トレーニーの日常 【筋肉痛編】
筋肉痛が来るとつい嬉しくなる。異常なまでの筋肉痛に、体を動かす度に顔をしかめつつも、内面はハッピー。逆に筋肉痛が来ないと少し不安になる。前日のトレーニングが甘かったのかと思案してしまう。それがトレーニーの性だ。
筋肉痛には諸説あり、いまだに完全なメカニズムは解明されていないという。有力なのは、筋肉が修復される段階で起こる炎症反応に起因する痛みが筋肉痛であるというものだが、どの説にせよ、トレーニングで筋肉を刺激した後に発生する現象であるということに変わりはない。それはトレーニングをしたことのある人なら経験的にわかっていることだろう。
では、トレーニングの効果が筋肉痛で測れるかというと、あながちそうではないといわれている。もちろん、強度のあまりに低いトレーニングでは筋肉痛はほぼ発生し得ないため、その意味では強度を測るための簡単な目安にはなるかもしれない。例えば、全くトレーニングをしたことがない人であれば、ほんの小さな強度でトレーニングを行なっても、翌日には大概筋肉痛に襲われる。これは、元々筋肉にかかる負荷が0だった人に1の負荷を与えた時、筋肉が今まで経験したことのない、あるいは長らく経験していなかった負荷を受け、それに対して大きな反応を示すためである。このような人にとって、1という負荷は筋肉に対して十分であったということが、筋肉痛の到来によりおおよそ確信が持てるということだ。
逆に、普段から10の負荷を筋肉にかけている人が突然1の負荷に変更した時、おそらく筋肉痛は来ない。負荷があまりに弱すぎるからだ。
このような見方をすれば、確かに筋肉痛は自分の今の強度がどのくらい必要かということを教えてくれる指標にはなりうる。
しかし、筋肉痛が来たらよい、来なかったら悪いという短絡的な考えは危険だ。かなりの強度のトレーニングを行なっていても筋肉痛が来ないという例は多々あるし、逆に筋肉痛が来たとしても、それは普段とは少しトレーニングのフォームが異なっていて、いつもと違う箇所が刺激を受けていただけかもしれない。また、トレーニングの間隔が長すぎて毎回筋肉痛になるというだけの可能性も考えられる。
ボディビルダーの中には、長年トレーニングを積み重ねる中でほとんど筋肉痛が来ないという人もいるが、そのような人でも毎年改善を重ね、大会ではしっかりと結果を残している。このような例からも、トレーニングの出来不出来は筋肉痛とは大きく直結しないことが窺える。
筋肉痛は「やった感」をものすごく味わえるものなので、それをうまく味方につけてモチベーション向上に繋げるというのは大いに結構なことだ。
だが、筋肉痛ばかりを気にして一喜一憂するのはどうかと思う。結局大事なのはきちんと成果が出ているかということであり、筋肉痛を得ることではないはずだ。トレーニングをしっかりやった上で、その結果として筋肉痛が来てくれればなお嬉しいという程度の軽い気持ちでいれば、そこまで固執することもなくなる。もし筋肉痛ありきでトレーニングを考えている人がいれば、柔軟な考えに改めてもらいたいものである。
次回はモチベーションについて書いていく。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?