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騒音セッション

金曜12時4分。
この場のいろんな音が耳に集まり、騒音セッションに気づく。

プシュッとビールを開けたくなるような日差しがぺかぺかといろんなものを照らしいる。
ぺかぺかを眺めながら、大きな建造物の下で私はうす暗い日かげに避難している。

名前も顔も知らない子どもたちはあっちで遊び、スーツ姿の人たちは私の仲間。
長い椅子の意図通りに等間隔に座り、離脱する人がいればあっちからこっちへやってくる。

前方、右方の大通りを走る車の音はセッションの中では控えめで、影をつくる高速道路の、車が通りすぎるたびに響くビーンという音の方が強い。
轟音を出す装置として公園の真ん中に君臨する噴水が、ずぅっと同じ速度で大量の水を放出しているものだから、もしやこの噴水は騒音をかき消すために騒音を出しているのだろうか、と設計者の意図に想いをめぐらせたが詳しくないので答えはわからない。

人工物たちの音の交わりの中で、人の声は子どもたちの高音だけ。
確かにここにいるはずのスマホを眺める人、リュックを抱え眠る人、おにぎりを食べる人たちの音はノイズレベルでも聞こえやしない。

私の足元へ飛ばないハトが歩いてき、目を合わせないようにしていると速度をゆるめず歩き去る。
無音の人たちの足元を無音で歩き続けてく。

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