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イノベーションのジレンマ

読んだのでメモします。

それが破壊的技術なのかどうかの判断部分が最大の不確実性かなと思いました。


そもそもなぜ新規参入企業のイノベーションにより大企業が負けてしまうのか?


しばしば大企業が新興企業にやられる話を聞くが、大企業は技術革新をさぼっていたわけではない。持続的イノベーション(既存製品の品質upのイメージ)は行っていたが破壊的イノベーション(新しい技術で、往々にして最初の品質は既存より良くない)に対応できなかっただけ。破壊的イノベーションに対して大企業も対応法を考えてきたし多少は行ってきてはいるが、例えばマーケット調査の結果既存の主力顧客が全く興味を示さなかったり、市場規模が予想できなかったりするために、大企業は資源を大量投入できない。また破壊的イノベーションは下位の市場で起きることが多く、大企業にとっては収益性が低い。つまり、大企業は顧客の声を聴いていなかったわけではなく、その時に収益性の観点から投資しても意味がないと判断していたために資源を投下しなかったということである。優良企業である大企業で、すぐれた教育を受けた社員がこの何も見えない破壊的なイノベーションに対する投資を積極的に提案することは難しい現実もある。結果的に、破壊的イノベーションに対する市場が育ってくることにより、新興企業が大企業を負かしてしまう状況になる。



では、大企業は破壊的イノベーションに出くわした時にどうすればいいか??


①破壊的技術はそれを求める顧客を持つ組織に任せる:具体的には、独立した会社を新たに立ち上げるか適当な会社を買収し、そこで破壊的イノベーションに対応する業務を任せること。破壊的技術に対する市場については既存製品とコスト構造が違うため、同一企業内で対応することが非常に難しい。また、破壊的技術については既存製品と競合する可能性が高いことをあらかじめ認知しよう。


②組織の規模を市場の規模に合わせる:破壊的技術の商品化を目的とするプロジェクトはそのプロジェクトが十分に魅力的だと感じる小規模な組織に組み込もう。市場の成長幅が読みにくい破壊的技術に対する市場に資源を大量投資しても思ったような利益はすぐに得られにくいし、市場が成長するまで待とうとしても裏目に出てしまうことも多い。破壊的技術の市場については先駆者である方が後々膨大な利益を得られるため、適度な規模に抑えつつ参入しよう。一方持続的技術については遅れて採用しても競争力を維持できる場合が多い。


③失敗しながら新しい成長市場を見出す:持続的技術の場合と違い、破壊的技術の場合はそれがどこで使われるかの市場がわからないため、計画を立ててから行動するというよりは行動から入るくらいの姿勢が必要である。仮定を立ててから行動し、何か発見があればすぐに計画を修正するという試行錯誤をもって初めて成長市場を見出すことができる。


④破壊的技術に対応するためにその組織に何ができて何ができないのかを把握する資源(お金や技術、人材など)・プロセス(資源を商品やサービスに変えていく際の意思決定のパターン)・価値基準(仕事の優先順位を決めるための判断基準)の3つの観点から、どの部分を利用できてどの部分を利用できないのかを明らかにする必要がある。そして利用できない部分については、スピンアウト組織によって必要な能力を生み出したり、組織内で生み出したり、買収によって入手したりすることになる。例えばプロセスは既存事業の成功のために合理化が進んだ結果、組織構成がプロセスの一部になっていることがある。また長年によって醸成された価値基準は、CEOが注意して監督しない限り簡単に変化に対応できるようなものではない。


⑤技術の供給は市場の需要と一致しないことを認識したうえで、破壊的技術を商品化する際は、その商品の特徴が評価される新しい市場を見つけるか開拓する:商品のライフサイクルを説明する、購買階層という製品進化モデルがある。機能⇒信頼性⇒利便性⇒価格という各分野で製品が競争していくというもの。例えば機能が市場の需要を満たしていない時は機能が競争の焦点になるし、どの製品も機能の需要を満たすようになると、次は信頼性が競争の焦点になり、信頼性が需要を満たし始めると、次は~という流れになっていく。このサイクルの中で破壊的技術は競争基盤(機能面なのか、信頼性なのか、利便性なのか)の変化が起きる先触れになっている。そのほか破壊的技術は重要な性質が二つある。主流市場で破壊的製品に価値がない原因である特性が、新しい市場では強力なセールスポイントになることが多い。2つ目に、破壊的製品は確率手された製品に比べて、シンプル、低価格、信頼性が高い、便利といった特徴を備えていることが多い。このような特性を踏まえたうえで、どの市場に行くかを決定することが大事。もちろん試行錯誤で適宜進むべき道を変えていく。



その技術が破壊的かどうかはどうやって知るのか?


その技術が破壊的技術なのかどうかの判断は非常に難しいと思われる。

破壊的技術は既存市場では必要な性能を持たないために受け入れられないが、新しい顧客に対して新しい価値をもたらす新製品を生み出すような技術であるため、まだ市場がない。この本では電気自動車での例が本文で挙げられている。電気自動車が破壊的であるためには、それがまずなにかしらの下位の新しい市場で人気となり、さらに上位の主流市場(ガソリン車との競争がある主流市場)で人気になることになるため、結果的には主流市場で求められる性能レベルを満たす必要がある。そのため主流市場で求められる性能向上に対する軌跡と、新技術が提供する供給に対する軌跡を比較し、新技術の方が性能向上のスピードが高い場合、破壊的技術である可能性が高まる。また、その技術がどう使われうるのかを既存主流市場における顧客の"行動"から観察することも大事。初期に電気自動車ができたときは、”環境にやさしいくらいこと以外はほぼ全ての点でガソリン車より劣っているため売れないだろう”という判断が多かったが、こういった売れないという判断がされること自体が、破壊的技術である可能性を示唆する。破壊的技術は往々にして市場がないところに市場を生み出すためである。





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