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見識の高い人こそ人の意見を聞く

『老子』には「最高の善は水のようなものである。万物に利益をあたえながらも、他と争わない」とあります。

見識の高い人は水のように他と争わず、万物に利益をあたえながら、それを包容します。人の意見に耳を傾けるのは修養と見識の高さに関わります。他人の意見を好んで聞く人は、大局を見ることができ、小さな損得にはこだわりません。

春秋時代に、斉国の君主・景公は大の酒好きで、連日酒を飲んでも飽きませんでした。しかし、このままでは国家の大事に支障を来すのは間違いありません。そこで大臣の弘章は景公に諫言しました。

「君王は国事を重んじなければなりません。毎日酒に溺れるのは、暗愚な君主の振る舞いです。どうか一刻も早く酒を断ってください。それができなければ私に死刑をお命じください。」

景公は機嫌を多少悪くしましたが、弘章の主張にも道理があるために、どうすべきか迷い、宰相の晏子に悩みを語りました。晏子は景公の話を聞くと「弘章はあなたのような度量の大きい主君がいて非常に幸福です。もし主君が殷の紂王や夏の桀王のような暴君でしたら、とっくに彼の命はなかったでしょう!」と語りました。

斉の景公は晏子から酒池肉林の放蕩で国を滅ぼした殷の紂王と夏の桀王のエピソードを聞いた後に「すぐに禁酒する」と決意しました。その後、斉の景公は国家と百姓のために心を砕き、斉の国は景公の統治の下で繁栄し、百姓の生活も安定するようになりました。

斉の景公は他人の意見に耳を傾けることがうまく、たとえ批判を受けても、自分が主君だからといって驕り高ぶり、恣意的に臣下に罰を与えるようなことはありませんでした。

『資治通鑑(しじつがん)』に「意見をあまねく聞けば聡明になり、それを偏って聞けば暗愚になる」と語られています。当事者になると、人はみな迷いが生じ、自分の身の回りの問題が見えにくくなります。そのため、他人が適宜問題を指摘してくれるのは、自分にとっての助けになります。

もし称賛だけを聞き、批判を受け入れなければ、自分を見失い、有頂天になりやすくなります。賢明なやり方は、人の意見に耳を傾けることを学び、間違いがあれば改め、それがなければより励むことです。見識が高ければ他人の意見を受け入れることができ、人生において災いを避け、一層安定的な道を歩むことができます。

【出典】
国学生活2023-02-23 07:00「格局大了,就能容言、容人、容事」
https://mp.weixin.qq.com/s/UOxZr6iT3FSIZOMmj9ZQ6Q


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