NO17 資金調達アドバイザーのつぶやき!!起業する時にはお金は多めに借りろ。

資金調達アドバイザーのヤナイナオトです。

今の公庫は、国民事業、中小事業、農林事業の3つの部門に分かれ、貸付金額や目的に応じて取引する事業を選ぶ形となっています。

しかし、合併前までは、国民公庫と中小公庫とそれぞれ独立した機関であったことから、両方で取引している会社も結構ありました。

特に、バブル崩壊後のセイフティーネット貸付が始まって以降は国民公庫で断られたお客様が中小公庫へ、中小公庫で断られたお客様が国民公庫はといったことが頻繁に起こっていました。

そんな中で一番対応に困ったのは、設備投資資金を国民公庫で借りて事業を開始して数か月後に運転資金を貸してくれと来られるお客様でした。

こういう会社の共通の特徴は、1年後に儲かるという収支計画はあっても、月次の売上計画がないのです。そして、肝心かなめの資金繰り表ががない!!

要は作れば売れる。そして儲かるものだとしか思っていない!!戦後のもののない時代に育ったいわば浦島太郎の社長です

売上が計画通りにいかない会社は断っても売れたいないんだからと自分に言効かせることができます。

厄介なのは、売れている場合です。不思議に思われる方もいるでしょう。実は、売れたといってもお金はすぐに入ってこない。

売上≠入金額

損益計算書で利益が出ていればいいということとは違います。「売上とはお客様からお金が入って初めて売上」と言われる方もたくさんいます。プロジェクトの収支計画はOKでも、手元にお金がなければ、社員の給料も払えない。材料代も払えない。まさに黒字倒産となってしまいます。

増加運転資金

本来は最初に投資資金を借りる時に、増加運転資金も貸してもらうべきだったのです。

<ケース1> 

売上10百万円 取引先A社の取引条件は月末〆の3か月後現金払い。当月の支払は給与3百万円、原材料支払仕入3百万円 経費2百万円

P/L             当月   1か月後     2か月後    3か月後         売上   10百万円  15百万円     20百万円   25百万円     原材料  3百万円    4百万円     6百万円   7百万円     給与   3百万円   3百万円    3百万円   3百万円     経費   2百万円   2百万円    2百万円   2百万円     利益   2百万円   6百万円    9百万円    13百万円

資金収支  当月   1か月後   2か月後            3か月後     売上入金   0     0      0      10百万円    原材料支払     0             3百万円     4百万円        6百万円    給与   3百万円       3百万円          3百万円                3百万円    経費   2百万円    2百万円      2百万円       2百万円    資金収支▲5百万円    ▲8百万円          ▲ 9百万円           ▲1百万円

P/Lは毎月黒字であっても、資金収支は毎月赤字で3か月後累計では▲23百万円です。当時は担保がないと貸せない時代。今のような無担保制度はありませんでしたので、儲かりそうだと思っても結局はお断りするしかありませんでした。なんとなく罪悪感が残り気が晴れない日が続きました

月次資金繰り

上記のような簡単な月次の資金繰り表を最初から作っていれば、設備投資資金以外に最低でも23百万円の増加運転資金が必要なことがわかります。設備資金以外にも運転資金も貸してくれとか、銀行との協調融資にするとか、取引先と交渉し現金でもらえないか、もしくは手形をもらうことも考えるべきです。

****まとめ****

設備投資を行う際には収支計画だけではなく月次の資金繰り表を作ることが大事です。60か月の月次収支計画書、月次資金繰り表、貸借対照表を作れば完璧という方もいます。そこまでできなくても、せめて1年での資金繰り表は作るべきです。

そして何より、これから起業する方はぎりぎりの借入ではなく多めに借入をすることをお勧めします。

\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\ ・・・・・・・・・「失敗しないで成長する」・・・・・・・・・・・・・ 公庫勤務26年で1500社以上の融資と12年で中小企業4社計100億円以上の資金調達を行う中での成功や失敗のなかから、財務・労務・営業戦略等をお伝えします。 \\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\ ##中小企業   #公庫   #資金調達   #増加運転資金   #資金繰り   

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