草食系男子に教えられたこと【ショートショート】
「なぁなぁ!聞いてや!まだ手も繋いでくれんのんで!」
話を聞きたいのは山々だが、短い5分の面談を甘ったるい愚痴とのろけで終わらせるわけにはいかない。
「えー、進路?〇〇って紙に書いて出したじゃん。んでな、」
制止しようとかざした手をすっと躱される。
「それで、」
背もたれによりかかり、天を仰ぐ。これも進路指導の一環か。諦めを溜め息に混ぜて吐き出す。今度は手のひらを差し出す形で続きを促す。
「受験が終わるまでは無し、て言うんよ!逆に集中できんわ!って思わん?」
出席番号が連番の二人は体育祭をきっかけにくっついたらしい。
問題はそのあとだ。突沸のような男子の成績急上昇と、自由落下の如く下降する彼女の成績は、職員室でも話題だ。
草食系男子も罪なものだ。草食ばかりでは生態系が崩れる。
かといって肉食ばかりでもよくないのだから、この世はうまいことできている。
理科教員として話をしておくよ、と伝える。見当違いの納得をした彼女は元気よく部屋を出ていく。
大事にすることが相手のためになるとは限らないんだなぁ。
先日別れた元恋人の顔を思い浮かべる。
気まずい顔をした男子が、おずおずと部屋に入ってきた。
(485字)
初めて書いてみたけど難しい。
普段から冗長な物言いになりがちだが、こういう短くまとめる力が欠けているんだろうな、と思う。
素晴らしい企画を見つけたので参加させてもらいました。
来週も頑張ってみよう。今週のは長すぎるので失格。笑
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?