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【中国のマナー問題】配達員がキャンプ女子に叫んだ事件

在人之下、以己为人。在人之上,以人为人。

立場が他人の下であるときは、自分自身を基準として物事を考える。立場が他人の上であるときは、他人を基準として物事を考える。

出典:中国の格言

ここ最近、このようなショート動画がネット上で議論を読んでいます。

7月16日、広西省南寧市の青山大橋の展望台付近。二人の若い女性が川辺でキャンプしていたとき、携帯電話で出前を注文し、届ける位置を川辺のあたりと設定しました。

男性配達員は商品を受け取ってから、いそいで川辺へと向かいました。しかし、川辺についた後、配達員は注文書には配達位置がわかる具体的な建物情報等がメモされていないことに気づきました。

川辺はこんなに大きく、人も多いのに、ここで注文者を見つけ出すのはまるで「海に落とした針を探す」のと同じような行為です。配達員はすぐに携帯電話で注文者に連絡しましたが、相手は電話に出ません。
 
もう一度電話しましたが、やはり相手は電話に出ません。配達員は仕方ないのでチャット機能を使って連絡しました。相手はメッセージは返答しましたが、電話をするとやはり出ません。まもなく配達予定時間を過ぎてしまいそうでしたが、配達員は川辺をうろうろして探し回るしかありません。

川辺の最初から最後まで探し、ようやく注文者を見つけることができました。配達員は相手に何か不便があって電話に出られないのかと思っていましたが、そこにいたのはオシャレな服を着てしっかりと化粧をした若い二人の女性でした。女性たちは川辺に座ってケラケラ笑いながらおしゃべりし、その手には携帯電話を握っており、なんとも気持ちがよさそうです。

配達員はこのような光景を見て、やりきれなさを感じましたが、怒るのをがまんしました。注文者から低い評価をもらうのを恐れたからです。

しかし、配達員が次の注文を受け付けてその場から離れようとしたとき、この二人の女性は予定時間通りに注文が届かなかったと文句を言い始めました。
 
 この時、配達員は思わず自分のやりきれなさを全部言葉に出してしまいました。

あなたたちは「川辺」と位置を指定したが、川辺はこんなに多くて人も多いのに電話をしても出ない。私はどこに探しに行けばいいんですか!

私は川辺の端から端まで探したのに、あなたちはそんなに文句を言っているけど、それはいじめじゃないですかね。

配達予定時間を過ぎてしまうと私のお金が差し引かれてしまう。わたしたちが2、3元(40~60円)をもうけるのは簡単だと思ってるんですか?

しかし、最初から最後までこの二人の女性は配達員の方を振り返らず、謝る姿勢もありませんでした。近くで見ていた人がさすがに見ていられなくなり、この一幕をネット上にアップしました。撮影者の気持ちは複雑で次のように述べています。

当時川辺には何百人も人がおり、配達予定時間を過ぎてしまうと配達員の給与からまたお金が差し引かれてしまう。

この動画はたちまち注目を集め、無数のネット民たちが動画にコメントを投稿しました。

見た目はおしゃれでキレイかもしれないが、実際には単なる人でなしだ。

わたしたちは生活のためにこの炎天下で街中を走り回る配達員が大変であることを知っています。この配達員のように遠くまで配達しても2、3元しか稼げず、配達予定時間を過ぎてしまえばさらにお金も差し引かれます。

最終的に商品を届けても、お金が全くもうからないのは言うまでもなく、かえって交通費や時間のほうが多くかかってしまう。これでは誰もやっていられないでしょう。

しかし、これらの事情よりも無視できないのは、社会道徳と思いやりの心を欠落させたこの二人の女性たちです。

真夏の炎天下、彼女たちは川辺で遊び疲れて休憩し、お腹が減ったので出前を注文しましたが、配達員が電話がつながらず配達先を見つけ出せないときの内心の焦りや絶望を全く想像できていません。

生活は厳しいですが、しかしそれよりもっと厳しくて辛いのは、思いやりを持って扱われることがなかった人の心です。

これは東野圭吾が『悪意』で書いていた次のような言葉を私に思い出させました。

人の最大の悪は、自分が持つ最小の権力の範囲内で、最大限度に他人を困らせることだ。


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