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中国刑事ドラマ『狂飙』と孫子の兵法

今年の1月に中国で刑事・犯罪ドラマ『狂飙(kuáng biāo)』が放映され、大ヒットとなりました。このドラマは、中国共産党中央政法委員会の指導のもとで制作され、2000年代の中国反社会勢力の台頭とそれに結託した中国共産党幹部たち、そしてその内実を暴いていく刑事警察との20年に渡る抗争の物語です。

このドラマには、「しがない魚売り」であった高啓強(後に悪役のボスになる)が、世話になった刑事警察の安欣から読むようにすすめられた本の中に中国古代の兵法書『孫子の兵法』があった、というシーンがあります。そして高啓強は『孫子の兵法』を熟読して研究し、しがない魚売りからやがて反社会勢力のボスに成り上がっていきます。

『狂飙』のこうしたシーンの影響で、中国ではいま『孫子の兵法』に対する注目が再び高まり、本も売り切れが続出しているようです。

『狂飙』第15話では、高啓強と弟の高啓盛がオフィスで語り合うシーンがあります。そこで弟は「服従するまで敵をたたきのめすべきだ」とする自身の意見を述べますが、高啓強はそれに対して『孫子の兵法』の次の一節を紹介します。

圍師必闕、窮寇勿迫
包囲した敵軍には必ず逃げ口をあけておき、進退きわまった敵をあまり追い詰めてはならない。

『孫子の兵法』軍争篇
狂飙第15集

敵を追い詰めると、敵もイチかバチかで捨て身の反撃をしかけてくるため、自身への被害も大きくなりがちです。そこで高啓強は『孫子の兵法』を引用し、弟をいさめたのです。高啓強は『孫子の兵法』は読むたびに新たな発見があり、弟にも時間があったらよく読書するようにすすめます。

ご興味のある方は、ドラマ『狂飙』と『孫子の兵法』をぜひ!



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