【感想日記】映画秘宝の休刊に寄せて~ボンクラとか不良中年とかマジでかっこ悪い~

僕が映画秘宝を購読していたのは2014年ごろまでです。夢中になって読んでいた時期もありましたし、カナザワ映画祭や爆音映画祭なども映画秘宝で知りました。それなりに感謝もしています。

映画秘宝が今回、休刊になった理由は、一部のネットユーザーが発信しているような「売れなくなったから」ではないと思います。確かに、洋泉社から双葉社に異動して、売上が下がった可能性はあるでしょう。ただ、さすがに採算が取れないほどではなかったのではないでしょうか。

普通に考えれば、「双葉社からの休刊勧告」「編集部の存続の危機」あたりが休刊の理由でしょう。2021年1月に映画秘宝元編集長が起こした事件とそれに連なる対応のまずさが原因なのは言うまでもありません。ここに関しては僕自身、何度も批判してきたので今更詳しく述べることは止めておきます。ただ、被害者女性を攻撃し、「あいつが休刊に追い込んだ」みたいな言い方をしている読者は紛れもないクズだと思います。そして、そんなクズに支持されている雑誌に成り下がった映画秘宝関係者は、深く反省してほしいです。

こんな書き方をするのも、映画秘宝の問題について、当事者たちがあまりにも無自覚すぎると思うからです。僕が思うに、映画秘宝の大きな問題点は3つです。

①編集者やライター陣の驕り

②責任者不在の典型的な出版・クリエイティブ業界のワークフロー

③身内への異常な甘さが生み出した被害者(と業務委託スタッフ)軽視

①については、火を見るより明らかだと思います。一時期、映画秘宝がキネマ旬報や映画芸術といった権威化した雑誌に対し、カウンターになりえていたのは事実だと思うんですよ。だけど、多くの読者を得て権威になった映画秘宝は、「権力者の立場で周囲を攻撃する」という状態に突入していたわけです。まあ、今のダウンタウンやとんねるずが見せている「いやらしさ」を引き合いに出せば分かりやすいですが。

昨年のDM事件があった後、僕は何人かの映画秘宝に寄稿しているライターから絡まれましたが、とても妄信的な印象を受けました。DM事件の対応に関与していた編集者のTwitterを掘り返していたら、やたらポリコレ批判を繰り返していたのも気になりました。『ラスト・ナイト・イン・ソーホー』について「性暴力と売春は切り離して考えなければ」と書いていたり。この手の発言をDM事件以降にできちゃうのが、迂闊と言わずして何なのか。

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