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【ダンス公演感想】「Rain 」2023/8/27北九州芸術劇場

ダンス公演「Rain」作品情報 
愛知県芸術劇場× DaBY ダンスプロジェクト
演出•振付 鈴木竜
美術 大巻伸嗣
音楽 evala 
出演 米沢唯、中川賢
   木之内乃々、土本花、戸田折、畠中真濃、山田怜央、Geoffroy Poplawski 
原案 サマセット・モーム著「雨」

終演後 「雨」と思われる舞台美術

  舞台装置が良かった。照明の効果で初めは金属の直方体に見えたが、ロープの集まりだった。雨で仕切られた空間の内と外で、8人のダンサーのパフォーマンスが展開されていく。

 後半部分の、黒衣を脱いだ6人のダンサーと白い衣装の女性、黒衣の男性の計8人が、有機的な一つの塊のようになって踊るところは、特に目が釘付けになった。一つの塊が個々に分かれて8人になった後の、男女2人の踊りのパートも、回転を伴ったリフトの多用とマーシャルアーツのような動きがスピーディーで、二人の対立と相剋が直截に分かる振付でありドラマティックだった。

 そして、黒衣の男性ダンサーが、雨の内部に入ろうとして拒絶されたり、逆に誘われるシークエンスがあり、
 最終的に、彼は内部に取り込まれ、ついに白い衣装をまとっていた女性ダンサーも衣装を脱いで皆、同じベージュ色の外見になる。

ラストはダンサー達がロープ状の「雨」越しに観客席を見つめて終わる。
そこで私が感じたのは、集団に属することで得られる安心感や、連帯感あるいは仲間意識・・・ではなくて、集団に取り込まれて個性が無くなってしまう恐怖だった。

 開演前に、出演ダンサーが観客に混じって、ロビーで自然に佇んでいたり、ストレッチをしていた。オープニングは、客席の通路からゆっくりと舞台に登っていく演出だった。
 我々の日常生活から醸し出されてくる少し不穏な雰囲気が、舞台上に目に見える形で現れてきた、そんな印象をもった。


 ダンサー皆様の完璧なパフォーマンス、振付、衣装、舞台装置、照明、音楽、音響、全てが見事に調和して洗練されていました。面白かったです、


 

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