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トレーニーの日常 【自重トレーニング編】

ある程度の歴でトレーニングを続けている人は、自然とウエイトトレーニングを行うようになっているだろうが、そういう人の中でも、トレーニングを始めた頃は自重トレーニングを行なっていたという人は一定数存在するだろう。
自重トレーニングはあまり知識がなくてもできる上に、道具が特に必要ないためいつでもどこでもできるという利点があり、初心者には非常に取り入れやすい。しかし、一方で筋肥大効果は限定的であるという側面もあり、時間対効果が高いかといわれると、それには疑問符がつく。したがって、自重トレーニングに何を求めるかという目的意識は非常に重要となってくる。

自重トレーニングはその名の通り、自身の体重を負荷として体を鍛えるものである。よって、自体重が軽ければ負荷は小さく、重ければ負荷が大きくなる。しかし、だからといって体重が重い方が自重トレーニングでは効果が高いと考えるのは安直すぎる。一般に体重が重い方が筋肉量が多いと考えられ、自重の筋力に対する相対的な負荷は、体重が軽い人のそれと大きく変わらない場合が多いからだ。つまり、体重100kgの人の筋力が1として、その筋力に対する100kgという負荷が1と仮定すると、体重50kgの人の筋力は0.5だが、その筋力に対する50kgという負荷は結局1であるため、筋力に対する相対負荷は体重に依存しないと理論的には言えるわけである。

ということは、筋肉がつき体重が増えていくにつれて、自重トレーニングは効果が薄くなると考えられる。なぜなら、筋力がついても、その筋力に対する相対負荷がほとんど変わらないからだ。上記の例で言うと、50kgから100kgになっても相変わらず1という負荷でトレーニングしていることになり、過負荷の原理(筋力増強のために負荷は筋力に対して大きくないといけないというトレーニングの原理)に則さないトレーニングアプローチとなってしまう。

自重トレーニングを卒業してウエイトトレーニングに移行するのは、こういう理由から来ていることが多いだろう。自重ではどうしても負荷として十分ではない体に成長してしまうのである。筋肥大が目的なら、自然と自重以上の負荷を求めるようになるだろうし、ぜひそうするべきだろう。

逆に、自重トレーニングで十分であるという例も少なからずあるのではないだろうか。これまでの話を逆手に取れば、対して筋肥大が必要ではないが、一定程度の筋力の維持が必要な場合がそれに該当する。学生の運動部の補強トレーニングなどがいい例だろう。スポーツにおいてただ大きいだけの筋肉はあまり使い物にはならないし、動きに柔軟性を要するスポーツなら尚更そう言える。限りある部活動の時間に無理やりウエイトトレーニングを取り入れるよりは、技術練習のかたわら、筋力の補強・維持は自重トレーニングで賄うという方法の方が賢明だろう。目的は筋肥大ではなく、そのスポーツに必要な筋肉をつけるということにあるから、このようなアプローチが有効になる。

今自重トレーニングを頑張っている方は、もちろんそれも立派なトレーニングであるため、目的さえ見失っていなければ継続しても良いのではないかと思う。しかし、目的が筋肥大にあるというのであれば、自重トレーニングだけでは限界があるということを頭の片隅に置き、いずれはウエイトトレーニングへシフトすることも視野に入れるべきだろう。

次回は腹筋について書いていきたい。

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