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「WACK合同オーディション2021」振り返りトーク!オタクラッパー2人の白熱セッション(前編)

まずはこちらの記事を。私、石塚が参戦した日本橋ウォーズの記事である。

大会直後、2人のオタクラッパーは約90分にわたり、トークセッションを行った。2人にとっては日本橋ウォーズと同じくらい、それは重要なイベントだった。そう、「WACK合同オーディション2021」の振り返りである。

そのオタクラッパーの片割れはもちろん、私、石塚 a.k.a ヤンヤンである。もう一人は大阪で活動しているラッパー&オーガナイザ―のHi-uS氏。

我々にはWACK SLAVEという共通点があり、以前から仲は良かった。日本橋ウォーズにもレペゼンWACKで出場し、お互い、優勝も経験した。今年の合宿もニコ生の前にはりつき、LINEで実況し合ったものである。

一体、オタクラッパー二人はニコ生の画面で何を見たのか?これは、我々の7日にわたる、青春の備忘録である。まずは前編からお届けしたい。

レベルが高いからこそ途中で停滞してしまった

ヤンヤン(以下:ヤ) どうよ、WACKオーディション2021の総評としては。 

Hi-uS(以下:H) まあ、今まで以上にレベルが高かったとは思うっすね。ある程度歌えてるし踊れるし。

ヤ:いつも歌唱審査で声小さいとか歌詞忘れてるとかで怒られてたのに、さすがに5回もやってると学習するんやな。

H:そういうポンコツなところがよかったりもしたんですけどね。

ヤ:初日の段階で課題曲が入ってない子は一人もいなかった。上手い下手はあったけど、最低限のことはしてきてたよな。最初の2日くらいはニコ生も「過去最高の合宿」って盛り上がっていた。俺の印象やと、メンバーが来てからちょっと停滞したんよね。

H:ああ。いつもの合宿に戻った感じはしましたね。メンバーについていく感じ、頼る感じになってしまったっす。殻にこもるっていうか。

ヤ:思えば、ハルナ・バ・ッチーンとかムロパナコとかナアユとか、合宿で「できなかった子たち」って、メンバーが来たことで安心していた。できない子って、メンバーに完全頼れていたから。候補生としては楽なんよね。ナアユなんて、ムロパナコに救われたと俺は思ってるから。でも、今年はみんなある程度できただけに、メンバーが来たとき、差を実感してしまったんやと思う。ほら、MCバトルでも、ほんまの初心者って物怖じせえへんやん?ちょっとラップができるようになると、相手の巧さが分かるからビビッてしまう。

H:なるほど!分かるっす。

ヤ:だから、3~4日目の停滞につながった。それでいうと、4日目夕方の審査、「pretty pretty good」が突破口になった。

H:あれで合宿のモードが変わりました。

ヤ:序盤は「みんなよくできてるね~」で褒められていた。でも、中盤に入ってもそれじゃあ物足りない。あそこで、みんな目の色が変わったよね。

H:やっぱGANG PARADE復活ですよね!あそこから空気が別物になりました。

ヤ:あの審査でよかったのは、できる人とできない人の差がくっきり分かれたこと。できない組が呆然としたまま、それでも発表の場にいるのがすごく異様な光景だった。でも、記憶に残っているのはそういう組だったりする。

H:4日目なんで何とも言えないっすけど、そういう子らがいるのも合宿っぽくてよかったですね。ナアユとかを思い出しても、伸びしろがある方が面白いし。成長を見られるのは合宿の醍醐味なんで。完璧な子だけじゃなくて。

ヤ:ギャンパレ復活で俺は「エンジョイプレイ」の時点で泣いてたんやけど。

H:はい(笑)

ヤ:それは置いておいても。あの3人から何を受け取ったかだよね。ギャンパレは完璧に踊れているからすごいんじゃない。

H:別に持ち歌だから、完璧なのは当たり前。その先ですよね。

ヤ:気持ちの問題よね。そこで技術の方をとってしまった候補生が落ちていったような気はする。まあ、これは後で深く語るけど。Hi-uS君的に印象的だった候補生は?

ゴ・ジーラを彷彿とさせたテラタイリク

H:やっぱりテラタイリク・ユウカじゃないですか?大陸ちゃん。最初はそれほど感じるものがなかったんですが、合宿が進んでいく中で存在感が強まっていきましたね。

ヤ:ストイックなスリートイプが勝ち上がるストーリーは新鮮だった。

H:そうですね。

ヤ:芸能経験者っぽくもないし。部活とか真面目にやってる雰囲気。WACKでは珍しい。あと、卓球の時の大陸ちゃんが本当に良かった。

H:あれは審査に関係あったんすかね?なかったらもったいないくらいの活躍でしたけど(笑)。

ヤ:勝ってもそんなに喜ばない感じとかさ。

H:ミユキエンジェルとかがすごく自信ありそうだったのに、勝ちをかっさらっちゃう(笑)。すごい厳しい部活とかやってそう。

ヤ:平手友梨奈(元欅坂46)とか白石麻衣(元乃木坂46)も学生時代は部活を頑張っていタイプ。体育会系出身者は意外とアイドルとして成功しやすい。

H:ゴ・ジーラのときに思いましたよ。ダンス経験がなくても、運動経験があると成長が速いっす。

ヤ:ゴ・ジーラの後期のパフォーマンスはすごかった。あと、「nerve」のエビ反りはいまだ、ゴ・ジーラが最高!

H:(笑)

ヤ:ちょっと引くくらいだったよな。そうか、大陸ちゃんはゴ・ジーラっぽいな。

H:めちゃくちゃ明るいわけでもなく、クールで。

ヤ:ただ、BiSの合宿オーディションでゴ・ジーラを初めて見たときは「マジでコミュニケーション苦手だな」って感じだった。大陸ちゃんはそういう感じでもない。

H:練習のときも話できてたし。WACKの中でもやっていけそうです。ナアユも事務所に入ってからスキルアップしたじゃないですか。そういう感じになってほしいっす。期待はすごくできる。あと、ユウドット・comみたいにすぐ辞めちゃわないことを願います。

ヤ:ユウも今年のオーディションなら事情が変わったと思う。やっぱり、コロナ対策も進まない中、ただただ露出が減るだけだった去年の状況はきつかっただろうし。映画『らいか ろりん すとん -IDOL AUDiTiON-』でもそのあたりは描かれていた。

改めてイギーの脱落を振り返る

ヤ:落ちた子で印象に残った子はいる?てか、どうせイギーの話になるんだろうけど。

H:そうっすね(笑)。なんでしょうね。今までの候補生にいない感じ。スキルが全体的に高かったっす。歌もダンスもそうだし、ルックスも完成されてました。

ヤ:NOW EMPiREが合宿に来たときも逸材感はあった。でも、NOWは途中まで言われたことをこなしていて、終盤で覚醒した印象。イギーは最初から長所をしっかりアピールできていた。なんかやってたのかな?

H:芸能活動かどうかは分からないですけど、ダンスとかはしっかりやってるかもしれないですね。

ヤ:ダンスのクルーとか入ってそう。

H:何も関わってなくてこれなら…

ヤ:『ホーリーランド』の主人公やん(笑)

H:コーラやもしもしちゃんと比べてもパフォーマンススキルは圧倒していました。

ヤ:少なくとも最終日までは残ると思っていたから、5日目での脱落は驚きだった。でも、渡辺社長が落とした理由をチャントモンキーが情報漏えいしてしまって(笑)。

H:(笑)。

ヤ:今年はコロナの関係で、ニコ生のプレミアム会員向けの飲み会ができなかった。その代わりに渡辺社長が一人で話す時間が多くて、裏事情を割と聞けた感じだった。イギーについても「合格すると思ってしまったから落とした」って聞けて。

H:納得もしましたよね。あれだけ才能あるんだからもったいない感じもしますけど。ずっと人気投票も1位だったし。そのことでショックが大きくて、救済措置のオセロに気持ちを切り替えられなかったのか。

ヤ:詳しいことはモンちゃんが話してるから省略するけど(笑)。でも、モンちゃんとイギーの練習風景は衝撃的だった。すごくスパルタ方式で。あの厳しさってニコ生では「モンちゃんもやりがいがあるんだろう」みたいな盛り上がりを呼んでいた。でも、モンちゃんとしては「期待以上の仕上がりにしないとイギーは落ちる」って察知していたんじゃないか。

H:はいはい。

ヤ:視聴者ほど楽観的じゃなく、切羽詰まってやってたんじゃないか。カメラにも抜かれた、5日目夜の最終チェックはすごかった。モンちゃんが仁王立ちでイギーのダンスを見ていて。今までの合宿の中で一番威圧感がった。まあ、2019のマリン・バがいたけど(笑)。彼女はテンパって圧をかけちゃってただけだしね。モンちゃんは教官としてやってたよね。モンちゃんが本当に危機感を持っていたのだとすれば、その感性はすごい。

H:3期BiSがそんな感じなのかもしれないですね。2期が終わったところからすぐ始まって、プレッシャーの中でやってきただろうし。でも、経験があっても合宿みたいな舞台でしっかり発揮できるのは恐ろしいですね。そんな子を見抜いていた渡辺社長も。

ヤ:モンちゃんは3期BiSのオーディションで面談中に合格が決まった。それくらい完璧な素材だったんだと思う。渡辺社長にとって2期BiSが失敗だったのだとすれば、3期BiSでは精神性を重視して選んだんだろうね。性格は全然違うけど、プー・ルイとかこういう思考の持ち主だったんだろうな。

とにかく優しかったリンリン

ヤ:では、WACKメンバーも語っていきましょう。まずはBiSHからのリンリン。まあ、優しかったね。

H:いわゆるリンリンっぽさもありつつ、先輩っぽい振る舞いも見られました。

ヤ:でも、WACKの後輩からは近寄りがたいんだろうな。

H:その関係性は見えましたね(笑)。でも、パフォーマンスも流石で。イメージが全力でやる感じじゃなかっただけに、合宿で一人で来ると、存在感が際立ってました。

ヤ:候補生とコミュニケーションもとっていた。

H:救済措置のオセロとかも必勝法を教えてくれたらしいですね。すごいなあ。

ヤ:6日目の夜、残った子たちに話しかけてたリンリンは感動的だった。2018の合宿で、最終日、一人だけ不合格になった、みみらんどに裏で話しかけてたのを思い出す。(映画『世界で一番悲しいオーディション』参照)

H:はいはい。後輩思いというか、下に優しい人なんでしょうね。

ヤ:そういうリンリンの面がはっきり見られたのはよかった。でも、パフォーマンスは何やってもリンリンだったね(笑)。

ココと渡辺社長の関係性

ヤ:次は、ココ・パーティン・ココ(GO TO THE BEDS)。

H:すごいの一言です。ココらしい明るさもありつつ、パフォーマンスも全力で。どうなるんかと思ってましたけど、一番予想を裏切られたメンバーかも。ムードメイカーでリーダー気質もあり。

ヤ:なんだかんだで渡辺社長とも仲良いから、あしらい方を分かっていた。6日目の夜、渡辺社長がココとユユと月ノを説教してたんだけど、割とヘラヘラしてた。普段はあれくらいの関係性なんだろうね。合宿の渡辺社長ってやっぱり、よそ行きのスイッチを入れてるんだと思う。

H:WACKの雰囲気が見えました。あと、ギャンパレが分裂してからのメンバーたちが心配だっただけに、ココが元気でよかったっす。

ヤ:PARADISESがウジウジしてただけに…。

H:ココの明るさが際立ちました。パフォーマンスに迷いがないから、候補生もついていきやすい。そういう意味では、ココのチームは常に空気がよかったっす。

背負ってるものの大きさが見えたユユ

ヤ:テラシマユウカ(PARADISES)にいきましょう。ギャンパレではすごく成長したし、PARADISESでもお姉さん的な立場でよくやれていると思っていた。でも、「本来はこういう子だったよな」って(笑)。

H:イメージ通りのユユでしたよね。PARADISESでは後輩を引っ張っているけど、合宿でココと絡んだりすると…

ヤ:昔の泣き虫に戻っていた。

H:もちろん、悪いイメージではないんですけどね。そういう子がPARADISESでは頑張ってるんだって。まったくがっかりしたとかはないです。それがユユちゃんだし。らしさがありました。

ヤ:象徴的だったのが、序盤の面談。ユユが渡辺社長に「月ノ最近暗すぎ。親死んだんかなってくらい」って言ってて。そしたら、「いや、お前もだよ」って返されてた。

H:ははは。

ヤ:そこまで自覚がなかったんだろう。知らず知らずため込んでた負の感情が、合宿で押し寄せてきたんじゃないか。それで、ココの前でメンタルブレイクを起こしたりしちゃった。本来は、それで気持ちをリセットする子だと思うんだよ。でも、PARADISESでリーダー的な役割を担うようになり、それができなくなった。

H:弱音を吐けない立場に。

ヤ:逆に、ユユの背負っているものの大きさが分かった。

H:月ノがレンタル移籍したり、新メンバーが入ってきたりで転換期ですもんね。ココみたいに気心の知れたメンバーの前だと本音が出てしまう。

ヤ:あと、なんとなく、一番ギャンパレに後ろ髪を引かれてるメンバーのような気がした。ココと月ノとの比較では。

H:元ギャンパレメンバーの中で見ても、そう思えちゃいます。

ヤ:その残酷さが垣間見えた合宿でした。

H:確かに、そんなこと普段は分からないですもんね。

(後半に続く)



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