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トレーニーの日常【肩編2】

肩はフロント・サイド・リアの3つに分解できることを前回の記事で述べた。
ここではそれぞれを鍛えるためのトレーニングについてみていきたい。

まず、フロント。
トレーニング種目としては、フロントの種目は系統が2種類ある。プレス系とレイズ系だ。
プレス系では、主に重量を頭上に押し上げる動作がメインとなる。フロントプレス、バックプレス、ダンベルショルダープレスなどに代表される系統であり、比較的高重量を扱いやすい。
一方、レイズ系は重りを前方に振り上げるような動作となる。ダンベルやケーブルなどを負荷として実施するのが一般的で、あまり重いものは持てないが、三角筋前部が主動筋として作用するためダイレクトに効かせやすい。

三角筋は高重量にも低重量にも反応しやすい筋肉であるため、プレス系で重いものを扱ったあと、レイズ系でねちっこく攻めるというやり方が多いだろうか。
いずれにしても、初心者のころはどちらかに偏るのではなく、プレスもレイズも両方やっておきたいところだ。

続いてサイド。
サイドは前述のプレスでも少し刺激は入るが、対象筋としてしっかり鍛えるには、やはりレイズ系が主眼となる。
サイドの貢献動作は肩関節の外転、つまり腕を横方向に広げていく動作だ。サイドレイズ、アップライトロウなどの種目で強化していくこととなる。

肩関節の外転では、肩甲上腕リズムが働く。これは、腕を横に広げて頭のほうまで上げていく180度の回転の中で、肩関節の外転と肩甲骨の上方回旋が2:1の割合で関与するという法則である。(180度のうち120度は肩関節の外転によるもの、60度は肩甲骨の上方回旋によるもの、ということ)
つまり、肩の外転は肩関節だけで完結させることはできず、肩甲骨の動きが伴うということだ。この肩甲骨の動作には僧帽筋が強く関与するため、よく言われるサイドレイズなどを行なっていても僧帽筋にしか効かないという悩みは、こういう動作の性質からきているものと考えられる。
サイドレイズで三角筋に効かせるには、遠心力で振り上げていないか、トップで重量を受け止めているか、という2点が肝だろう。初動で全身の力を使うのではなくしっかり三角筋の力で上げ、トップでは一瞬止めるくらい気持ちで受け止めるということを意識してやってみてもらいたい。

最後にリア。
リアは肩関節の水平外転で働く。水平外転とは、前に習えをした状態の腕を水平に開いていく動作である。
この動作で厄介なのは、背中の筋肉が働きがちになるという点だろう。水平外転では広背筋や大円筋が関与するし、動作の性質上肩甲骨が寄りやすい動作のため、僧帽筋も関与しやすい。これらの筋肉は三角筋後部よりも圧倒的に筋力が強いため、リアよりも背中に効いてしまうということが往々にしてある。

ダンベルリアレイズなどに代表されるリアのトレーニングのコツは、いかに腕だけを動かし肩甲骨の動作を作用させないようにするか、である。
まず、肩甲骨を開いた状態で水平外転する練習は欠かせない。どのあたりまで腕を開いたら肩甲骨が寄ってしまうのかを体感的に把握しておくことは重要だ。
その上で、あえて少し重い重量を持って肩甲骨が寄りにくい状況を作り出すのも一つの手だろう。さらに、重心を外側に、つまり肩関節に持ってくることでリアに効きやすくなるが、かなりテクニックは必要になるのは致し方ない。

肩のトレーニングは非常に難しいため、数をこなして体得したいところだ。おそらくトレーニング初期では三角筋が疲労する感覚はほとんどないと思われるので、週に2、3度取り入れるのもよいかもしれない。技術が磨かれれば一気に見栄えがよくなる部位だと、私は思っている。

次回は腕について書いていきたい。

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