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トレーニーの日常 【背筋編1】

トレーニングに精通していない人に対して、背筋トレーニングというと概ね、床にうつ伏せに寝そべって上体を起こす運動を想像するだろう。それも立派な背中のトレーニングではあるが、鍛えているのはたくさんある背中の筋肉のうちほんの一部にすぎない。背中には小さな筋肉から大きな筋肉まで多数あり、それらを総合的に鍛えることが逞しい背中を得るための第一歩となる。

背中は上半身の広がりと厚みを演出する。
まず、広がりは背中の側方についている筋肉が担う。具体的には広背筋や大円筋が該当する。広背筋は骨盤から上腕にかけて伸びる非常に面積の大きい筋肉であり、大円筋は肩甲骨と上腕に付着するやや小さな筋肉である。
一方、厚みは背中の中央部の筋肉が担当する。僧帽筋や脊柱起立筋がそれに当たる。僧帽筋は、上部は後頭部、下部は胸椎にかけて走り、鎖骨や肩甲骨に付着している比較的大きな筋肉だ。脊柱起立筋はいくつかの筋肉の総称ではあるが、脊椎の走行に沿って後頭部から骨盤まで走っている長い筋肉である。

背中の広がりがつけば、体を前方や後方から見た時のシルエットが映える。いわゆる逆三角形の体が得られるわけだ。それに対し、背中の厚みがつけば、体を側方から見た時のボリューム感や後方から見た時のゴツゴツ感を演出できる。

実際には、広がりと厚みを両方つけることは非常に難しい。体を鍛えるプロであるボディビルダーでさえ、広がりと厚みの両方を兼ね備えた人というのは稀であるという。遺伝的にも、広がりがつきやすい人は厚みがつきにくいなどの体質がつきまとうことが多いようだ。

それに加え、背中は自分では見えない分、鍛え分けるにはかなりの技術を要する。視認可能な筋肉以上に構造をよく理解し、解剖学的に正しいアプローチを行わなければ思わしい発達は望めない。さらに、理論で分かっていても実際にやってみると全く背中に効いていないということも多々あるため、経験も物を言う。日常生活でも背中の筋肉を特に意識することは少ないため、運動神経がうまく通っていない可能性もあり、とにかく数をこなして背中がしっかりと動いている感覚をつかむことが重要になってくるだろう。

まずは鍛え上げられたボディビルダーの背中の写真などを見て、どの筋肉がどのようについているかを観察してみることをおすすめする。そこから自分の背中をイメージできるようになれば、トレーニングでの効き方も大きく変わってくるはずだ。

次回は背中のトレーニングについて書いていきたい。

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