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自粛が済んだら博物館へ

 岸田奈美さんのキナリ杯、緊急事態宣言の期間中に颯爽と現れた企画です。Twitterをボーッと眺めている間に、めちゃくちゃハイスピードで賞が作られていって、絶対この企画で書かれる文章は面白そうなモノばかりだろうと期待が膨らむ続報ツイートがどんどん流れていってスマホの前でニヤニヤしてしまいました。

 というかこのキナリ杯、自分もめっちゃ他の人の文章を読んでいますけど、逆に言うと多くの人にたくさん自分の文章を読んでもらえるチャンスですよね!!

 早く書こうと思いつつ、何を書こうか迷っている間に緊急事態宣言も解除されてしまいましたが、折角なので、自分の好きなものについて他の人に紹介したい。ということで、題名の博物館です。

 

 いつもなら、博物館も常設展だと人もそこまで多くないし、静かだし、じっくり展示品も見れるし最高!!って感じなのですが、自粛明けの現在はどうなんでしょう…。まだ行ってないからわからないんですが、常設展も企画展並みの人の混雑っぷりならちょっと行くのが怖い今日この頃。まぁ、夏休みくらいには一度はどこかの博物館に行きたいなぁ。

 はてさてみなさん、博物館ではどのように過ごされますか?お目当ての展示品だけをじっくり見る、様々な展示品を駆け足に見る、それとも体験コーナーがお目当てだったり、ミュージアムショップのグッズが可愛いからそれを買いに来たり、人の数だけ博物館の楽しみ方があると思います。

 正しい見方は一つではないと、私は思います。どの人の博物館の過ごし方もすべて正解なんです。

 私自身、現在は全く博物館などに関係ない人生を過ごしています。ですが学生時代に学芸員資格の講座を受講しており、その時に知った知識は、皆さんの博物館ライフのお役にたつのではないかと思い、今回の記事を纏めました。ですが、学生時代は十何年前なので、知識が古臭い部分もあるかもしれませんが…。

 そんな当たり前のことは知ってるわ!!というようなことも書いているかと思いますが、読んでいただければ幸いです。


博物館に行くときはどんな格好をする?

 皆さん、博物館に行くときってどんな格好をされますか?目的物を見に行くだけだからラフ?それとも、デートだったり久々の遠出だからということでお洒落する方もいるかもしれません。

 博物館に行くときは、出来れば運動靴や歩きなれている靴の方が楽しめます。理由は二つ。

 一つ目は、博物館の中って意外と歩くんです。なので、ヒールや歩きにくい足になじんでない靴で歩いていると、館内で疲れてしまって歩くのが億劫で、展示品を見る余裕が無くなっていきます。さらに言うなら、博物館自体が駅から離れていたり、坂の上だったりすることも多く、歩きなれてない靴やヒールだと、博物館到着までに疲れてしまうこともありえるのです。

 そして二つ目は、博物館の中は音の反響が激しい建物があるということ。企画展だったり、新しい博物館だったりすると床が絨毯張りになっていて消音仕様になっている所もありますが、多くの博物館の床はリノリウムだったり石だったりと硬いんですよね。硬い床なのでヒールで歩いたときに、カッツンカッツンと言う音が思っている以上に館内に響き渡ります。自分一人だけが博物館にいるのなら良いのですが、周りにはきっと他の人がいますよね。他の人にとって、そのヒールの音は展示品を見るときに不快な要素になるかもしれません。自分も他人も楽しんで博物館を回るために、お洒落をしても足元は歩きやすい靴で行ってくださいね。

 次に服装について。これも出来ればなんですが、体温調整をしやすい恰好のほうがいいです。何故なら、博物館の館内は展示物にとって適切な温度や室温であって、人だと寒かったり暑かったりすることがあるのです。寒い時はカーディガン等を羽織ればいいし、暑い時は逆に脱いでしまえばいい。

 荷物についても、身軽な方がいいです。最近ではリュックだったり大きな荷物はなるべく預けるようにアナウンスされることが増えてきました。何故かというと、大きな荷物は周りの人にぶつかったり、最悪なときは立ち入り禁止ラインを超えて展示品や棚に当たり壊してしまうことがありえるからです。

 最近の博物館では、ロッカーなどの預け入れスペースが充実しています。持ってきていた大きなカバンや、冬だとコートのような嵩張るものなどはロッカーに預けてしまった方がとても楽です。ロッカーがない場合でも、小さな博物館だったりすると受付にお願いすると、有料の場合もありますが預かってくれることも多いので、ぜひ活用してみてください。展示室に入るときは、財布や携帯と言った必要最低限の物だけを小さな鞄やウエストポーチにいれて身軽になって動き回る方が、展示品は見やすくなるし、良いことづくめです。


博物館の中ではどう過ごす?

 博物館の中に入ったら、注意書きがありますよね?例えば写真禁止や飲食禁止、携帯電話禁止、ボールペン禁止等々。

 当たり前のこと書いてるって思ってませんか?私は、学生時代思っていました。でも、一個一個ちゃんと理由があるのです。これは、博物館のなかではどのように過ごしたとしても守ってもらいたいルールなのです。

 まず写真禁止。写真OKでもフラッシュは駄目という場合もあるので、ちゃんと禁止事項を確認してください。現在では、写真を撮ってそれをSNS上に発信してくださいというような場所も増えていますので博物館ごとに確認してください。

 何故、写真禁止という場合があるのかというと、博物館で展示している物の中には博物館所蔵ではなく、別の場所から借りていたり預かっている物があるからです。展示品を自分の大切なものやペットだと思ってください。いきなり知らない場所で知らない人に写真を撮られたら怖くないですか?人間だとプライバシーの侵害だ!!とでも言われそうな事態です。博物館自体が所蔵しているものでも同様に見せることはしても、写真まで許可していないということはよくあります。展示品は人ではないので写真を撮るなとは言えません。なので、展示品の持ち主がこれは写真に撮っていいよって言っていないものは、撮らないというルールは守ってあげてください。

 また、フラッシュ禁止は肖像権とか著作権以外にも、作品を劣化させないという点でお願いしている場合が多いです。博物館ってなんかちょっと薄暗いって思っている人も多いかもしれませんが、法律で当ててもいい明るさが決まっています。海外の博物館や一部の日本の博物館でも、自然光で見やすい博物館はあると思いますが、そういう所もちゃんと各国の博物館法に定められた範囲以内で明るくしているのです。

 展示品は学芸員がいくら丁寧に手入れをしていても、経年劣化していきます。さらに、光による劣化でも展示品は傷んでいきます。フラッシュなどで急激に光り当てることは劣化を促進させてしまう行為なのです。展示品となっているものは、今となっては同じ物がないことも多いです。同様にレーザーポインターのようなもので、一緒に来ている人に説明するような行為も、学芸員などの認められた人以外は避けてほしい行為です。気になる部分は、単眼鏡などで拡大した物を見せるなどして、展示品自体に光を当てる行為はやめてください。

 次に飲食禁止について。これこそ当たり前じゃないかと思っている方も多いと思いますが、ちゃんと理由もあります。展示品ってかなり丁寧な扱いをしないと壊れてしまうものがあります。ガラスケースに入っている物なんて温度湿度の管理もばっちり学芸員さんたちによって管理されています。もし展示品の前で飲食をして、万が一、飲み物や食べ物をこぼしたりして展示品にかかってしまったら、一切の補修ができない展示品だったりすると、今後もう展示会には登場しないなんてこともありえるのです。

 私語禁止についても、飲食禁止と似ている部分もあります。新型コロナによって、人が喋ることによる飛沫の空中への拡散の仕方がテレビでも検証されていましたが、人って話すとめっちゃ唾が飛ぶんですよね…。唾って、口の中にいるような菌やウイルスが含まれているわけで、刀などの金属類だったりすると、わかりやすく曇ってきて、最終的には錆びて本来の美しさが失われていきます。ガラスケースに覆われていたとしても、展示品を守っているガラスが唾だったり皮脂だったりで汚れていたら展示品自体が見えにくくなりますよね。美術館の職員さんがこまめに綺麗にしていてくれるので、そこまで気にすることは無いのかもしれませんか、エチケットとして、お喋りはマスクなどで口を覆ったり小声にしてみてはどうでしょうか。

 また、自分だけが喋っているから気にしないというのではなく、周りの人の迷惑にならないようにあまり大声で喋ったりするのは避けた方がいいです。靴の時にも書きましたが、博物館の中ってかなり響きますから…。そして誰も自分たち以外は聞いて無いから大丈夫よ~とか思っていても、意外とみんな聞いていたりするんですよね。一緒に行った人と感想を言い合いたい!!という気持ちは湧き上がってきます。そんなときは、休憩スペースだったり、展示を見終わった後に存分に語りつくしてください!!どうしても作品の目の前で、この展示品に対する熱いパッションを語りたいというときは、他の人に迷惑にならない程度の小声で一緒に来た人と語り合ってください。

 あと、意外と忘れられがちなのがボールペン禁止。博物館に行くと研究資料の収集や、博物館見学でノートをとられる方も多くいらっしゃると思います。ですが、なるべく博物館で書くのに使用するのは鉛筆にしてください。なぜなら、ボールペンのインクが展示品や説明書きについてしまうと落ちないからなんです。鉛筆であれば、万が一説明ボードについてしまっても職員さんや学芸員さんに言えば消してもらえることもありますが、ボールペンはすぐに落ちませんから持って行っても展示スペースでは出さないようにしてください。

 長々と書きましたが、博物館の中では館内に書かれている注意書きは必ず守ってください。注意書きを守ることは、観覧者にとっても博物館の職員さんにとってもお互い過ごしやすい環境を作ることになるのです。


博物館から帰るときに

 そして是非とも、博物館や美術館で展示品を見終わった後はミュージアムショップへ行ってみてください。最近では展示品をまとめた図録や論文集以外にも、オリジナリティーにあふれたグッズや、文房具やハンカチなど、様々なものが売られています。企画展であれば、展示品とコラボしたお菓子やアクセサリー、ぬいぐるみなどお店で売っていても買うようなクオリティーの高いものが売られています。

 ミュージアムショップで商品を買うことで、博物館に収益が少しでも入りますよね。是非とも、この博物館めっちゃ楽しかった!!とか、この企画展は何回も見たい、それだけの価値があると思うときは、ミュージアムショップでお買い物をしてみてください。

 また、ミュージアムショップで商品を買う以外にも、この博物館を応援してもいいよ‼というような博物館に巡り合えた時は、年間パスを買ったり、賛助会員や、友の会、寄付など色々と応援する手段があるので、是非とも応援してください。この寄付とかが、馬鹿にならなくてですね…寄付金が集まると、今まで以上に展示品の研究費や修復費、新たに展示品を購入する量が増えたりと、応援した博物館がより良い展示品を出してきたりするんですよ。推し博物館があるならぜひやってもらいたい…。

 刀剣乱舞のユーザーの審神者さんたちにはわかりやすいかもしれませんが、審神者の中には、自分の推しの刀剣男士の実物を見に行ったり、展示品として収容するためにクラウドファンディングしたり、写しを作ったり、修繕したりするのに、お金を使うじゃないですか。刀剣男士のミュージカルや舞台で、推しのブロマイドを買うじゃないですか。博物館にもそのノリで、自分が推す展示品にお金を落としてくれると、きっと博物館も喜んでこの展示品は人気だなって感じに、登場回数が増えたり、説明が細かくなったり、いい位置に展示してくれるかもしれません。

 最後に、時間があるなら是非ともアンケートを書いてみてください。意外と学芸員さんたち見てます。次にこんな企画展が見たいなというようなことを書いたりすると、考慮してくれる可能性ももしかしたらあるかもしれませんね。


私のオススメ博物館

  ついでに記事を書いた私のオススメの博物館をいくつか紹介させてください。一つ目は京都の泉屋博古館。私にとっては至高の博物館の一つだと思っていますので、是非とも京都に行った時は見てみてください。常設の青銅器が美しいんです!!前から後ろから上からと色々な方向から展示品が見られるので、時間が過ぎるのが速いこと速いこと。それに閑静な所に博物館があるので静かだし、のんびりできます。企画展で出てくる作品も一期一会で美しい物が出てきます。

 次に海外だと、台湾故宮はとても良いです。語彙力が溶けますがスゴイ…の一言。展示品も国宝級のもので、ツアーなどで流し見るだけではもったいなさすぎる博物館です。是非とも旅行の際は一日全て故宮でつぶれる勢いでいいかもしれません。正直、一日でも見終わらなかったですが…。そして、故宮はミュージアムショップのグッズの量の多さと可愛さが異常です。文房具以外にも、地元出身のアーティストとコラボした商品とかも出ているので、お土産としてだけではなく、自分が普段使い出来るような商品もたくさんありますよ。

 また、国内で展示品をたくさん見たい!!という方は東京の上野駅の博物館、美術館群へ行ってみてください、楽園です。トーハクでも科博でも、西洋美術館でも、何かしら気に入る常設展や企画展が行われています。グッズも頑張ってます!!

 そしてもう一つ。今年は企画展が行われるかわかりませんが、奈良国立博物館の正倉院展は毎年展示品がかなり変わりますのでオススメです。有名どころ以外の展示品だと次出てくるのは10年先とか、今回が初公開なんて珍しいものがたくさん出てきます。正倉院展では、私は邪道かも知れませんが修復あとを見るのが好きなんです。展示品の修復の仕方がスゴい。箱とか仮面とか、元はボロボロだったとしても、綺麗に継ぎがされて魅力が損なわれてないような展示品がたくさんあります。


最後に

 徒然と書きましたが、博物館は自分が楽しく展示品を見て、他の人の迷惑にならなければ、どのように楽しんでもいいと思います。そんなときに、今回の記事で長ったらしく書いた、こういう所に注意してほしいなって所だけ注意してくれたら、記事を書いた人間としてうれしく思います。

 そしてみなさん、一か所でも良いんで、私はこの博物館が好きって言えるような博物館や美術館を見つけて、よいミュージアムライフを送ってください。

 ここまで読んでくださり有難うございました。




 


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