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外出自粛に見る日本的習性(1)ー おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。ー

皆さん御存知かと思いますが、北海道は新型コロナの感染・発症者が98名に達しました。潜在的な感染・発症者は1000名に達するそうで、感染と発症とは別なため、感染経路が全く分からず、市内は恐慌状態にあります。老人や子供が重篤化しているため、一種のバイオテロに近い恐怖ですね。昨日もいきつけのスーパーで男性がいきなり倒れて搬送されました。

とはいえ、先週の緊急事態宣言で準外出禁止令がでたため、この成果が2週間後に判明するまでは、もう一踏ん張りといった所です。身内びいきと言われればそれまでですが、元来北海道民は明治以前の歴史がないせいか、帝国時代の中央集権的伝統(※)があるため、東日本大震災、胆振東部地震も含め、行政の命令一下、粛然と行動する傾向にあり、買い占めや騒擾を起こしにくい性質を持っています。胆振東部地震の際は、信号が停止している中6車線道路を車が行き交い、歩行者が横断してもぴたっと車が止まって、整然と交通が機能している他、商店が無料で冷凍食品を配布し、自家発電の電気を無料で提供している様子をこの目で確認し、ほっとしたものです。
※北海道の「中央集権」の中央とは、主に旧陸軍七師団(非帝大系)・旧北海道帝国大学・北海道庁・札幌市などを指す。

その一方で、今回は秋元札幌市長が初期の段階で、感染者と感染経路の公表による準戒厳体制に入ることを主張したにもかかわらず、鈴木知事がそれを拒否し、市長が何故か全くテレビに出てこない―現在まで―ということがありました。鈴木知事は東京五輪前の騒擾を避けたい意向と、インバウンドへの配慮を当初強調していたので、決定的な対立が発生したのだと言われています。したがって、本州では鈴木知事は英断だと言われていますが、「尻に火が点いて秋元市長をパクったな・・・」という白けた印象を持っている道民も多くいます。

また、政府はマスクの無料配布をすると言っていますが、北見市と中富良野町に一世帯40枚配布と言ってたのが何故か7枚しか届かず、翌日は雪が降っているので中止(!?)となったため、厚労省の役人がどうせ自宅用にピンはねしたんだろう、と悪態をつき、全体的に行政への信頼が低下している感は否めません。

加えて、先日、快速エアポートに乗車中の中国人が、マスクなしで咳きこみ続け、そのまま搬送されました。これに巻き込まれた70代男性が数日後に倒れました。これにより、感染の疑いのある多数の乗客が市内に放出されたと報道され、さらに混乱に拍車がかかっています。ついに商店は昼から夕方までの営業となり、寂しい限りです。

「北海道でも買い占め」というニュースが全国区で流れてましたが、実際には郊外の新興住宅地限定の現象で、「札幌本府」他、道内では起こっておらず、地方局が怒りと共に否定するという、メディアでは珍しい対立現象がありました。また、全国区ニュースではインバウンドの低下や中国人へのヘイトスピーチを懸念した五分後に、地方局で「中国人は物理的隔離しか対処のしようがない」「韓国人が韓国からの観光客を差別するなと喚いているがお門違いだ」という始末。頼りにならない中央を見捨てて、道民が自主的に結束して防衛戦をはじめた感があります。強力な中央集権国家の権威が低下した時に、国民が自主的に国家の尊厳を守ろうと動き出す点で、「Commune de Paris」に似ているかもしれません。

そんなこんなで僕は家に引きこもってひたすら新聞記事を書く毎日を送っており、おかげさまで感染を免れています。札幌医科大学の横田伸一教授によると、飛沫感染さえ気をつければ衣服や商品からの感染可能性は極めて低いそうなので、上京時には厳重に警戒しようと思います。

「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです」(『魔女の宅急便』)。

以上近況報告でした。(2020.3.8)

※この記事は記載の日付に大場先生から陽明書院生へ配信されたメールを編集したものです。

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