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漫画教育を考えよう

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漫画家をやりながら、漫画の専門学校の講師をしています。 大学の准教授をしたり 海外の漫画学校に教えに行ったりしてます。 その中で教育というのを、真面目に考えよう、もっといい教育は…
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2023年4月の記事一覧

連載漫画の作り方4 人間関係1

漫画の仕事の人間関係 仕事として商業漫画をしていてできあがる人間関係は主に二つ。 ・編集者 ・アシスタント 二つ目に関しては人によって、漫画のタイプによってなかったりします。四コマ漫画の人なんかは大体一人でやってると思う。本数が多いと、ベタ塗ったりデータ送信したり(デジタルだとして)くらいを家族が手伝うことはあるでしょうけど。漫画家ってのはだいたい閉鎖された系での仕事で、ボクなんかは「人に会わない」「やたらに出かけない」というのを大変に気に入っています。 担当編集者との人

連載漫画の作り方3 技術のこと3

納期のことさらにさらに まず、ボクが週刊少年マガジンでやっていたときの週のスケデュールをお話しします。 木曜 午後~夜 原稿を渡す 金曜午後   ネーム打ち合わせ→5,6時間して→ 夜ネームアップ 土曜午後   ネームがアップしてない時は再び打ち合わせからネームアッ       プ(アップしてる時は休養) 日曜     下描き 月曜     下描き、ペン入れ 火曜     アシスタント来る ペン入れ+原稿仕上げ  水曜     ペン入れ+原稿仕上げ    注目して欲しい

連載漫画の作り方2 技術のこと2

納期のことさらに 漫画の学校の先生をしてると「でも、世の中にはこういう例もある」と言う学生によく会います。ボクは言います。 でも、それはあなたではないから。 世の中には「売れてるからまかり通る」ということは、たくさんあります。 別に「大人は汚い!」なんて言いません。とりあえず世の中はそういうものなんです。 昔グルメ漫画が売れていた頃にその波に乗っかって売れたT先生という漫画家さんがいました。で、この人がとにかく遅い。担当の編集者が原稿をとるために仕事場に詰めていたんですが、

コマ割り、ネーム技法書成立させ方について

前稿で「コマ割りやネームの技法書は成立させにくい」と書きました。 ボクも10年間くらいウダウダ考え続けてきましたし、実際に何度も制作に取りかかってみたのですが、どうもうまくいかない。 この間に大学に勤務していて、日本漫画学会の総会に出席したり分科会に参加するようになりました。そこで、すごく多くの人が視覚芸術としての漫画を研究していると言うことを知ったのです。 漫画界は当然のようにそういうこと知らないんですよねえ。「学者に漫画がわかるか」みたいな態度とる人もいます。勿体ない

コマ割り、ネーム技法書成立しにくさについて

それはもう簡単 前回 「コマ割りについての漫画の技法書、入門書が少ないのは何故かって言う話は、また今度」 と言いましたが、その「また今度」をやります。 何故かって言う理由はごく簡単で 「難しいから」 に尽きます。 第一に 難しさの第一は 「用語が確立していない」 であります。 例えば、みなさん「ネーム」っていいますか?漫画の設計図のことを? 今はほとんどこう言いますよね。でも以前は違う言い方をしました。 「コンテ」って言ったんです。この「コンテ」は映画界で使われている「