From a technology standpoint, the headset has more than enough memory (16 gigabytes) to run the technology. And the features, including notification prioritization, writing tools, an OpenAI chatbot and the new Siri, make sense for the headset — especially if Apple continues to position the Vision Pro as a device for getting work done and handling computer tasks.

出典: Bloomberg

また、3Dを取り扱えることから、現場でフィジカルに活動する必要がある職業 (製造業、建設業、スポーツ、及び教育や医療等の現場) との相性がよく、他にも色々と可能性は広がっていくかと思います。

(2) ネガティブ

  • 円安の影響も受け相当高価であり、手軽に手に入れることができる価格ではない。

  • バッテリー寿命 (約2時間程度) が短い。

  • 社会が慣れておらず、出先で使うには勇気が必要。

(3) まとめ

何ができるのかはまだ手探りではありますが、Apple Vision Proは未来のコンピューティングの一つの可能性を感じることのできるデバイスかと思います。この未来がどのように展開していくのか、非常に楽しみです。

あと、デバイスそのものに加え、これだけの経験をデモの30分という短い時間で客に教えることのできるデモプログラム及び教育・研修を受けたスタッフのレベルの高さも興味深かったです。

以上、未来のコンピューティングに興味がある方は、ぜひApple Vision Proを一度体験 (無料です!) してみてはいかがでしょうか?

おわりに

この記事が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。ご意見や感想は、noteのコメント欄やX (@tadashiyano3) までお寄せください。

この記事に記載されている内容は、私の個人的な経験と見解に基づくものであり、過去に所属していた組織とは関係ございません。

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