「古今和歌集」私撰秀歌 ―序と目次―
2009年に、講談社学術文庫版の「古今和歌集 全訳注」(全四巻、久曾神 昇)を読みました。
その時、私撰秀歌をまとめていましたので、今回「note」用に、連載形式で貼っていこうと思います。
講談社学術文庫版は、以前読んだ「奥の細道」の編集がよく、同じような編集が行われていたので買いました。
本文と解説の読みやすさは、岩波よりも格段に上です。今のところ、古典を読むなら、講談社学術文庫、角川ソフィア文庫当たりがよいと思っています。
ちなみに、著者の「久曾神 昇」氏の名前は、「きゅうそじん ひたく」と読むそうです。
久曾神 昇 氏は1909年生まれで、本が出たのは1979年だそうです。私が買ったのは、2008年4月の第29刷です。
その後、「古今和歌集 全訳注」は、なんやかやで10回近く読みました。
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ちなみに2009年頃は、上記の「古今和歌集」、斎藤 茂吉 著の「万葉秀歌」、久保田 淳の「新古今和歌集」と、順に読んでいました。その中では、古今和歌集が一番面白かったです。
「古今和歌集」は、和歌の羅列ではなく、編集に趣向が凝らしてあります。そういったフォーマットを最初に編み出した勅撰和歌集です。
また、歌の数が約1095首と、読みやすいサイズにまとまっています。
「万葉集」は約4500首、「新古今和歌集」は約1980首。これらは、読み直すのに躊躇するボリュームです。ここら辺が、その後の時代にも、よく読まれた理由だと思います。
加えて、技巧の程度が、現代人が読んで楽しむのに、ほどよいということも重要です。
「万葉集」は素朴すぎ、「新古今和歌集」はパズルを解くようにして読む必要があります。驚きと、読解にかかるコストの割合が、ちょうどよいです。
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さて、「古今和歌集」についてです。その編集の妙について、触れておこうと思います。
例えば春の歌は、梅の咲き始めから、梅を惜しむ歌へと、時間の推移に沿って並んでいます。そして、その次は、桜の歌が続くといった具合です。
つまり、季節の移り変わりを楽しめるようになっています。また、同じ状況でも、見方が逆の歌を対比して並べたりもしています。
おかげで、ある程度読み進めていくと、古典文法が分からなくても、意味が“読める”ようになってきます。
また、季節の歌だけでなく、恋の歌、旅の歌など、様々な巻があります。特に恋については、多くの巻を割いています。
このようにして、単独の歌を楽しむだけでなく、モザイクのように組み合わせた歌のきらめきを、一つの景色として味わえるようになっています。
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というわけで、「古今和歌集 全訳注」の中から、これはと思った歌を抜き出していきます。あくまで、私の趣味に適った作品ですので、世間の評価とは違うと思います。
また、漢字付加、歌意、感想は、本を参考にして、私が勝手に付けています。文法的に誤っている部分もあると思いますが、その点は、お許しください。
選出、編纂は2009年の時点です。「note」では、それらを順に貼っていきます。
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● 目次
○ 巻第一 春歌上
歌8
春の日のひかりにあたる我なれどかしらの雪となるぞわびしき
https://note.mu/yanai/n/n010829785d62
歌21
君がため春ののにいでてわかなつむわが衣手に雪はふりつつ
https://note.mu/yanai/n/n0ffda30a6656
歌24
ときはなる松のみどりも春くれば今ひとしほの色まさりけり
https://note.mu/yanai/n/n8f292d93d252
歌28
ももちどりさへづる春は物ごとにあらたまれども我ぞふり行く
https://note.mu/yanai/n/n1a025ad2c954
歌38
君ならで誰(たれ)にか見せむ梅の花色をもかをもしる人ぞしる
https://note.mu/yanai/n/n668313e221d5
歌42
人はいさ心もしらずふるさとは花ぞ昔のかににほひける
https://note.mu/yanai/n/nac241b5baf4c
歌53
世の中にたえてさくらのなかりせば春の心はのどけからまし
https://note.mu/yanai/n/n8b5debae6772
歌56
みわたせば柳桜をこきまぜて宮こぞ春の錦なりける
https://note.mu/yanai/n/n0faa5eee8e31
歌57
いろもかもおなじむかしにさくらめど年ふる人ぞあらたまりける
https://note.mu/yanai/n/ndd8f926d440a
○ 巻第二 春歌下
歌80
たれこめて春のゆくへもしらぬまにまちし桜もうつろひにけり
https://note.mu/yanai/n/nc287a876fd5d
歌84
久方のひかりのどけき春の日にしづ心なく花のちるらむ
https://note.mu/yanai/n/ndf52c0ced91e
歌90
ふるさととなりにしならのみやこにも色はかはらず花はさきけり
https://note.mu/yanai/n/n5ffe99f84ed0
歌113
花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに
https://note.mu/yanai/n/nf3be773bd2ac
歌117
やどりして春の山辺にねたる夜は夢の内にも花ぞちりける
https://note.mu/yanai/n/n823ecf6d6965
歌131
こゑたえずなけやうぐひすひととせにふたたびとだにくべき春かは
https://note.mu/yanai/n/nd3fa56209090
○ 巻第三 夏歌
歌166
夏の夜はまだよひながらあけぬるを雲のいづこに月やどるらむ
https://note.mu/yanai/n/n704de9b4db10
歌168
夏と秋と行きかふそらのかよひぢはかたへすずしき風やふくらむ
https://note.mu/yanai/n/nf259f2dea866
○ 巻第四 秋歌上
歌169
あききぬとめにはさやかに見えねども風のおとにぞおどろかれぬる
https://note.mu/yanai/n/n424083a7c7bc
歌184
このまよりもりくる月の影見れば心づくしの秋はきにけり
https://note.mu/yanai/n/ne801500f649c
歌191
白雲にはねうちかはしとぶとりのかずさへ見ゆる秋のよの月
https://note.mu/yanai/n/n53ad6557185b
歌205
ひぐらしのなく山里のゆふぐれは風よりほかにとふ人もなし
https://note.mu/yanai/n/n0ff62c637242
歌215
おく山に紅葉ふみわけ鳴く鹿のこゑきく時ぞ秋は悲しき
https://note.mu/yanai/n/nb6961d104d34
歌248
さとはあれて人はふりにしやどなれや庭もまがきも秋ののらなる
https://note.mu/yanai/n/nc5135cc8471b
○ 巻第五 秋歌下
歌257
白露の色はひとつをいかにして秋のこのはをちぢにそむらむ
https://note.mu/yanai/n/n0f8a7f22c668
歌269
久方の雲のうへにて見る菊はあまつほしとぞあやまたれける
https://note.mu/yanai/n/nb5eb847226d1
歌277
心あてにをらばやをらむはつしものおきまどはせる白菊の花
https://note.mu/yanai/n/n10022db4a151
歌289
秋の月山辺さやかにてらせるはおつるもみぢのかずを見よとか
https://note.mu/yanai/n/n4699f91232d4
歌290
吹く風の色のちくさに見えつるは秋のこのはのちればなりけり
https://note.mu/yanai/n/nf815fc8c49fb
歌294
ちはやぶる神世もきかず竜田河唐紅(からくれない)に水くくるとは
https://note.mu/yanai/n/nee5dc62fb342
○ 巻第六 冬歌
歌330
冬ながらそらより花のちりくるは雲のあなたは春にやあるらむ
https://note.mu/yanai/n/n9942716ff81f
歌332
あさぼらけありあけの月と見るまでによしののさとにふれるしらゆき
https://note.mu/yanai/n/ndd2fa3f8a541
○ 巻第七 賀歌(がのうた)
歌343
わが君は千代にやちよにさざれいしのいはほとなりてこけのむすまで
https://note.mu/yanai/n/nb40bb5b7545f
歌349
さくら花ちりかひくもれおいらくのこむといふなる道まがふがに
https://note.mu/yanai/n/nf8b60733afe0
○ 巻第八 離別歌
歌379
白雲のこなたかなたに立ちわかれ心をぬさとくだくたびかな
https://note.mu/yanai/n/n4d5d5e7afcc6
歌387
いのちだに心にかなふ物ならばなにか別れのかなしからまし
https://note.mu/yanai/n/n019e7d40b743
○ 巻第九 羇旅(きりょ)歌
歌406
あまの原ふりさけ見ればかすがなるみかさの山にいでし月かも
https://note.mu/yanai/n/n4a8c6ae4e840
歌409
ほのぼのと明石の浦の朝霧に嶋がくれ行く舟をしぞ思ふ
https://note.mu/yanai/n/n0e6ce5a7c85e
歌416
夜をさむみおくはつ霜をはらひつつ草の枕にあまたたびねぬ
https://note.mu/yanai/n/n49c4424c19b5
○ 巻第十 物名
歌457
かぢにあたる浪のしづくを春なればいかがさきちる花と見ざらむ
https://note.mu/yanai/n/nd18437e950d5
歌468
花のなかめにあくやとてわけゆけば心ぞともにちりぬべらなる
https://note.mu/yanai/n/n7463f3e4d0c5
○ 巻第十一 恋歌一
恋歌について
https://note.mu/yanai/n/n9629d0c80c84
歌478
かすがののゆきまをわけておひでくる草のはつかに見えしきみはも
https://note.mu/yanai/n/n32b166a59658
歌522
ゆく水にかずかくよりもはかなきはおもはぬ人を思うなりけれ
https://note.mu/yanai/n/n929407c5f2a5
○ 巻第十二 恋歌二
歌552
思ひつつぬればや人の見えつらむ夢としりせばさめざらましを
https://note.mu/yanai/n/n3f232dd5e23a
歌553
うたたねに恋しきひとを見てしより夢てふ物は憑(たの)みそめてき
https://note.mu/yanai/n/n79d7810088a6
歌554
いとせめてこひしき時はむば玉のよるの衣を返してぞきる
https://note.mu/yanai/n/n733f3a25609e
歌567
君こふる涙のとこにみちぬればみをつくしとぞ我はなりぬる
https://note.mu/yanai/n/n12549d4667f8
○ 巻第十三 恋歌三
歌621
あはぬ夜のふる白雪とつもりなば我さへともにけぬべき物を
https://note.mu/yanai/n/n2ce1e3f0d297
歌637
しののめのほがらほがらとあけゆけばおのがきぬぎぬなるぞかなしき
https://note.mu/yanai/n/ne6d092abab6b
歌645/歌646
きみやこし我や行きけむおもほえず夢かうつつかねてかさめてか
かきくらす心のやみに迷(まど)ひにき夢うつつとは世人(よひと)さだめよ
https://note.mu/yanai/n/n741d77c3a8f5
○ 巻第十四 恋歌四
歌684
春霞たなびく山のさくら花見れどもあかぬ君にもあるかな
https://note.mu/yanai/n/n76e0983812d3
歌688
思ふてふことのはのみや秋をへて色もかはらぬ物にはあるらむ
https://note.mu/yanai/n/n546e2a3adde6
歌701
あまのはらふみとどろかしなる神も思ふなかをばさくるものかは
https://note.mu/yanai/n/nd02d20ddabf5
歌706/歌707
おおぬさのひくてあまたになりぬればおもへどえこそたのまざりけれ
おほぬさと名にこそたてれながれてもつひによるせはありてふものを
https://note.mu/yanai/n/n729314d56ae5
歌709
たまかづらはふ木あまたになりぬればたえぬ心のうれしげもなし
https://note.mu/yanai/n/nff2d8941915b
歌733
わたつみとあれにしとこを今更にはらはばそでやあわとうきなむ
https://note.mu/yanai/n/n7813d3ca59f4
歌736/歌737
たのめこしことのは今はかへしてむわが身ふるればおきどころなし
今はとてかへすことのはひろひおきておのが物からかたみとや見む
https://note.mu/yanai/n/n030e5ec79b3e
歌743
おほぞらはこひしき人のかたみかは物思ふごとにながめらるらむ
https://note.mu/yanai/n/n1e1dfe71d949
○ 巻第十五 恋歌五
歌747
月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身ひとつはもとの身にして
https://note.mu/yanai/n/n038b8a1b9783
歌782
今はとてわが身時雨にふりぬればことのはさへにうつろひにけり
https://note.mu/yanai/n/n282dfc0dcddc
歌822
あきかぜにあふたのみこそかなしけれわが身むなしくなりぬと思へば
https://note.mu/yanai/n/nc57db08b82f6
○ 巻第十六 哀傷歌
歌829
なく涙雨とふらなむわたり河水まさりなばかへりくるがに
https://note.mu/yanai/n/n27dc9a4dfed4
歌832
ふかくさののべの桜し心あらばことし許(ばかり)はすみぞめにさけ
https://note.mu/yanai/n/nfa8e99417aec
歌849
郭公(ほととぎす)けさなくこゑにおどろけば君を別れし時にぞありける
https://note.mu/yanai/n/n864764284c48
歌859
もみぢばを風にまかせて見るよりもはかなき物はいのちなりけり
https://note.mu/yanai/n/nc4588fe7c294
歌861
つひにゆくみちとはかねてききしかどきのふけふとはおもはざりしを
https://note.mu/yanai/n/n181058a9da29
○ 巻第十七 雑歌上
歌869
色なしと人や見るらむ昔よりふかき心にそめてしものを
https://note.mu/yanai/n/n086c6af20ee4
○ 巻第十八 雑歌下
歌943
よのなかにいづらわが身はありてなしあはれとやいはむあなうとやいはむ
https://note.mu/yanai/n/n84d9fd205c33
歌956
世をすてて山にいる人山にても猶(なほ)うき時はいづちゆくらむ
https://note.mu/yanai/n/n53abd6affec0
○ 巻第十九 雑体
歌1021
冬ながら春の隣のちかければなかがきよりぞ花はちりける
https://note.mu/yanai/n/ne2e5bdb78f64
歌1041
われを思ふ人をおもはぬむくいにやわが思ふ人の我をおもはぬ
https://note.mu/yanai/n/n07521974641e
○ 巻第二十 大歌所御歌
歌1085
きみがよは限りもあらじながはまのまさごのかずはよみつくすとも
https://note.mu/yanai/n/n77b4cd7540ff
歌1095
つくばねのこのもかのもにかげはあれど君がみかげにますかげはなし
https://note.mu/yanai/n/nea790dc17efe
○ 資料編
抜き出した歌の集計
https://note.mu/yanai/n/nd1b99693b8f2
各巻の構成
https://note.mu/yanai/n/nc56925821654
歌の部類と年表
https://note.mu/yanai/n/na0ca7da1fb92
主な登場人物とその年代
https://note.mu/yanai/n/na4f33e8f2ab7
秀歌まとめ
https://note.mu/yanai/n/ne6e8e4f13393
○ あとがき
あとがき
https://note.mu/yanai/n/nc1f5f6765f05
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