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影響力の武器


影響力の武器という本がメンタリストDaigoさんにおススメされていたので読んでみました。交渉の際に使えるテクニックをまとめている本だという理解です。マーケティングメッセージを出す際も利用できます。なるほどと感じたポイントを記載します。


・社会的証明:人間の行動の大部分は周囲の人間によって決まっている。人は自分の社会的アイデンティティにとって重要なグループの意見に従い、逆らうことは難しい。メリットをおすよりも「みんなやってますよ」が実際は強い。例えば、納税督促状に「大部分の人は期限までに納税していますよ」と書くと納税を促すことができる。逆に、人は自分が所属したくないグループの行動は避けようとする。そのためある行動をやめさせたいのであれば、その人が所属したくないグループと結びつけることが大切。例えば、自分が学校でイケてるグループに属していると思っているとき、「そのTシャツ、あのオタサーでくそ流行ってるよ」といえばその服を着る気が起きなくなる。


・カクテルパーティ効果:ガヤガヤするパーティの中でも自分の名前には反応できるように、人は自分の名前に反応する。誰かを説得したい時、名前を意識的に呼ぶことで注意を引き付けることができる。ファーストネームの方がより効果的


・共通点を探す:共同作業を成功させたり、仲間意識を高める際は共通点を強調することが大事であり、特異な共通点を探すとなおいい。ex ”映画好き”よりも”ターミネーター2のコアなファン”という方が心理的につながる。


・コミットメントと一貫性:人は自分の過去のコミットメントと矛盾しないした行動をとりたいと考える。そのため何かをお願いしたいときは、口頭や文書でのコミットメントをとろう。「~をやります」や「~がいいと思います」のようなコメントをとれば実際にその行動をやってくれる可能性が高まる。契約書を結ぶのもこの手法の一つ。ただ、やりますと一回言ったくらいではやってこないこともあるので、さらに確率を高めるために、具体的なプラン(いつまでに何をやってくるのか)というところのコミットをとるのが効果的。


・部下やメンバーのやる気を高めるために:仕事の意義や重要性を認識させるような手段を講じることが大事。例えば商品を売ったお客様からの感謝の言葉をシェアする等。基本的だが、意外となされていない。


・未来へのロックイン:人は、すぐ先のことをやるかやらないかについては具体的な条件と照らして考えるが、遠い未来のことに関しては自分がそれをやりたいかよりも、それはやるべきなのか?という抽象的な視点で考えるようになる。明日からストローを全て紙製に変えましょうという方針は、コーヒーストアから反対を受けるかもしれないが、3年後からストローを紙製に変えましょうと言えば合意を得られる可能性が高まる。すぐに何かを変えるように求めて抵抗されるよりも、将来の行動を変える約束の方が簡単な場合がある。こういう戦略を未来へのロックインという。


・意外と期限は短めに設定した方が実行される。2か月有効な商品券よりも、3週間有効な商品券の方が実際の利用率は5倍高かったという実験がある


・過去の実績よりも将来の可能性の方がより強く興味を引くことができる。そのため、誰かを説得する際は将来の可能性で興味を引き付けたうえで、過去の実績を話すという順番が良い。


・退屈な会議を一変させる4つの工夫:①各出席者に情報提供を呼び掛けてから会議を始める。ブレストなどの場合は先に全員にアイディアを書かせてからスタートするのもよい。意見の強い人に弱い人がかき消されてしまうことを避けることができる。②会議の中心人物は常に一番最後に発言する。これも同様の理由。③チェックリストを利用する。来るべき人が出席しているか、偏りがないかなどをチェックしておく。④座席の位置は丸くする。こうすることで、強力・協調の雰囲気を作ることができる。


・服装は意外と大切。自分の知識と信用にふさわしい恰好をすることで、自らに権威を付けることができるため相手からの信頼を得やすい。また、相手の服装に近い服装をすることで類似性を強調でき、信頼を得ることができる。


・人は自分の考えに自信がない時は、専門家の意見を他のすべての要素に優先させる。説得を行う際に、早い段階で自分が関連した専門知識を持っていることを相手に知らせることで、自分のコメントに対して相手が批判的に考えはじめることを事前にストップすることができる。そして意外にも、多くの場面において最も説得力があるのは、専門家自身が確信を持てないなかでする提案や助言である。料理研究家が「この店に一度しか言ったことがないので絶対の自信があるわけではないですが、この店は最高だと思っています。」という方が、シンプルに「この店は最高です」というよりも強い説得力がある。


・スポーツと同じく、交渉を行う際はアウェイで行うよりもホームで行った方が自分の自信が深まり、相手が自信を持ちにくくなるので有利に進めることができる。重要な交渉の場合は、アウェイ(相手のオフィス)に行くのではなく、中立地帯を用意する(ホテル等)か、ホーム(自分のオフィス)に呼ぶ方が良い。


・生産性を高めるための親切:全体の生産性を高めるためには、親切を与えるだけでは足りず、親切を交換することが非常に大事。仕事では自分から気前よく援助の手を差し伸べるべきであり、その際には将来的その援助が報いられる見込みを高めるやり方で特徴づけることが大切になる。例えば、お礼を言われた際に「いいんだよ、同僚同士なんだからお互い様だよ」と言っておくとよい。管理職が部下を評価する際は他の従業員をどれだけ手伝っているかでなく、どれくらいほかの従業員に協力を求めているかも評価すべき。


・感謝の表明はやる気を高めるために非常に重要。感謝を表明すると結果として自分に返ってくる。シンプルにこれだけだが、忘れずにやろう。


・助けが必要なときは、助けを求めよう。人は他人が助けに応じてくれる可能性を低く見積もる傾向があり、お願すれば実際は思った以上に助けてくれる。


交渉を行う際に、自分から提案するか、相手の出方をうかがうかという議論があるが、結論としては自分が先に提案した方が良い。自分がある金額を先に提案することで、その金額が基準値として取り扱われることになり、最終的に自分に有利な結論になるため。ただ最初に提案する額や案は常識の範囲内にすべきであり、なぜそれが妥当であるかの理由を事前に用意しておこう。また何かの額を提示するときは、端数のある金額の方がいい。数字に端数があると、それを支持する根拠があるように相手が感じるため。作業に1000円かかりますというよりも985円かかりますと言った方が費用を積み上げてる感がある。


知覚のコントラスト:申し出の内容を一切変えなくても、申し出の直前に受け手が経験する事柄が変わるとその申し出への感じ方が変わる。1本15$のワインリストの中に35$のワインがあると高く感じるが、順番を変えて、60$のワインを乗せた後に35$のワインを載せれば安く感じる。何かを提案したいときは、その比較対象を何にするかを考えよう。また、提案内容が複数の品を一つにまとめたようなときは、品目⇒値段という順番で提示する方が効果的。「10つのデザートを2000円で」の方が「2000円で10つのデザートを」よりも効果的。これは人は最初に提示されたものにより注目するが、品目⇒値段とすることで、利益⇒費用という順番になり利益に注目が行くため。


・おまけのような特典を付加すると、実は提案全体についての魅力が落ちてしまうことがある。①とあるホテルの宿泊費、②とあるホテル宿泊費+レストランで、いくら払っていいかをそれぞれ聞いた時に、①の方が高くなってしまう実験があった。余計な特典を加えるとプラン全体の魅力が減ってしまう。追加特典はより少数の選ばれた顧客を絞って、彼らの好みに合ったものを提供することで全体の魅力を上げることができる。


ユニットアスキング:まず個別化した小さな部分について考えさせてから、大きな部分について同意を得ることで結果をより良いものにする手法。例えば、30人の貧困学生への寄付をお願いする際に、「まず、学生を1人思い浮かべてください。それから、その1人に対していくら援助してもよいと考えますか?」という質問を入れると、この質問をしていない時よりも寄付額が増加する。ただこの手法は、全体の数が大きすぎる場合はあまり機能しない。


・また支援をお願いするときは、その支援の対象(例えば支援を必要とする人)の特性がはっきりするような具体的な特徴を明示し意識を向けさせることが大事。匿名の対象よりも名前や性格などの情報が多い方が支援する対象の重要性をプラスすることができるため。また、その支援によって何をするのかを識別可能にして意識させることが大事。


・機会費用を利用しよう:例えば自分の提案が100万円のコスト削減になるとき、単純にコスト削減ができますということだけではなく、その浮いた100万円でなにができるかというところまで踏み込んで説明した方が自分の提案が魅力的に映る


スモールエリア仮説:人にやる気を出させる場合や何かの作業を終わらせたい場合、最初のうちは大量に残っている方ではなく、すでに終えた小さな部分に意識を向けさせた方が成功の可能性が高くなる。到達度50%を超えた時点で、残っている小さな部分に意識を向けさせよう。Q1で利益目標20%クリアした時。「Q1の途中でもう20%クリアした!」と言おう。Q2で60%に行ったとき、「あと40%だ!」と言ってチームのモチベーションを高めよう。


・他人の失敗のススメ:他人の失敗から学べることは多く、リスト化するとよい。理由として、1つは、他人の成功は複数の要因から来ているのでこれが原因とはわからないが、失敗は些細なひとつの事柄から起因することが多い。2つ目として、否定的な情報はより記憶に残りやすく、意思決定に重要な影響をもたらすため。3つ目は、自分の失敗の場合は言い訳をしたくなるが、他人の失敗なので失敗であると簡単に意識できるため。


・肯定的なレビューが批判的なレビューと同じくらい有益だと思わせるためには、その肯定的なレビューが当日の経験に基づくと明記するといい。「このレストランおいしかった」というコメントより、「本日行ってきましたが、このレストランおいしかった」の方が効果がある。


・忙しくても、機械的な文章ではなく、ユーモアを含めたり温かみのあるメールの文章にした方が、交渉の結果はより良いものになる。


ピークエンド効果:ある経験をしたとき、ピーク(絶頂)とエンド(最後)の瞬間で感じたことがその経験全体の印象を決定づける。このため例えばホテルを運営していたら、お客様が帰るときにプレゼントを渡すと印象が良い。

















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