銭湯のすすめ
私は毎日銭湯に通っている。
家から歩いて10分の道のり。石けんとシャンプーとタオルを持って通う。
銭湯で気をつけなければいけないのは、そこにご近所さんが毎日来ているということ。
そして、ご年輩が多い。
7、8割は高齢者だと思う。
皆が来る時間が、だいたい決まっていて、
身体を洗うペースや、陣取る位置、銭湯友達と会話するタイミングなど、各自のルーティンとして決まっているようだ。
銭湯を楽しむコツは、他人のルーティンをなるべく崩すことなく、お互いに気遣い合いながら湯を共にする。
常連同士の気遣いを欠かさないことだ。
リラックスして、さっぱりと汗を流すという目的を達成しつつも、銭湯の暖簾をくぐって入り、同じ暖簾を出るまでは、一定の緊張感を崩さない方が、お互いに気持ちよく過ごせる。裸の付き合いは繊細なものなのだ。
慣れれば、それは毎日のルーティンと化し、銭湯コミュニティが勝手に出来ていく。
私は、生まれてからずっと都会で生活しており、町内会の絆が希薄になった年代であるから、そのコミュニティを新鮮に感じた。
通うのには慣れたものの、脱衣所での物々交換ができる仲になるまでには、もう少し時間がかかりそうである。
誰かに教えたいけれど、伝えにくい日本独自の文化の一つであり、町に残存しているのコミュニティなのだ。
もし、あなたの町にもまだ銭湯が残っているなら、是非その世界を体験してみて欲しいと思う。