財布を落としただけなのに 〜後編〜

〜はじめに 〜
前回までのあらすじ

このお話は↓の作品の続編になっております。
分からない方は前編を読んでいただければ是非、幸いです。

前編のあらすじを簡単に書きますと
自分(やなぎ)がA県T市の駅構内で財布を紛失してしまいその財布を拾った人物(仮名A氏 以下A)が自分に恐喝まがいで法外な拾得物請求を迫り自分の先輩、警察、弁護士が介入して一時的な完結を迎えました。

今回はその後にあった事案とやなぎややなぎの周囲の考察などを混じえた作品になります。

主な登場人物

自分(やなぎ)
主人公財布を落とした人。

A
財布を拾って届けた人。何故か法外な謝礼要求をしてくる。

先輩
やなぎに良くしてくれている年の離れた先輩

警官B  
Aから受けた被害の相談に乗ってくれた地元の交番の警察官。主に動いてくれた警察官の方。

警官C
警官Bの相方。主にサポートしてくれる。

・警官D
やなぎAとの最後の交渉の電話の報告をした警察官。

弁護士E
今回の事案の対処をしてくださった弁護士先生。

・やなぎ母
自分の母。
今回の件で自分より精神的ダメージを追ってしまったが支援してくれる聖母


最後の交渉の後の日常

弁護士のE先生との会談が終わりE先生のアドバイスに従い平和な日々を送っていました。
最初に対応してくださった地元の交番の警察官Bさんからの電話がありました。
電話の内容は自分と先輩がAと交渉を(一方的にAが)終わらせた事、弁護士を通したことを警察に伝えたのでその情報を知ったBさんが再度、自分から事情を聞くものでした。
BさんにはAの言動の異常さを伝えていると納得したような感じであることを伝えてくれました。
Bさん曰く「Aは挙動と言動がおかしかった。自分がガツンと言うまでのらりくらりと言動も変わっていたし、警察官としては言えないけど個人としては怪しいね」との事で自分もBさんの言葉に納得を得ました。
何故ならAは最後の交渉の電話の際に拾った場所が2転3転して変わる、自分が落とした金額を請求するなどの引っかかる部分があったからでした。

Bさんの電話以降、警察からの電話もなく平和な2週間を過ごしていました。このまま終わったなと自分も両親も落ち着いてきた頃、それは起きてしまいました。

突然の電話

3月27日、その日は家族ぐるみで仲のいい友人と母の4人で隣の県のH市までドライブに行きその帰りでした。和やかな雰囲気の中午後17時に1本の着信が自分のスマホに来ました。
着信相手はT警察署でした。
財布の出来事も解決したと思ったので(その後処理の電話かな?)と思い電話に出ました。

※以下 会話 細部は実際と異なる場合もありますがだいたいこのような感じの会話をしました。

・自分「もしもし」

・T署の警察(以下 警察)「やなぎさんの電話でよろしいでしょうか?」

・自分「はい、そうですが。どうかされましたか?」

・警察「先日、拾得物の件で何度か相談していただいていると思いますがその件に着いてお話頂きました」

・自分「はい、その件なら弁護士を通して解決していると思ったのですが……。」(ここで自分は悪い予感がした。)

・警察「ええ、その件なら把握していますが先程、(T)署の方に拾得物主の方(A)が訪れまして「やなぎ氏から報酬の方を貰っていない!直ちに報酬を振り込め!」と詰めよって来まして警察では対応出来なく当事者同士でお話をしてくださいと言って引き取ってもらいました。」

警察から告げられた衝撃の発言に自分と母は困惑しました。
弁護士を入れて解決したと思っていた事案がまたA氏の警察署直訴行為により自分たちの心に恐怖が走りました。
自分たちはその足で地元の交番に相談しました。その時、交番に3人の警察官がいて先程の電話とこれまで自分とAとの間に起きている問題を告げました。
交番内の警察たちは把握してなかったようで対応が少し冷たく感じました。
しかし、警官の1人が「この事案なら自分は知ってます」と言い他の警官2人に状況を説明し自分たちの会話を聞いてくれました。
その中、自分の調書を取っていた警官の1人が「それってもしかしてこの前、先輩に入ってもらって向こうがお宅らと関わりたくないと言ったやつだよね?」と突然、会話に入ってきました。
自分は(なんでこの人知ってるんだろ?そこまで話したの報告した警官とBさんだけだよな)と思っているとその警官は「自分が報告を受けたお巡りさんだよ」と教えてくれました。
この警官はAとの最後の交渉の事後報告を聞いてくださった警官D(以下 Dさん)さんでした。
そこからは話がトントンと進みDさんは「まだ懲りてなかったんですね。この件は追加でまた家庭相談として周知させておきます。また、何かあったら相談してきてください」と告げられその日は帰宅しました。

自分の中では怒りの感情で満ちていました。
何故自分がここまでされなきゃいけないのか?
なぜ被害者の自分が追い詰められなきゃいけないのか。
母も同じ感情で少しパニックになりましたが次の日に警察と弁護士のE先生に電話をすることを決意しました。

警察の対応

3月28日朝、警察署に昨日の案件を電話で報告しました。それと同時に心の中にあった感情も同時に告げました。
しかし、対応してくれた警官はぶっきらぼうに「拾ってくれた方に対して少し失礼じゃないんですか?」と答えたので自分は警察に対して少しの不信感を感じました。
自分は改めて「この件は既に生活相談案件として報告してあると警察の方からも説明を受けているし弁護士にも相談して対応している。それなのに失礼とはどう言ったことですか?」と言うと対応した警官は納得したのか「わかりました。でも当事者間で対応してください」と言われました。

E先生からは当事者同士の接触は避けるように言われていたので直ぐにE先生の事務所に電話をかけました。

2度目の弁護士会談

3月29日、E先生の事務所を訪れた自分と母は改めてAによる警察署直訴事件の報告とそれによる心境を相談しました。
E先生は苦笑しながら「そんなことってあるんですね。」と半ば呆れて話を聞いてくれました。
考えたE先生はある策を自分たちに献策しました。
※以下 会話になります。
今回のケースは弁護士先生の見解ですので他の弁護士の方と違う可能性があるのでご了承ください。

・E先生「実は前回の相談で向こうから権利放棄したので放置すれば解決すると思ってましたが今回の方(A)は少しおかしい方みたいなので振込みますか」

・母「振り込むんですか?そんな振り込んだらまた要求されるのでは?」

・E先生「振り込むと言っても財布の価値の3分の1です。やなぎさん、その財布はブランド品ではありませんね?」

・自分「はい、ド■キで買った安モンです」

・E先生「それでいて財布が返ってきた状態ではキャッシュカードやポイントカード、レシート以外何も入っていなかった。キャッシュカードとポイントカードは金銭的価値がないんです。
なのでこの場合は拾得物は財布になります。財布は1000円程度のものとして財布の値段の3分の1の金額を払うだけだいいんです。つまりは600円だけ払うのはどうですか?」

E先生の献策に自分と母は思わず「600円www」と吹き出しましたがE先生の説明によればその金額でも拾得物の3分の1を報酬として払うことになるので法律上では問題ないとの事でした。

E先生にこの事案についての所見を聞いたところ「今まで聞いたことも遭遇したことの無いレアケース。あまり大きな声では言えないが自分(E先生)も(Aを)疑ってしまう。言動と行動があまりにもおかしいですからね」とのコメントを貰いました。自分の中で改めてAの異常さを痛感しました。
自分と母はこのE先生の提案を受け入れてE先生にお礼をしてAへ600円を振り込むために銀行に向かいました。


Aへの振込

自分と母はE先生の提案に従い600円をAの口座に振込ました。
母は「これで本当に終わったのね。
600円と手数料それに弁護士料金1万1000円、全額Aに返してもらいたい」とボヤいていたが分かりみが深いと思いながらも失った2万数千円が無事に帰ってきてほしいと叶わぬ思いを抱きながら「一応、地元の交番にこのことを伝えよう」とお世話になった地元の交番に向かいました。

終幕

Aの振込も終わりその足で地元の交番に向かいました。その時にいたのは相談員(定年退職された警察官)の方がありまた1から説明をしました。
相談員の方は一方的に話す人で少し会話にならなかったのですがちょうどいいタイミングで警官が交番に戻ってきました。
戻ってきたのは最初に対応されたBさんとCさんでした。
母はこの時初めてBさんとCさんに対面したので自分がBさん達のことを伝えてBさんも相談員に事情を伝えて円滑に話が進みました。
改めてBさんにこれまでの経緯を伝えると「やっぱりか〜」とBさんはこれまでAに思っていたことを教えてくれました。


Bさんの所見

(※あくまで警察官では無くBさん個人としての見解です。)

・BさんがAに聴取をして拾った場所の話になると急にしどろもどろになり2転3転する。

・厳しめに話すと急に無口になってしまい節々が怪しい。

・もし、この件でやなぎ氏が思い詰めたら責任取れるのか?と聞くと無口になる。

とのものであまりにも怪しく(やったな)と内心は思っていても警察官としては証拠がない中では逮捕も何も出来ないし下手なことも出来ないし警察官としては答えれないとのことでした。

Bさんは「また何かあったら絶対助けるからいつでも相談においでんね」と言ってくれたおかげで自分と母は事案が起きてから初めて落ち着けたきがしました。

一応の解決
〜あれから半年近く経って〜

振り込んでからの1ヶ月はまた警察から電話が来ることを恐れていましたが1ヶ月経っても2ヶ月経ってもかかってくることはありませんでした。
あれから半年近く経ちますが警察署から電話がかかってくることはありませんでした。
今ではお世話になった先輩とネタ話になる話になってますが未だに母では大きなトラウマとなっています。
自分も今でも駅では更に用心するように気を配って生活しています。

まとめ

結局、Aが財布を抜いた犯人である証拠はありませんが経験豊富な警察官、弁護士、そしてトラブル解決には定評のある先輩は口を揃えて(公人の方はあくまで個人の意見たして)A氏が駅で財布の中身を抜いてA氏が配送で使うルート(県内の隣の市の海岸部)に拾った(設定にして)届けてついでに多くの報酬をせしめ取ろうと思ったのではとの意見が多数でした。

今回の対応で不味いと思ったこと

A氏との会話を録音しなかった事です。
録音があれば証拠として捜査が出来るとの事でした。そのため、事件以降にICレコーダーを買いました。また、自分も持病の関係性で周りへの注意が散漫になってしまうので財布に鈴をつけたり2つに分けたりと対策を取りまた護身術を学ぶためにキックボクシングを初めました。

今回の対応で良かったと思うこと

自分は相談支援サービスを使っているので今回の事案を相談員に伝えました。
複数の相談員から「最初に警察に相談したことはすごいと思う」のことでした。
私みたいにパニックになりやすい疾患を持っている方は警察に通報することが出来ず自分で抱えてしまうことが多い中でちゃんと警察や弁護士を介入したことはとても良いと褒められました。

おわりに

財布などの遺失物を巡るトラブルは調べると意外と多いことがわかりました。
中には裁判沙汰になったケースもあるので遺失物トラブルや落し物はしないように心がけたいです。
自分もこの事案が起きるまで他人事と思ってましたがこのnoteを読んでくださった皆様もどうか自分に起こりうること思ってください。
そして、もし遺失物トラブルにあったら直ぐに警察と弁護士に相談してください。

ここまで見てくださった皆様、ありがとうございました。

この場を借りて、迷惑をかけ色々と費用を負担してくれた母へ、Aとの交渉をしてくださった先輩、対応に当たってくれたT署の警察官の皆様、弁護士様にお礼を申し上げたいと思います。

9月2日 やなぎ


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