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【中国介護施設の悩み】紙おむつ使用量について家族からのクレーム

日本では介護保険制度により、市区町村などの地方自治体が「介護用の紙おむつや排泄用品の現物支給や助成金支給」などを実施しています。

そのため、日本の介護サービス事業者がサービス利用者やその家族と「紙おむつの使用量」をめぐりトラブルになることは多くありません。

しかし、中国では日本のような全国的な介護保険制度はいまだ普及しておらず、例えば施設に入居した高齢者が紙おむつを使用した場合、原則として入居者がすべて紙おむつ代を自己負担する必要があります。

こうした背景から施設側と入居者側が紙おむつの使用量をめぐり、よくトラブルを起こしています。今回はそんな中国介護施設の紙おむつ使用に関する悩みの声を紹介します。

中国の施設管理者の悩み

施設入居者が使用する紙おむつやパッドについて、その家族は「介護スタッフが使用しすぎている」とよく不満をもらしています。

「以前、自宅では紙おむつを1か月に2〜3パック(20-30枚)しか必要なかったのに、なぜ介護施設では1か月に4パック以上も使用するのでしょうか?」

上のような家族の疑問について、私は家族に毎日の施設での使用状況を説明しました。入居者の特殊な健康状況により、紙おむつを普段より多く使用することもありますが、家族は理解しませんでした。

会社のスタッフや財務部門が上司に申請した後、会社が高齢者に割引での紙おむつ使用を行いましたが、私はこの解決方法に強く反対しています。この問題はもともと家族の認識不足や施設への信頼不足に起因しています。

施設が一部負担して割引で紙おむつを入居者に使用してもらうという解決方法は、根本的な問題解決にはならず、むしろ家族の介護施設に対する不信感をさらに助長させ、その他の問題のない家族にとっても不公平感を抱かせ、状況を悪化させる可能性があります(実際、その後そうなってしまいました)。

専門家の回答

紙おむつの使用に関する問題は、施設サービスの中で確かにもめ事やクレームを引き起こしやすいと言えます。

家族の認識不足と施設への不信感は確かに問題の原因の一部を占めているでしょう。この問題が根本的に解決できない場合、今後状況がさらに悪化する可能性もあります。

施設の自己負担や家族への財政的な軽減措置は、家族の言い分をそのまま認めることになり、施設の介護サービスが専門的でないと捉えられる可能性があります。

  1. 家族の立場に立って考える
    紙おむつは消耗品であり、長期の使用は確かに家族の無視できない経済的負担になります。もし介護スタッフが使用しすぎると、家族は浪費だと感じるでしょう。

    私たちは家族の気持ちをまず理解する必要があります。家族とコミュニケーションを取り、紙おむつの使用量をどのように合理的な範囲内に抑えるかを話し合いましょう。

    家族に自宅で使用する状況と施設で使用する状況の違いを理解してもらい、大きな違いがある場合はその合理性を説明する必要があります。この説明には十分な証拠が必要であり、それが十分でないと私たち自身も施設の使用量に対して疑問を抱くでしょう。

    以前のコミュニケーションで、おそらく家族が在宅介護時にどのように利用者をケアしていたか、高齢者の日々の水分摂取量、排泄頻度、排泄量について理解しているでしょう。

    これらの情報を施設での状況と比較し、高齢者の健康にとって最適なケア方法について話し合う際に、説明し強調するポイントにしましょう。

  2. 十分な記録をとる
    記録には排泄の状況、紙おむつの交換時刻、飲水量、および身体の健康の特殊な状況を含めます。この入居者のために毎月「記録表」を作成し、その情報を家族と一緒に確認し、可視的な証拠を提供します。

    もし家族がまだ信用しない場合、彼らを施設に招待して1〜2日同行してもらってもいいでしょう。

  3. 介護方法の改善を考える
    紙おむつの使用には長所と短所があり、紙おむつを着用したからといって必ずしもその使用をやめられないわけではありません。

    入居者がなぜ紙おむつを着用する必要があるのか、現在の状況でベッドからトイレに行くことができるのか、また尿瓶の使用が可能かどうかなど、これらの要素を評価し、排泄介護方法の改善を検討できます。

  4. 家族とのコミュニケーション
    家族の誤解や不信を高める言葉を避け、施設サービスの専門性に基づいて家族とコミュニケーションをとります。家族と入居者が自分たちにとってよいと判断すれば、ほとんどの人は理解し協力するでしょう。

    もちろん、極端なお客様(クレーマーなど)に対処する際、彼らの要求が入居者の健康に大きなリスクをもたらす可能性があり、コミュニケーションをとって説明しても効果がない場合、『リスク告知書』を結ぶ必要があります。

  5. チームで対応策を統一する
    紙おむつの使用に関して、介護チームで「統一された対応策」を話し合って実施することも非常に大切です。

    ●介護方法
    ●記録方法
    ●コミュニケーション方法(家族とのコミュニケーションのタイミング、定期的な連絡 - 家族に先立って施設側が積極的に連絡するなど)
    ●コミュニケーション内容 (現在の高齢者の状況、施設の具体的なケア方法など)

    上記の対応策を含む包括的なアプローチを採用し、その基礎の上でそれぞれのケースに対して個別対応します。

まとめ

中国の介護施設スタッフにとっては入居者の紙おむつが濡れた場合、適宜取り替えてあげたいところですが、家族がおむつ費用が高くなることからそれをよしとしない場合があります。

そのため、中国の施設管理者は施設での日々の介護記録などを利用しながら、丁寧に家族に状況を説明し、その了解を得る必要があります。

しかし、その了解を得るのは決してやさしくはないようです…

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