あるEC専門家の熱い想い「オリーブを犬山市の特産品にしたい!」 オリーブに魅せられた男は、なぜDXマーケターで学ぶのか?
ECサイトの構築に携わっていた経験はあるものの、マーケティングの基礎・基本をあらためて学ぼうと「DXマーケター養成講座」に申し込んだという福山裕也さん。マイホーム購入を機に10年住んでいる犬山市でオリーブ事業を展開する福山さんが、どのような目的で本講座を受講するに至ったのか、そしてどのようなメリットを感じているのか。オリーブ事業の魅力と共に語ってくれました。
―まずは福山さんがオリーブ事業を始めたきっかけを教えていただけますか。
オリーブの木を育て始めたことがきっかけです。10年前に初めて、庭のある家を建てました。土のある生活に憧れを持っていたので、何を育てようか考えていたところ、一年中緑に囲まれる常緑の種類で、せっかく育てるなら食べられるものがいい。手に入りそうなものを調べた結果、2,3種類に絞られました。花言葉や見栄えを比べた結果、オリーブを育てることを決めました。
最初はネット通販で、2種のオリーブの木を1本と3本購入。調べながら育てていくと、オリーブは地球上に1,000種類もあることが判明しました。どうしても揃えたくなってしまい、買い物に行くたびに種類を増やしていった結果、気付いたら100本近くの鉢植えのオリーブになっていました。
同僚にもずっとオリーブの話をしていたところ「これは仕事になるのでは?」という話題が持ち上がり、事業化への意欲が湧いてきました。
しかし、それほど簡単なことではありません。最初に“畑をどうするか?”という問題が立ちはだかります。畑の借り方が分からず、問い合わせても門前払いという状況。なかなか見つけることができずに苦労しましたが、市役所に相談したところ、どうにか貸し手を見つけることができました。
まずは25本の木を植樹。今では少しずつですが、実が付き始めています。オリーブを育てている農家の多くがオイル造りを中心に事業を展開していますが、食べるオリーブを主軸としてやっている農家はいないという現状に気づきます。実際に日本でオリーブを食べる文化はまだまだ浸透しておらす、自分が風穴を開けられるとしたら“ここだな”と感じました。
イタリアには伝統料理としてオリーブの肉詰めフライがあったり、和風では天ぷらにして美味しくいただけます。まだまだ知られていない、オリーブの魅力をさらに広めたいと考えました。
―そこまでオリーブを事業拡大する気持ちや、オリーブの木をたくさん植えるまでに魅せられている、その魅力はどこにあったのでしょう。
言葉にするのが難しいですが、不思議と見飽きないことですね。朝、庭の木をチェックしていると2,3周してしまうくらい。他の木にはそこまで惹きつけられることは無かったですね。オリーブが唯一でした。
どうせやるなら最初から最後まで自分でやりきる、いわゆる“6次産業化”をしたいという気持ちがありましたが、HACCP(ハサップ)という衛生基準の大きな壁にぶち当たります。2021年の5月までに申請を行えていれば、食品の販売ができたのですが、今はキッチンなどの設備が整っていないと食品の販売ができません。そのため、鉢植えを売ったり、葉からお茶を作ったりしながら地道に事業を拡げている段階です。
あまり知られていないのですが、実はオリーブの葉からお茶が作れます。私自身は、畑を借りる段階から知っていましたし、実ができるまでは3~5年かかるので、それまでの戦略としてやってみようと考えました。作ってみるとけっこう美味しく、栄養価は実よりも高いことが分かり、これは事業として成り立つのではないかと確信しました。
お茶はすでに商品化していて、今はマルシェで出会った方に紹介したり、ECで販売先を広げたりしています。ECは仕事で携わっていた経験があるので、その知識を活かしています。
―オリーブを広めることに加えて、犬山市という地に根付いた産業として成長させたいという思いはありますか。
犬山の歴史に自分の証を残したいという気持ちがあり、そのためにこのオリーブを犬山の特産品にしたいと考えています。残念ながら、今の犬山には強い名物がありません。ですから、まったく新しい、ニッチな産業を興せば、より効果があるのではないかと考えました。“犬山でオリーブ”となれば、かなりニッチでインパクトがあります。犬山城以外の名物として、オリーブを目当てに観光客が呼べるくらいまで、成長できたら良いですね。
やるだけやってダメなら仕方ないです。ですが、できたら自分で名産品を生み出せたらカッコいいですよね。理想は子どもたちの記憶に残ることを残したいと思っています。オリーブの木を育てることは、数十年で終わるものではありません。木は千年生きると言われているので、長い目線で根付かせることを考えています。
―「町のため」「子どもたちの未来のため」という両軸があるのですね。
オリーブが地域に根付いてくれると長期的に犬山の発展に貢献してくれるので、未来は明るくなります。事業にはスピード感が求められるのですが、オリーブの木はじっくり育っていきます。それに合わせるしかないので、ゆっくり進めています。普段はせっかちなのですが、オリーブだけには異なる感覚で接することができているので不思議です。初めて何かを実行するときにゴールまで思い描くことができたのが、オリーブ事業でした。もし違う木と出会っていたらどうなっていたのか想像できません。
今は畑の面積を合計すると1,600~1,700平米ほど。広く間隔を空けることを意識しているので、まだ狭い方です。すべて一人で世話を行っていて、3期目に入りましたが、まだ実はついていません。これは予定通りで実ができるのは再来年、早くて来年と考えています。
今、販売しているお茶は知名度が低いためマルシェの活動は重要です。マルシェは皆に知ってもらうための大切な機会だと思っています。Webで伝えきれない事実を地域で直接伝えていくというイメージですね。
Webの仕事は並行して行っています。最近は個人で行っていたのですが、実はまた就職することにしました。果樹栽培は季節によって手が空くことがあるので、時間を有効的活用するために他のことを始めようと思ったからです。
―イメージ通り事業展開できている福山さんがDXマーケター養成講座に申し込んだ理由や期待していることを教えてください。
今まで本業でもECに携わっていましたが、なんとなく作業をしてきた感覚があります。作るだけなら手順通りにやればできますが、どうやったら伝えたいことが伝わるかが分からないままに作業だけをやっていたような状態です。なので、もう一度、原点に戻って基礎・基本から学びたいと考え、この講座を見つけて申し込んでみました。
最初の体験授業では、自分が学ぶべきことを聞きました。実は、その時は学校に通うか、この講座を受けるか迷っていました。会社で運営しているか個人かという違いや、大々的にカリキュラムがあるかどうかといった点で比較検討していました。
そこで自分の性格を考えたときに、学校だと淡々と進んでしまう可能性があるので、マンツーマンで指導してくれるこの講座を選択。講師の久保田さんはとても物腰が柔らかく、説明も丁寧で話しやすい方だと感じました。
―この講座でよかった、久保田さんから学べることが多そうだと、どのタイミングで感じたのですか。
その感覚は最初からありましたね。良い意味で自分が思っていた講座と違う進み方だったので、自分に欠けているものに気付くことができました。それまではマーケティングは“飛び道具”だと考えていました。しかし、決してそうではなく、基礎・基本を組み立てて初めて効果が実感できるということを、久保田さんは向き合って教えてくれます。
学校ではカリキュラム通りに進んでいき、表面的な部分しか学ぶことができません。しかし、久保田さんはマーケティングの本質を教えてくれます。“これは当たりを引いたな”と感じましたね。自分が今まで飛ばしてきたことを、改めて勉強できていることに満足感を得ています。
―福山さんのオリーブ事業にこの講座がどう結びついていくのでしょうか。
今の時点で直接的な効果はありませんが、今後、必ず生まれてくるだろうとの確信があります。学んだことを続けることが今は大事だと考えています。いわば、勉強して爆発前のエネルギーを溜めている段階です。考えて、まとめて、試して、また考えて、を繰り返しています。これが数年後、数十年後にもっと役に立ってきます。
久保田さんは道から逸れることなく教えてくれるので非常に助かっています。学校のように淡々と進まず、立ち止まって自分を理解してくれるような、寄り添ってくれる姿勢にとても好感を持っています。
時にはマーケティング以外の話もしてくれます。就職や転職の相談であったり、事業の悩みであったり。久保田さんは話を聞いてくれるだけでなく、答えもくれるほど優しい人です。例えば、就職活動の際、副業禁止の会社がオリーブ事業を副業と捉えてしまうときに、どのように伝えるべきかといった相談をしたこともあります。その時も的確に答えてくれて、私の背中を押してくれました。学校であれば、ここまで寄り添ってくれる人はいません。
先生でもあり、良き友人という存在でもありますね。場合によっては周りの友人や家族よりも先に相談することもあります。久保田さんはすべて受け止めてくれます。「DXマーケター養成講座」だけで終わらない久保田さんの人柄は大きな魅力です。
―今後は「DXマーケター講座」をどのように自身の事業や生き方に反映させていくかお聞かせください。
自分の事業を誰に伝えたいのか、どうして広めたいのかを考えることが大切だと学びました。今までは自分の好きなオリーブを、“いいものは伝わるだろう”と押し通そうとしていました。それまでもECに携わっていた経験から“なんとなく大丈夫だろう”という考えになっていたのかもしれません。
この講座を受講してからは“なんとなく”でなはく、“どうして”を考えることができるようになっています。“どうして”がないと振り返ることができません。次の展開を考えるときに、とるべき行動が分からなくなってしまいます。うまくいったときも、思い通りにならなかったときも自分の中で道筋が立てられるようになりました。この点は受講前と今を比べたときに成長した点だと感じています。これはオリーブ事業だけでなく、Webの事業に活かすこともできますので、自分のキャリアプランに積極的に取り込んでいきたいです。
表面的に物を売りたいとか、何かを伝えたいだけではなく、自分たちの考えを伝えていくという経済活動の根本を学ぶことができていると感じています。久保田さんの人柄によって、マーケティングだけでなく、生き方そのものに寄り添って影響を与えてくれました。これからも、ずっと良好な関係を続けていきたい、そんな先生であることは間違いありません。
福山 裕也(ふくやま ゆうや)
1979年、愛知県生まれ。バスケとお酒と自転車とキャンプとミニチュアシュナウザーが大好き。
Web制作会社、小売業のECサイト運営などを経験し、趣味で育て始めたオリーブ栽培を2020年から事業化。
仕事として関わること、担当することが多かったEC運営の中でもOMS導入などバックヤード構築を行い、業務効率化を進めることが得意。
オリーブ事業では現在、ECサイトと不定期にマルシェに参加し鉢植えやオリーブ茶を販売。
オリーブ事業:ACE OLIVE
URL : https://aceolive.jp/
プロ・インタビューアー
伊藤秋廣(いとうあきひろ)
株式会社エーアイプロダクション